WALKER’S 

歩く男の日日

6月25日

2010-06-27 | 10年日帰り遍路

 9:39
高速バスが徳島駅に着くのは9時28分、寄井中行きの徳島バスが出るのは9時35分。7分あればどんなに遅れても大丈夫だと思っていたけれど、甘かった。今まで同じ時刻のバスで一番遅れたときでも3分遅れだったのに、こんな時に限って8分も遅れる。バスを降りたのは寄井中行きが出た1分後だった。バス乗り場へ行って次のバスの時刻を見ると、予想通り1時間後だった(一番右の枠が寄井中行き)。



 9:40
一時間遅いバスに乗って寄井中まで行くと、宿に入るのも1時間遅くなる。せっかくの1泊が慌ただしくなるのは我慢できないので、寄井中から1時間分(6km)手前の地点でバスを降りれば予定時間に宿に入ることができる。寄井中から鬼籠野(おろの)までが6.5kmなので鬼籠野の近くで降りればいい。手元に900円分の小銭があるので二つ先の阿保坂で降りることにする。6kmくらいスキップすることになるけれど、初めての道ではないし、きっちり繋げることにもさほどの執着はない。


 10:32
駅ビルの郵便局で野暮用を済ましたりして、駅の周りで1時間を過ごす。この間3組6人のお遍路さんを見かけた。梅雨の真っ最中だというのに歩く人は少なくない。その内の一組は電車で牟岐まで行って、そこから歩き始めるようだ。行程表がびっしり書き込まれたメモを右手に改札へ向かって行った。天気予報では午後からと言っていたのに、すでに雨が降り始めている。今回は山の中を歩くことはないから何も心配することはない。


 11:33
寄井中行きのバスはいくつかのルートがあって、前回の帰りに乗ったバスは佐那河内村経由だったけれど、今回の往きは北側のルート。上鮎喰橋の手前で左に折れ鮎喰川の南岸沿いの県道21号を行く。この道は一宮札所前(13番大日寺の前)から阿保坂まで今日ぼくが歩く道を逆走することになる。歩くすぐ前に予習することになってしまう。一宮札所前から広野まではもう5度、6度(2年前別格2番童学寺に寄ったので、部分的に5度しか歩いていないところがある)と歩いているけれど、広野から喜来までは今日初めて歩く。初めての道を歩くすぐ前に予習するのは何とも味気ない、でもスピードが全然違うし、風景も逆だから、初めては初めてになるだろう。
 バスの中から何人かのお遍路さんを確認できた。大日寺を出たすぐ後で若い男性、童学寺への分岐ポイントにあるスーパーの前で3人の男性が休憩中、広野を過ぎたあたりでも若い男性を見かけた。最初に見た男性は野宿だからどこに泊まったか判らないけれど、後の人はなべいわからだろう。なべいわから行者野橋まで13kmだから全然無理な距離ではない。

 4回目以降は1泊遍路になるけれど、カテゴリーはそのまま「10年、日帰り遍路」の中に入れることにします。

阿保坂は鬼籠野郵便局より1km寄井よりの所にあった。つまり、予定通り1時間早いバスに乗っていたら、ここを通過するのは11時40分頃になっていた。バス停は坂の途中にあった。勾配は大したことはないけれど、いきなりの登りから始まる。


 11:36
国道を離れ左の道へ入る。昨年はそのまま国道を行ったけれど、地図には鬼籠野の町の中心を通るこちらの道に赤線が付いている。幾分遠回りになるけれど、昔はこちらの道しかなかったはずだから、当然こちらがへんろ道になるのだ。でも遍路標識は見られなかった。


 11:42
鬼籠野の町の中心部に入っていく。小さな集落なので、これでもメインストリート。


 11:43
昨年この前で休憩した。阿保坂から10分、今日はあと20.2km歩くだけ、予定より5.5km短くなってしまったことになる。


 11:44
郵便局のすぐ先の交差点、直進すれば国道438号で佐那河内村に入る(前回帰りのバスで通った道)。左折すると県道21号で広野、大日寺へと至る。もちろん左折する。


 11:46
鬼籠野小学校の横を通ってすぐ先の歩道に地元の人が丹精している花壇がある。長い距離を歩くだけの旅人にはこういう風景はアクセントになって目に嬉しい。花の名前は分からないけれど・・・。


 11:50
この距離表示が正しいとしたら、神山温泉までバスに乗っていれば30分遅れでここに来ていたことになる。1本遅い電車に乗れていたかもしれないけれど、余裕を持って歩く方がいいことは過去3回で身に沁みているから、阿保坂は正解だと確信。


 11:52
昨年は寄井を出発して、5.7km地点の鬼籠野郵便局で休憩したけれど、ここにベンチがあるのが判っていたら迷わずこちらで休みを入れていた。今日も寄井中までバスに乗っていたらここで休むつもりだった。でも歩き始めて20分なので休まない。


 11:58
昨年この人のポスターを見たときは楽勝だと思ったけど、実際は危ないところだった。さほどに自民党に対する失望は大きかった。信頼は確かなものではなかった。


 12:00
四辻へやってきた。右は昨年歩いた県道207号、正面は昨年はまだ工事中だった養瀬トンネル、そして左はこれから歩く県道21号。


 12:01
養瀬トンネルは昨年の10月に開通した。昨年工事中のトンネルを見たとき、大して短絡にもならないのにどうしてこんなすごい工事をしなければならないのか、と大いに疑問に思った。でもこの工事は短絡のためのものではなかった。この区間の県道21号は道幅が狭い。軽自動車がすれ違うのにも難儀しそうなほどの幅しかないところがある。大型バスが通るとほぼ道いっぱい、自転車や歩行者でも脇に立ち止まってやり過ごさねばならないほどだ。しかも、この道は路線バスだけでなく、焼山寺へ向かうツアーバスや個人で巡る車遍路、バイク遍路、自転車遍路も皆この道を通らねばならない(県道20号でも行けるけれど、やや遠回り)。このバイパストンネルは神山の人々の悲願だったそうだ。

