WALKER’S 

歩く男の日日

幻想即興曲

2007-10-29 | 日記
 このタイトルを初めて見たときのことは、いまだに覚えています。高校2年生の時、クラブ日誌に書かれていた。書いたのはぼくと同学年のクラリネットの女子。『今この曲を聞きながら書いています、ロマンチックだナァ。』という風に書かれていた。そのときまで、そういう曲があることすら知らなかったのですが、しばらくして、知らずのうちに毎週この曲を聞いていることが分かりました。「桂三枝の美女対談」の最後のお知らせの時にバックで流れているのがこの曲だったのです。以来この曲を聞くたびに、彼女のことが思い出されます。
 そして、この曲がニューサウンズでアレンジされたのが83年。そのころは大学を出て吹奏楽からも離れていたのでレコードも買っていなくてこのアレンジが出たのも知りませんでした。CDボックスが出て初めてこのアレンジを聴くことができました。自分の思い出と絡んでいるからかもしれませんが、非常に興味深いアレンジでした。演奏会で採り上げたなら、かなり効果的な曲であると確信しました。でも、それまでもそれ以後もこのアレンジを生で聴くことは一度もありませんでした。問題はピアノ、これだけのピアノを弾ける人間を呼ぶことが難しい。客演を呼ぶのはお金もかかるし、練習時間を確保するのも難しい。演奏会の1曲にそれだけの労力を要して得られる効果、天秤にかけるとどうしても敬遠することになる。そこらへんが吹奏楽の限界なのかもしれません。これだけ吹奏楽の幅を広げるアレンジが出ても、実際に使うことができない。吹奏楽の演奏会でロマンチックな気分になることは、やはり難しいことなのでしょうか。


10月25日(木) 第17回 ミレニアム・スチューデント・コンサート

2007-10-26 | 演奏会
 大阪音楽大学の学生が日頃の研鑽、腕前を披露する演奏会です。この種の演奏会は1年に幾度も行われるのですが、やはり、ピアノが主体のものが多くて、管楽器を専攻する学生がソロで腕前を披露する機会は2夜にわたって行われたこの演奏会くらいかもしれません。当然、オーディションで選ばれた人たちですから、音大学生の最高レベルの音楽が楽しめるわけです。声楽が2組、ピアノ3組、フルート独奏1,クラリネット独奏2、トランペット独奏1、ユーフォ・チューバ4重奏、サックス4重奏の11組の出演でした。
 ピアノや声楽のレベルがプロと比べてどうかということはよく分からないのですが、管楽器のレベルはやはりアマチュアの吹奏楽部とは次元の違うものでした。特に木管は十二分にテクニックをひけらかしてくれました。それくらいの余裕と力強さを感じました。素晴らしい。トランペットは余裕と安定感は感じたのですが、タンギングをもっと美しく艶やかにする余地はあったように感じました。ユーフォチューバは折に触れ美しいハーモニーも見られたのですが、音程がちょっと安定しないところもありました。それとアタックがはっきりしなくてもこもこする感じもよく見られました。楽器の性格上仕方ないといえばいえるけれど、もっとマルカートにできるはず。


10連覇

2007-10-24 | 演奏会
 吹奏楽ファンならすでにご存じでしょうが、淀川工科高校が今年も全国大会で金賞を獲得、3出による3回のお休みを挟んで10回連続の金賞です。
 10年(回)連続の金賞は。神奈川大学、駒澤大学、ブリジストン久留米(11)、ヤマハ浜松(17)の4団体しかありません。高校の部では初めての快挙です。あの花輪高校も、秋田南高校も、習志野高校も、天理高校も、埼玉栄高校も成し遂げていない。これ以上はないという金字塔でありましょう。


10月21日(日) 第54回MBSこども音楽コンクール兵庫地区大会

2007-10-22 | 演奏会
 ぼくが見たのは小学校の重唱、合唱、吹奏楽。中学校の箏曲、ギターマンドリン、吹奏楽。これだけ多くの重唱、合唱を聴くことは滅多にないことです。聴いて思うのは、吹奏楽とは全然違うということです。同じ音楽でも対局にある。言葉がある、意味がある、直接訴えることができる音楽。吹奏楽ではできないことだし、その表現力の大きさに憧れることもしばしば。でも、言葉がないから良いということもある。
 今回聴いた合唱曲は、命や、地球、戦争、などのメッセージ性の強いものが目立った。特に「耳をすませば」という曲は強烈でした。世界各地で戦争や飢餓に苦しんでいる子供たちの悲痛な叫び声から始まるのです。耳をすますと、そういう声が聞こえてくる。そのメッセージはよく分かるし、そういう音楽があってもいいし、あるべきだとも思う。でも、小学生が歌うのはどうか。子供というのは、もっと無邪気で天真爛漫で、自分の周りの今日と明日くらいのことを考えていればいいものではないのか。音楽というのは、もっと明るくて、楽しくて、美しくて、気持ちのいいものではないのか。そうも言っていられない現代日本のただならぬ状況なのでしょうか。