左に折れるとこんな感じ、ここから広野までの3.6kmが初めて歩く道になる。


 12:03
センターラインがあるのは最初だけ、ここはもうバス1台がやっと通れるくらいの狭さ。


 12:05
今日は徳島の大分手前までしか歩かないので、この距離表示は全く無用。徳島まで歩くとしても、お遍路は札所に寄るのでこの距離表示は意味がない。


 12:12
バイパスが見えてきた。バイパスの全長は1560m、トンネルはそのうち531mだということです。


 12:14
県道の細い道にいくつかバス停があるので、路線バスはせっかくのバイパスを通ることはできない。でも他の車はすべてバイパスを通るので、県道は路線バスの専用道路のようになって、それまでのような不自由を感じることはないのかもしれない。


 12:15
バイパスの合流ポイント。トンネルの手前からここまで1台の車も、バイクも、自転車も、そして人とも出会うことはなかった。途中にある数軒の民家の人しかこの道を利用しないようだ。


 12:24
鬼籠野川はこの300m先で鮎喰川に合流する、そこから大日寺までずっと鮎喰川を左に見ながら歩く。


 12:31
前の神山温泉の看板から4.3kmを41分でやってきたことになる。時速は6.3km、まずまずのスピード。それより身体が思うように動けているのが気分がいい。前回の最後の区間とは大違いだ。雨もほとんどあがって、阿保坂からここまでまだ傘をさしていない。


 12:35
河野橋のたもとが玉ヶ峠越えのへんろ道との合流ポイントになる。1回目から5回目はあの橋を渡ってこちら側に来た。一度などはぼくが今歩いている道を来るお遍路さんがいてびっくりしたものだった。そのころは神山温泉経由のへんろ道があるのを知らなかった。


 12:36
橋のたもとのバス停がタイムチェックポイント、鬼籠野郵便局から5.4kmを53分で来た。6年前までここには建物があって雨もしのげるようになっていたけれど、次の年に来てみれば全部がすっかり消えていてベンチすらもなくなっていた。

バス停の横の電柱に本日最初の遍路シールを発見。考えてみれば歩きの人はほとんどこの道を通らないし、自転車の人はこの道を行く人が多い。でも自転車で走っていてこのシールが目に留まるのだろうか。

バス停の横から河原へ下りていく階段がある。ここがぼくの休憩所になる。3回目から6回目までここで休んだ。焼山寺から玉ヶ峠越えでここまで15km、2回目の休憩ポイントにちょうど良い。雨が降ったら休めないけど、今まで一度も降ったことはない。今日も何とか休むことができる。


 12:39
昼食は西靖アナのデミカツパン。関西圏以外に住んでいる方は何のことやら分からないでしょう。これは関西で夕方に放送されている「ちちんぷいぷい」という番組(毎日放送4Ch)のメインMCである角淳一アナと西靖アナがプロデュースした菓子パン。角アナは大好物のイチジクジャムが入ったコロネとランチパック、西アナは故郷岡山のB級グルメ、デミカツをフューチャーしたこのパンを制作した。すでに300万個を売り上げている。


 12:46
食事休憩に8分、12時45分に河野橋を発つ。歩き始めてすぐ色あせた矢印があった。へんろみち保存協力会の遍路シールは色あせたものが多くて何となく残念な感じがする。おもてなしネットワークなどの新しいシールや道しるべがあるから初めての人でも不自由は感じないだろうけど。


 12:48
こちらの道しるべも色あせてかなり読みにくくなっている。上は「建治寺道 左車道六00米先右道入る」。下は「左車道直進 大日寺7.6k」と書いてある。


 12:51
ここからしばらく道幅が狭くなる。普通車がすれ違うのも難しい。歩きへんろにとってすごくいやな道。養瀬の道と違って交通量も激しい。


 12:54
先の道しるべにあった建治寺への分岐点、右の道へ上がっていくと建治寺に至る。建治寺は番外霊場、13番大日寺の奥の院で宿坊もあるようです。


 12:55
野宿で歩いているお遍路さんは、お金を払ってまでこんな所に泊まるとは思えないけどね。


 13:09
17番井戸寺門前の遍路宿の看板、この宿はなべいわから27kmの地点にあるので利用しやすい。2km手前の鱗楼を利用する人の方が多いけれど、値段は鱗楼の方が1000円くらい高い。


 13:12
この少し手前の自動販売機の前で5人の歩きへんろさんが休憩していた。ここはなべいわから14kmの地点だから、かなりゆっくりだ。おそらく今日は13番まで、1日に20kmくらいのペースだろう。追い抜くときに一人一人に遍路宿情報を渡した。


 13:13
藤井寺から焼山寺を越えてここまで来られる人は多くはない。故に利用する人はあまり多くはないと思われる。値段も遍路宿にしてはちょっと高め。


 13:14
左に行者野橋が見える。この先を左に折れてあの橋を渡ると別格2番童学寺に至る。2年前猛暑の中、童学寺へ向かった時のことが思い出される。


 13:19
昨年までは4月5月に歩いていたから、へんろ道で紫陽花を見るのは初めてかもしれない。


 13:22
思いがけないところに休憩所ができていた。この前を歩くのは3年ぶりになるからその間にできたのか、あるいはそれ以前にできていたのに気がつかなかっただけなのか。


 13:23
徳島市に入る。立派な樹木は椋(むく)の木。横にちゃんと立て札があった。徳島市指定保存樹木になっている。


 13:25
この距離表示が正しいとしたら、広野からここまで4kmを40分で来たことになる。撮影の時間もあるから時速6kmは十分確保できている。


 13:40
建治寺から下りてくる道、地図ではもう少し先に赤点線が付いているけれど。

建治寺から戻ってくる道の反対側は童学寺から戻ってくる道。2年前この橋を渡ってここでへんろ道に合流した。地図ではもう一つ先の橋に赤線が付いているけれど、こちらの方が近道なので、こちらを選択した。童学寺の道は地図にある短絡路が2箇所も歩けなくなっていて、相当ばててしまった。10mでも短いこちらの道を選んで正解だった。


 13:42
新しいコンビニができていた。確か2年前にはなかったはず。


 13:44
当初はここで休む予定だったけれど、中で休んでいる人がいたし、時間もあまり余裕がないのでスルーすることにした。


 13:54
こちらのコンビニは3~4年前にできていた。でももっと大日寺に近いところにあると思い込んでいた。1日中歩いているとこういう思い込みや勘違いが多くて、失敗することも珍しくない。


 14:01
大日寺の宿坊の前、山門は目の前。広野からの7.5kmを76分でやってきた。撮影の時間を考慮すれば、時速6kmは確保できている。ベストタイムより5分遅れだけれど、季節も違うし、足の状態も違うから充分満足できる。


 14:02
13番大日寺に到着、驚いた。境内には人っ子一人いない。山門をくぐってからお参りを済ませるまで、歩き遍路はおろか、車遍路、ツアー遍路も見えなかった。納経所が開く前に訪れた、16番観音寺、47番八坂寺、63番吉祥寺、79番天皇寺では何回か経験したことはあるけれど、納経所が開いている時間では初めてかもしれない。


 14:12
道を挟んで大日寺の隣にあるかどや旅館、1回目から4年連続でお世話になった。泊まった部屋の位置もすべて覚えている。

こちらは2年前、6回目の時にお世話になった名西旅館花。女将さんからお接待で頂いたライターを今日も使っている。

右肩に赤矢印が付いているけど、ぼくが歩き初めた頃には付いていなくて、ずっと右折する道を歩いてきた。右折する方がたぶん旧いへんろ道だとおもうけれど、せっかく矢印があるので今年は初めて直進する道を行く。


 14:14
五鈷杵と矢印があったけど、いずれも新しいタイプ。ここ3年以内に付けられたと思う。


 14:18
初めての道でこういう分岐点に来ると一瞬たじろぐ。右の方の電柱に矢印が見えたのでそちらの方へ行くことにする。左の道でも同じ所に出てくるようだけど。次回来たときには左の道を試してみよう。


 14:23
一の宮橋へ上がっていく。


 14:24
鮎喰川を渡る。上がったところにはちゃんと左折れの矢印があった。写真ではいくらか空に青みが出ているけれど、大日寺を出た頃から雨が激しくなって傘をさしている。


 14:27
四元さんが子供たちとふれ合った保育園の前を通過、ここを過ぎれば、


 14:28
左折する。こんなに大きな道しるべがあるのに、過去2回も直進してしまった。


 14:30
道しるべの上の部分が欠けて痛々しい。


 14:37
常楽寺に着く直前に前を歩く人がいた。広野を過ぎたところでバスの中から見かけた人だと思われる。11kmを3時間くらいで来ていることになるから先ず間違いないだろう。一足遅れで境内へ上がっていく(常楽寺に山門はない)。大日寺から2.3kmを25分、ベストより2分遅れだった。


 14:53
ぼくの方が先にお参りを終えたので、納経所の前で待って遍路宿情報を手渡した。休憩なしで次の札所へ向かう。国分寺までは800m、88ヶ所中3番目に短い距離になっている。


 14:55
800mの間でも、ぼくは道をはずしたことがある。それも1回目、2回目ではない。だからこういう道しるべも軽んじることはできない。


 15:00
15番国分寺に到着、撮影枚数が少なかったのでベストと同タイム。ここまで来て足の調子は落ちていないようだ。境内はやはり静かで、大師堂の前に掃除のおばさんが一人いるだけだった。


 15:12
山門を出て30mくらいの所で右に折れてこの路地を抜けると20mくらいの近道になる。できる近道はするのが遍路らしいので今回もここを抜ける。

国分寺の西側の道はぼくの大好きな道。緩やかなカーブと塀越しに見える鐘楼。舗装はされているけれど昔のへんろ道の雰囲気が濃厚に感じられる。でもこの道があることを知ったのは4回目から、3回目までは東側の道を歩いていた。


 15:13
直進する自動車道も一度歩いたことがある。地図ではそちらの方に赤線が引かれている。でも遍路シールは右に矢印がある。


 15:21
この無駄に広い道路が斜めにへんろ道を分断している。300mも旧い道が消滅してしまった。そのせいで1本東の道を歩く人も多い。へんろ道ではないけれどそちらにも赤線が引かれている。いつも残念な気持ちいっぱいでこの道を横断する。


 15:31
国分寺から1.8kmを19分、ベストより2分遅れで16番観音寺に到着した。また境内には誰もいなかった。国分寺の手前ですれ違ったバスツアーの人々もすでに井戸寺へ向かったようだ。静かに自分のペースと声量でお経を詠めるというのはありがたい。本日のお参りはこれで終了、あとは駅を目指すだけ。15時50分に出れば予定の電車に乗れるから10分くらいの余裕がある。


 15:46
不思議なことに、7回もこの前を通っておきながら一度もこの旅館を確認したことはなかった。探しながら歩いたことも2度3度あるのにそれでも見つけられなかった。地図の位置ではもっと神社に近いところにあるので、その思い込みが強かった。お遍路では本当に思い込みというのが恐い。


 15:52
国道192号の交差点におもてなしネットワークのシール、この1年内に貼られたものだ。


 15:54
ここからへんろ道を離れて直進する。


 15:56
府中駅に到着、電車の時間は16時07分、いい時間に到着したけれど、考えてみれば休憩は広野での8分間だけ。結構厳しいスケジュールになってしまったともいえる。前回のようなバタバタではなかったけれどさほど余裕があったわけでもない。