ワルツィングマチルダ

2007-10-20 | 日記
 星野SDの保険のCMは好きではありません。でも、今日見たイオンのCMは大好きです。語り口調の優しさがとてもいい感じです。でもそれ以上にいい気持ちにさせてくれるのがバックに流れているワルツィングマチルダです。きまじめなアレンジがSDの性格によく合っている。音楽などなくても生きていけると思うこともあるけれど、こういう何ともいえず人の心を自然に解きほぐしてくれる音楽の力を見せつけられると、やはり音楽はあった方がいい、なくてはならないものだと強く思うのです。同じように、その力に感嘆するのは、ヤマザキパンのユモレスクです。このCMを見るたびにドヴォルザークの偉大さを思わずにはいられないのです。

メディチの勇者

2007-10-17 | 日記
 2年生の時の演奏旅行で採り上げられた大好きなマーチです。トリオは♭4つなのですが、長い音符ばかりでテーマができているので初心者でもミスはほとんどなく演奏できる。しかも前半は1stクラリネットはフルートとともに、細かいオブリガートを吹いている。2nd が主役なのだ。もちろん3rd やほかの楽器もテ-マを吹いているのですが。当時どの曲もまともに吹けなくて落ち込むことが多かったのですが、この曲だけは本当に楽しみながら吹けたという感じが未だに残っています。
 今回ドイツマーチをSDカードに放り込むに当たって、久々に聴いたのですが、びっくりしました。この曲はドイツマーチではなかった。オランダのマーチだったのです。考えてみれば、当時誰からもこの曲がドイツマーチであると教えられたことはありません。でも、どういう訳か自分ではドイツマーチであると思い込んで、つい数日前までそうであると信じてきたのです。その理由はいくら考えても分からないのですが。それが、「次はオランダのマーチ、メディチの勇者を聴いていただきましょう」というアナウンサーの声には絶句するしかありませんでした。SDカードにも入れられません。
 さらに驚いたことに、あの、フローレンスマーチ(2年生の時の定期演奏会で吹いた)のフチークもドイツの人ではないことが分かったのです。彼はチェコの人(プラハ生まれ)だったのです。しかも「フローレンス」はイタリアマーチのスタイルで書かれたというのです。これはドイツマーチといえるのでしょうか。当時、カラヤン指揮ベルリンフィルの管楽器メンバーによるドイツマーチのアルバムが出ていて、その中にもちゃんと入っていたので、絶対ドイツマーチと思い込んでいたのです。140曲の内、いったいどれだけが本物のドイツマーチなんでしょう。

星条旗よ永遠なれ

2007-10-12 | 日記
 最終回の最後の曲は「星条旗よ永遠なれ」、その前にスーザの肉声が流されました。あるラジオ放送で自身の曲が演奏されるのに先立って自ら曲の紹介をした録音が残されていたのです。その中で彼は自分のことを「スーサ」と言っています。彼はポルトガル系移民の子、ポルトガル語ではSOUSAの発音は「スーサ」と濁らないのでしょう。でも英語発音では濁って発音するのが普通のようで、現代アメリカ人の99%(スーザの子孫も含む)が「スーザ」と発音していると、秋山紀夫先生が解説されました。スーザ自身も一番好きな曲だと紹介し、吹奏楽経験者の多くが大好きな「星条旗よ永遠なれ」ですが、ぼくはあまり好きではありません。最初に演奏したときの印象がよくなかった。ある結婚式での演奏でした。屋外での演奏、結婚式場から披露宴会場へ移動するときのBGMとして演奏したように記憶している。ぼくはクラリネットを持って1年くらいしか経っていなくて思ったように演奏できなくて、練習の時も、本番もとにかく不満の多い演奏だった。その印象が災いしてか、そのあとも何回か演奏したけれどそのたびに乗り切れないものを感じたものでした。そんなぼくでも、この曲を聞いて涙したことがあります。それは第21回2000人の吹奏楽でのこと。オープニングの全体演奏でこの曲が演奏された。トリオで総てのフルートピッコロが前に出てきてあのオブリガートを吹いた。100人以上、200人近いフルートピッコロ奏者が前にずらりと並んだだけでもう涙があふれてきました。あれから26年になるけれど、このとき以上の感動的な星条旗は未だ聞いていません。

スーザ大全集

2007-10-11 | 日記
 NHKFMの「ブラスの響き」でスーザ大全集が放送されたのは83年の4月から85年の3月まででした。20回の放送で146曲が紹介されました。でもこれはこの全集の全曲ではありません。本当は170曲入っていた。2年目から放送時間が12分短くなって全部放送できなくなった。放送できなかった曲の中には有名な「忠誠」も含まれていました。この全集はアメリカ建国200年を記念して、行進曲好きの篤志家が私財をなげうって18枚組のレコードを作ったのでした。演奏はスーザゆかりのアメリカ海兵隊軍楽隊。
 これを総てカセットテープに録音して持っていたのですが、実際に聞くことはほとんどなかった。ほかに聞くべき録音がいっぱいあったのと、カセットは頭出しができないから聴きたい曲がすぐ聴けない。20年以上ほこりをかぶっていたのですが、やっと日の目を見るときが来たのです。全部ハードディスクに放り込んで、そこからSDカードに転送。あの小さなチップにカセット10本分が五十音順にきれいに収まりました。容量がまだまだ余ったので、ドイツマーチ140曲、アメリカマーチ80曲、ニューサウンズインブラスの72年から86年までの14年分を全部入れました。これで大阪まで行くときに退屈しないですむし、今まで聞けなかった曲もいくらかは聴けるというものです。