 15:57
なかなか「こう」は読めない。


 府中から、鮎喰、、蔵本、佐古を経て徳島駅に降り立ったのは16時21分。大鶴旅館は徳島駅から南へ1200m。昨年はへんろ道から入ったので、駅から行く道とは違うけれど、この4月に小松島のへんろ小屋に行って歩いて徳島駅に戻ったときに、旅館の前を通って駅までの道は確認しておいたので問題はない。
 16時36分に旅館に到着、ぼくが名前を言う前にぼくだと認識しているような迎え方だった。すなわち今日の客はぼく一人ということのようだ。お風呂の用意はできているのですぐに入ることにする。かなりぬるめの湯が少ししか溜まっていなかったけれど、これは好みの熱さに自分で調整するようにということなのだろう。季節はもう夏だから、熱すぎる湯は上がった後が却って大変になるから、ゆっくり熱い湯を足しながら1日を振り返るのは良かったと思う。1日中歩いた後すぐにお風呂に入って、ア~~、と思わず声を出してしまうのがお遍路の醍醐味だとぼくは思っている。これ以上のお風呂はどんな有名な温泉でも味わえないと思っている。前3回の日帰りとはやはり全然違う。これを味わうだけで本当にお遍路をしているのだなあとつくづく思う。
 食事の量は大変なものだった。ぼくは食事付きで泊まることは少ないけれど、食べきれなかったのは初めてだった。でも、日頃が小食なのでついていけなかっただけかもしれない、量からすれば牟岐町の民宿あづまや愛南町の民宿磯屋もこれくらいだったかもしれない。でもこれで2食付き5000円、というのはさすが(へんろ特別接待)と名簿に書かれているだけのことはある。
 掛け布団のカバーの下から文字が透けて見えた。四国八十八、という文字が読めたのでカバーをはがしてみると、見事な般若心経が現れた。女将さんに聞くと、これは有名な書家が書かれたもので、ちゃんと祈祷も済ませたものだという。俳優の勝村政信さんも高野山の宿坊で般若心経の書かれた毛布を見て驚いていたけど、こんな所で同じようなものに出会えるとは思ってもみなかった。(へんろ特別接待)をまた実感することになった。


明日から4回目

2010-06-24 | 10年日帰り遍路
 3回目の往きの高速バスの中で前歯(差し歯)がぽっきり折れて、帰ってから黒坂歯科に通う。先生の娘さんは女優の黒坂真美さん。4回通って今は2回目の仮歯が入っているところ。土台の芯を作るのに型を取って1回目の仮歯を入れて貰い、土台ができてまた新たに型を取って2回目の仮歯を入れる。本歯は来週の月曜にできあがってくる。その合間を縫って15km1回、13km2回のウォーキングをこなす。四国ではすでに20km以上を3回こなしているから全く無理なく問題なく歩ける距離だとも言えるけれど、だいぶ暑くなってきたし、足首もまだ完全にはほど遠いので、楽な練習ではなかった。そうこうしている内に4回目が明日に迫ってしまった。4回目は無理を言って、1泊させて貰うことにした。1泊すると、交通費が浮くので2食付きで泊まってもより安価で同じ距離を歩くことができる。今回の2日分を日帰りで行くと16040円、1泊すると13940円で行ける。すでに往きの高速バスチケットをネットで購入、へんろ特別接待の大鶴旅館に予約を入れた。先ず「お遍路さんですか?」と尋ねられるのが何とも言えない。やっぱり1泊でも遍路宿に泊まるのと、そうでないのとでは気分が全然違う。もう今からワクワクしている。
 日帰りだと23番薬王寺までしか行けないけれど、1泊すれば、高知市あたりまでいけそうな感じもする。まだ泊まったことのない、生本旅館、うまめの木、ドライブイン27、などにも泊まることができそうだ。

6月10日 ②

2010-06-16 | 10年日帰り遍路



 12:18
幅の広い林道に出てきた。こういう新しい道は歩きやすいけれど、最後まで残った空海の道、と言うにはちょっとね、

ほぼ平坦な道だったから、先の道しるべから600mを6分で来た。でもスピードほどには好調な感じはしない、暑さでじわじわ体力が奪われている。


 12:21
撮影はしているけれど、距離表示は全く見ていない。調子が良くて余裕のあるときなら、「1kmを10分で行けばベストタイムと同じ、でも、最後は下りが続くとはいえ時速6kmはちょっと無理かもしれない」、などと考えたかもしれないけれど。


 12:30
眼下に柳水庵の手前にある建物が見える。ここから柳水庵まで急な下り坂が続く、しかも足元はゴロゴロした大きな石ばかりでちょっと危険な所もある。いつも以上に慎重にそろりそろりと下っていく。


 12:32
藤井寺からちょうど90分、ベストタイムより1分遅れで中間地点、柳水庵に到着した。昨年よりはだいぶいい感じだったけれど、ベストの時ほどではないと思っていたので、ちょっとびっくりした。びっくりしたと同時にちょっと安堵した、でもこの安堵が油断だったと気がつくのは数十分後のこと。8分の休憩で出発する。時間の余裕はほとんどない。家で予定を立てているときと、実際現場で歩いてみて時間と向き合うのとではかなりのギャップがあることを感じたのもこの後のこと。


 12:40
少し下りてきた所に休憩所(簡易宿泊所)がある。3年前ぼくが泊まったときは座布団しかなかった。中をのぞくと毛布が数枚積んであった。一人で泊まるのであれば寝袋がなくても充分だ。


 12:41
広い道に出てきた。これは県道245号、この道を左の方へ下りていくと、焼山寺から下って10km地点、植村旅館の近くに出てくる。藤井寺と焼山寺の中間の山の中ではあるけれど車で来ることができる。2年前、朝の早い時間に3kmほど先で団体の歩き遍路に出会ってびっくりしたことがあるけれど、あれはバスで柳水庵まで来て、そこから焼山寺まで歩くという、部分的にへんろ道を歩くバスツアーだったのだと思われる。部分歩きのバスツアーはそれ以外にも2度出会ったことがある。


 12:42
県道を横断して林道に入っていく。その入り口の道しるべにすだち館のプレートが掛かっていた。ここにはお接待所と書かれているけれど、善根宿(2食付き3000円)もやっている。
 ここからの林道は幾分傾斜もあるけれど、比較的歩き易くスピードも乗りやすい。でも全然力が入らない。思っている感じのスピードではない。初めて来た時ですらかなりいい調子だったのに・・・。このような楽な所で動けないと浄蓮庵の手前の急坂ではどうなるのか。バスの時間に間に合うのか、かなり微妙な感じになってきた。


 12:54
林道から別れて登山道にはいる。


 12:55
一旦林道に合流、ぐるっと回っている林道を短絡してきた。


 12:56
浄蓮庵まで0.9kmとある。地図でもそうなっている。でもこの標高差は160m、ここまで500m以上登っているから、さほど恐れることもないけれど、今回はもうここまででスタミナが完全に枯渇してしまっている。出せるだけの汗は出してしまった感じもする。昨年以上に体が重い、もしかしたら彷徨っていた最初の時と同じくらい気力も体力も萎えているかもしれない。


 13:01
へんろころがし4/6、どうやら6つある内の4つ目ということらしい。3/6は見逃してしまった。あるいは立てられたけどなくなってしまったか。


 13:14
登り口から18分かかって、息も絶え絶えでなんとか一本杉のお大師さんの前まで辿り着いた。時速にすれば3kmだからこれだけの勾配が続く山道であればそんなに遅くはないといえる。でも、本当にひどかった。2年前の鶴林寺を登ったときのように、5歩進んで5秒休む、ということを繰り返しながら登り続けた。それでも息切れと動悸は過去経験したことがないくらいひどくて、そのまま倒れ込んでもおかしくないくらいだった。柳水庵からここまでのタイムはベストより4分遅れだったけれど、体調からすれば10分以上遅れたような感じがしていた。


 13:16
石段を登って浄蓮庵の前へ出てきた、時間がないので休むつもりはなかったけれど、息を整えなくては先へ進めない。水を飲んでキャラメルを口の中へ入れる。石段の下に着いてから6分で庵の前を発つ。不本意ではあるけれど、これ以上休むとバスの時間に間に合わない。


 13:32
浄蓮庵からは標高差340m下の谷まで一気に下っていく。最初の方は緩やかでものすごくスピードの乗る歩きやすい道だけれど、相変わらず調子が悪い。下りだけに息切れはなくなったけれど、足取りはやや重く時速6kmは出ていない。坂が急になる所に「へんろころがし5/6」があった。考えればころがることは圧倒的に下り坂での方が多い。登り坂がへんろころがしと一般的に言われるけれど、実際に登り坂ではあまりころばない。この立て札こそ最も意味のある有効なものだと気がついた。
 ここから少し下りた所で男の人に追いついた。昨年もほぼ同じ時間にこの近くの所で夫婦遍路に追いついた。足の遅い人は藤井寺からこのあたりまで6時間近くかかるということらしい。追い抜いてそのまま行こうとしたけれど、思い返して遍路宿情報を手渡した。


 13:38
谷の集落が見えてきた。この少し手前の所でも、男性二人連れを追い越した。今度は迷わず遍路宿情報を手渡す。この前の方の広い道には女性の二人連れが歩いているのが見える。谷の下までには追いつけるだろう。


 13:39
ちょっとほっとする谷間の風景。


 13:40
この先でいつも犬に吠えられる、でも今回は珍しくおとなしかった。


 13:43
右の舗装道ではなく、左の側溝の上がへんろ道。このちょっと手前で女性二人連れを追い抜いた。もちろん遍路宿情報を渡す。


 13:45
渓流に架かる小橋を渡る。ここが谷底でここから焼山寺まで300mの標高差を登ることになる。スタミナはさらに切れてこの先どうなるか見当もつかない。

6/6、当然最後のへんろころがし。この坂が一番長く、標高差も一番。


 13:48
眼前に立ちはだかる岩壁、これは山道でも坂道でもない。四元さんが叫び声をあげて立ち止まってしまったのはここだったかもしれない。ぼくも一旦覚悟を決めてからよじ登り始める。


 14:01
調子のいいときには全く気にならず無視する町石が、やけに気になる。1丁(町)は109mだからあと1200mということか。


 14:13
ようやく明かりが見えた。あそこから幅の広い林道が始まる、傾斜は緩やか。あと1km、いつもならあと10分だけど・・・。


 14:20
林道が県道に合流する所。林道に上がってくるとそれまでどんなに疲れていても、元気に時速6kmくらいで歩けてしまうのに、今回は全く違った。自分の身体ではないような感じだった。どんなに力を入れてもよたよたとふらふらと夢遊病者の様にしか歩けなかった。前を行く男の人を追い抜いたけれど、挨拶する余裕も遍路宿情報を渡す余裕もなかった。坂道でのひどい歩き様よりも、林道に上がってから思うように歩けなかったことの方がショックだった。昨年でもこんなにはひどくなかった。

県道から参道に入る。参道はほとんど平坦なのにやはり身体は思ったように動いてくれない。スピードは半分くらいしか出ていないような感じだ。この参道を落ち込みながら歩くのは初めてかもしれない。


 14:26
やっとのことで12番焼山寺に到着。山門から石段を下りてきた所(おへんろキティちゃんが立っていた所)で男の歩き遍路さんとすれちがった。遍路宿情報を渡す余裕はなかった。柳水庵からここまで100分もかかる、ベストタイムより15分も遅れてしまった。最悪だった昨年よりも3分遅い。藤井寺からのトータル(休憩時間も含む)をみると、2回目=3時間15分、3回目=3時間11分、4回目=3時間13分、5回目=3時間13分、6回目=3時間14分、7回目=3時間34分、今回=3時間24分。1回目は記録をとらなかったので不明、7回目だけ異常に遅くなったのは理由がある。2回目から6回目は鴨島駅の近く、藤井寺の近くの宿から出発した(5回目は柳水庵に泊まった)のに対して、7回目は藤井寺まで17km以上歩いた後で登り始めた。そして今回が昨年までと明らかに違っていたのは季節、昨年まではすべて4月中旬から下旬だった。今回だけ6月で、気温は平年を上回る29℃、もう少しで真夏日になるほどだった。真夏のウォーキングは危険だと重々承知しているつもりだったけれど、甘く見てしまった。真夏には1ヶ月半以上あるし、山の中で木陰もあるからさほどでもないだろうと、軽く考えてしまった。焼山寺+暑さ=この体たらく。


 14:38
計画では14時15分に焼山寺着く予定だった。遅くても20分までに着けば何とかなると思っていた。それが6分も遅れて、山門をくぐるときは半分パニックだった。水屋に寄る前にトイレの横の流し台で水を補給する、500ccを一気に飲み、下山の時のためにペットボトルに詰める。それからすぐに本堂の前へ、蝋燭、線香をあげ、納め札、お賽銭を入れる。でもさすがに般若心経を詠む余裕はなかった。手を合わせて一礼するにとどめるしかなかった。大師堂でも同じことを繰り返し、休憩なしでそのまま山門に向かった。山門を出たのは14時37分、35分に出ればいいと思っていたから、これで何とかなりそうだ。前回、前々回以上のバタバタになってしまった。


 14:41
自動車道に合流。下り坂でだいぶ楽には歩けているけれど、例年のようなしっかりした歩きはできていない。足首が気になって無理にスピードを出すこともできない。

県道を横断してすぐ歩き道にはいる。


 14:43
また県道を横断する、歩き道は相当な短絡路になっている。その分勾配もかなりなもの、ひざに負担がかかってくる。


 14:50
小橋を渡る。この渓流はなべいわからずっと県道沿いに流れて神山の町に入る所で鮎喰川に合流する。


 14:53
三度県道に合流する。下りきった所に山門の下ですれちがった男の人がいた。携帯でお話中だったので、声もかけず遍路宿情報を突き出して無理矢理受け取って貰った。何のことか判らないだろうけれど、じっくり見てもらえば必ず重宝して貰えると確信している。

今度はしばらく県道を歩く。県道は勾配も緩やかで足元もしっかりしているけれど、思ったほど調子は出ない。


 14:56
県道を250mほど歩くと杖杉庵に着く。焼山寺から1.8kmを19分、悪くない数字だけどいつもならもう2分は早く来ていただろう。へんろみち保存協力会の地図には何度改訂されても「じょうさんあん」と書かれているけれど、「じょうしんあん」が正解。杉の音読みは「しん」であって「さん」という読みはない。

杖杉庵の前から県道を離れ歩き道短絡路に入る。最初は背の低い果樹園の中を行く。


 14:59
果樹園を抜けるとかなり急な山道が待っている。足元は安定していないので足首に負担がかかる。ここまで急な下り坂が続いたので、ひざの周りの筋肉や筋もかなりダメージを受けている。三坂峠や横峰寺の下りでは同じような痛みを感じたこともあるけれど、この下りでこれだけの負担を感じたのは初めてかもしれない。


 15:09
県道に合流、これで短絡山道は終わり。ここからゴールまでずっと県道を行く。


 15:14
すだち館はネットでの情報しか持っていなかったので、詳細な位置は知らなかった。バスターミナルの公衆トイレの向かい側にあった。お接待所では男性が一人休んでいた。焼山寺からここまで3.4kmを37分で下りてきた。昨年より3分の遅れ、バス停までまだ4.1kmあるからこの調子で行くと微妙な感じ。


 15:48
すだち館から左右内谷川を右に見ながら県道43号を歩く。鮎喰川に架かる寄井喜多橋が神山の町の入口。3.3kmを33分でやってきた。時速は6km出たけれど、やはり思ったような感じでは歩けなかったし、昨年のように楽しくもなかった。昨年はこの道は初めてで、1日の最後の部分で、本当にリラックスして歩けたのを覚えている。その時の時速は5.5km、全然速くなかったけれど、天気が良くなって、心地よいなだらかな下りで、初めて見る景色で、開放感に満ちていた。今日追い抜いてきたお遍路さんを見ていても思ったけれど、速ければよいというものではないと、改めて身に沁みた。ゆっくりと、時間をたっぷりかけて歩くということは、それだけ深く豊かにへんろ道を味わえるということだ。足を痛めたりしていれば、苦しくて辛いだけの道のりになるかもしれないけれど、それでもぼくのような歩き方よりも得るものは確実に大きいものがあるはずだ。


 15:50
橋を渡って突き当たりにバス停があった。時刻表を見ると、ぼくの乗るべき時刻がなかったので一瞬驚いたけど、考えてみればこれは下りのバス停で、上りのバス停はもう少し先にあるのだった。


 15:55
下りのバス停から100m先、スーパーの前で高校生3人と年輩の男性がバスを待っている。ただしバス停の印はなくて心許ないのでもう一つ先のバス停まで歩くことにする。本当はもう二つ先の寄井中(400m東)まで歩く予定(次回乗るバスは寄井中が終点なので)だったけれど、時間がかなり微妙になったのと、心身共に相当疲れてしまったので、二つのバス停の中間にある寄井を本日のゴールにすることにした。バスの時間は59分なので余裕は4分しかなかった。でもこのバスの時間に間に合ったことで、今回の旅は100点満点だといえる。確かに、柳水庵からの後半は不本意極まりない歩きだったけれど、これだけ多くの制約がある中で歩くわけだからそれは仕方のない所。足の怪我は治りきっていないし、そのせいで練習は不十分で山登りの練習も全くできていない。季節は夏に近いし、限られた時間もある。本当なら完全に無理なことに違いない。山を登りながら、初めて、無理なことをしているのではないかという疑問が何度も頭をかすめた。
 でも今回も、無理してもやって良かったと心から思った。前2回とは全く違う部分が鍛えられた。アキレス腱の上の部分の筋肉がかなり痛んだ、帰って4日くらい張りが残るくらい。焼山寺を越えなければなかなか強くすることができなかっただろう。それでも、その上のふくらはぎの筋肉はまだフニャフニャで右足よりよりも1cm細い。まだ100%には時間がかかりそうだ。


6月10日 ①

2010-06-11 | 10年日帰り遍路

 10:20
2週間ぶりに前回のゴール、鴨島駅に戻ってきた。電車が到着したのは10時17分、白衣を着け、遍路バッジをザックに付けて歩き始めたのは10時21分。この駅前通を歩くのは5年ぶりになる。


 10:21
5年前、3回目の時にお世話になったビジネスホテル双葉が廃業になっていた。第9版のへんろ地図から消えていたので判ってはいたけれど、実際に目にするとやはりさびしい。福知山線の脱線事故のニュースを見たのはこのホテルでだった。
 ぼくが泊まったことがある遍路宿で廃業になったのは、民宿坂本屋(阿波市=休業)、飛巌荘(室戸市)、山本旅館(奈半利町)、伊予屋旅館(四万十町)、民宿わかば(黒潮町)、民宿北村(土佐清水市)、ビジネスホテル桂月(宿毛市)、内海リゾートホテル(愛南町)、月の家旅館(今治市)。山本旅館には5回、内海リゾートホテルには3回泊まったから、廃業と判ったときには本当にひどいショックだった。


 10:22
評判の遍路宿、さくら旅館の前を通過。掃除も行き届いて見るからに雰囲気のいい玄関だ。


 10:26
国道192号の交差点までやってきた。ここを右に折れる。手前右は阿波銀行、向こうはマルナカ。


 10:27
スーパーマルナカは四国を中心に展開、香川70店、徳島27店、愛媛23店、高知15店。愛媛はフジ、高知はサンシャインの方が幅を利かせているようだ。


 10:28
国道を西へ行くとすぐ左に折れる標識が現れる。


 10:29
鴨島郵便局の角を左に折れる。


 10:30
道を挟んで郵便局の隣にローソンがある。ここに来ると毎回食料を仕入れた。何しろこの先30kmくらい適当なスーパーやコンビニは見当たらない。今回は入らない。


 10:33
今日初めての遍路シール、この右斜めに入る道は一度も行ったことがない。2年前ここに来たときにもこのシールはあったと思うけれど、その時は旅館吉野に直行したのでこのシールは無視するしかなかった。でもこの道には赤点線は付いていない。今の地図には郵便局から南下する道にも付いていない。でも、昔の白黒の地図には郵便局からの道には付いていた。逆に、今の地図に付いている阿波中央橋からそのまま南下する道の方には付いていなかった。おそらく、鴨島駅の周辺に泊まった人の多くは昔からぼくが今日ここまで来た道を歩いたのだと思う、そしてここも右に入らず、そのまま直進したのだと思う。でもせっかくの初めての道なので矢印に従うことにする。


 10:34
水路に当たって右に折れる。矢印もある。


 10:35
水路にかかる小橋の所で左折。


 10:36
橋を渡ると右手に飯尾敷地小学校が見える、できたばかりの新しい小学校のようだ。

直進している道にも矢印がある。なくてもいいようなものだけど、あれば安心できる。


 10:38
突き当たりを右折する。ミラーのポールにちゃんと矢印がある。

右折するとすぐ飯尾郵便局がある。この前の道は初めてではない。6年前、本来のへんろ道を歩いたとき藤井寺の1.2km手前で右折するところを、そのまま直進してこの前の道を通り鴨島駅の方に向かった。当時は旅館吉野がなかったので駅の近くの宿に泊まることにした。

郵便局のすぐ前を左折する。

左折するとまた田園の道。


 10:39
すぐまた右折、飽きのこない道。


 10:40
また左折。せっかくなので曲がり角は全部撮影することにする。

曲がると広めのあぜ道。


 10:41
自動車道に当たると左折、ガードレールがなかったら矢印はどうなっていたか。
ここは阿波中央橋から南下してくる道と合流するポイント。

すぐ右折。

曲がるとまたあぜ道、こちらの田んぼは田植えはまだだ。山が近づいてきた。


 10:43
この20mくらい手前に右折ポイントがあったけれど、矢印はなかった。貼れるところが全くなかった。でもその地点から右の方を見るとこの矢印が見えていたので迷わず右折して、この左折ポイントへやってきた。

曲がると川沿いの広い自動車道を行く。


 10:48
旅館吉野の前を通るいつもの道と合流、帰ってから測定すると、いつもの道の方が30mほど短かった。ここまでの矢印はほとんど無駄だったのではないか、ちょっと首をひねりたくなる新しいへんろ道でした。


 10:51
鴨島駅から丁度30分で11番藤井寺に到着した。時速は6.0km、撮影枚数や気温のことを考えればまずまずのスピードだったといえる。


 10:53
納経所の前に新しい建物ができていた。その軒下にはベンチがあって雨の日でもゆっくり休めるようになっている。昨年までは小さなお堂の軒下に腰かけるところはあったけれど、充分だとはいえなかったので、これからは雨の日でも安心。この建物は、通夜堂(簡易宿泊施設)のような感じもするけれど、だとしたら重宝する野宿遍路の人は多いだろう。


 11:01
境内には車遍路の人が3人ばかり、歩きで焼山寺を越えるには遅くても9時にはここを発たなくてはならない。ぼくが歩きの人に追いつくのは早くても浄蓮庵を過ぎてからになるだろう。


 11:01
登り口にある注意書きと小さな祠、1番霊山寺とある。ここからしばらくはミニ四国になっていて88ヶ所のご本尊がお祀りされている。その出口がこの登り口の少し下の所にあって、間違ってそこから登り始めてうろうろしたことが3度もある。昨年7回目なのに間違ってしまったくらい。

と書かれても、初めてここに来る人にとっては、自分がどれくらいで歩けるのかは全く見当が付かないだろう。


 11:02
ここには16kmと書いてあるけれど、へんろみち保存協力会の地図には12.9kmとある。どちらが正しいのか判らない。山道は正確に測ることができないので、一応地図の距離を信用することにしている。


 11:03
登り初めはミニ四国が並ぶなだらかな坂道。ミニ四国はこの先で下り坂に別れ、そこからが本当の山道になる。


 11:06
数字の意味はよく分からないけれど、とにかくここからが遍路ころがしということらしい。

上を見上げるとこんな感じ、毎度のことながら写真では坂の勾配はあまり伝わらない。光も不十分で全体としてよく分からない。ぼくのカメラではこれが限界。


 11:11
広い道に出てきた、手前に新しいベンチがあって、ここで一息つきたくなるのが人情。実際何回か休んでいる人を見かけたことがある。でもまだ登り始めて9分、全体の5%しか進んでいない、ここで休む人は6時間で焼山寺へ到着することはできないだろう。

ベンチのすぐ前に判りやすい道標がある。


 11:12
幅の広い平坦な林道からUターンして急な坂道に入っていく。


 11:13
右手に視界が開けた。絶景、と言いたいところだけど、まだ標高は120mくらい。中間地点、柳水庵の標高の4分の1にも達していない。ゆっくり眺めを楽しんでいる場合ではない。


 11:14
焼山寺まで11.6km、へんろみち保存協力会の地図を信用するなら藤井寺から1.3km登ってきたことになるけれど、目の前の道しるべには700mしか来ていないことになっている。でもまだ12分しか経っていないから700mの方が正解のようだ。これだけの坂道になると、時速は3km前後しか出ない。


 11:15
舗装されたヘアピンカーブの林道。


 11:17
端山休憩所までやってきた。標高は225m、初めての時ここで休憩してしまった。その時は切幡寺門前の宿から出発して、藤井寺まで10km近く歩いていたので無理もなかったけれど、本当に行き当たりばったりだった。先のことなどほとんど見えていなかったし考えてもいなかった。2回目以降はここで休むことはなかった。

さっきの所より100m高いのでさらにいい眺め、でもまだゆっくりすることはできない。撮影のあとすぐ歩き始める。


 11:18
焼山寺まで11.9km、ということは藤井寺から1kmの地点。時速は3.75km、ほとんどきつい坂だったから納得できる数字。


 11:24
ほっと一息つける平坦に近い道、でもそんなに長くは続かない。端山休憩所から長戸庵までの標高差は200mもある。距離は倍以上あるから全体としての傾斜は半分くらいにはなるけれど。


 11:28
3分ほどきつい坂を登って、また平坦なところにやってきた。緩い所ではスピードを乗せたいけれど、いつものような力が出ていない。


 11:31
またきつい坂を3分ほど登って緩やかな所に来た。長戸庵までは緩やかな所は長くは続かない。


 11:37
昨年は調子が悪く長戸庵までがすごく長く感じたので、こういう標識が現れても安心も油断もしない。

ここからはしばらく平坦な道が続く。でもいつものような快適な感じがないのは気温が高いせいだろう。30℃近くまで上がっているのは顔中から噴き出ている汗の量で実感している。


 11:40
まだまだ一息入れることはできない。柳水庵まで休むつもりはない。


 11:43
久々に急坂が眼前に立ちはだかる。でも昨年よりはここまでのダメージは少ないようだ。


 11:45
ここまで来ても、特に期待感もなく淡々と前を目指す。明らかに昨年よりは調子がよい。


 11:51
藤井寺から49分で最初のチェックポイント長戸庵に着いた。驚いたことにベストタイムより2分早かった。最悪だった昨年よりはずいぶんいい感じだとは思ったけれど、一番調子が良かったときに比べれば不十分な感じがしていたので、このタイムは全く意外だった。
 ここは藤井寺から3.2kmの地点、焼山寺までの4分の1の地点になるけれど、時間で計算すれば29%の地点になる。藤井寺からの標高差は400m、結構な勾配だったけれど、この先の浄蓮庵の手前は900mで160mの標高差、焼山寺の手前は2.2kmで300mの標高差を登る。焼山寺の標高は700mだけれど途中で下りもあるから、延べにすると1000m以上は登ることになる。最高地の雲辺寺よりこちらの方が第一の難所とされる所以。

焼山寺まで9.5kmとなっているけれど、地図では9.7kmになっている。ここから柳水庵までは3.4kmで100m登って40m下る。ここまでに比べれば大した標高差はないのだけれど、意識しすぎると自らの足を引っ張ることになる。


 11:56
ここは端山休憩所より200m以上高い所、端山からずっと山の中だったこともあって、思わず立ち止まって見惚れてしまう。

昨年まではベンチしかなかったけど、その横に新しい休憩所ができていた。中で男の人が寝ころんでいた。この時間にこんな所で休んでいて焼山寺を越えることができるのだろうか。


 12:01
山道の中ではこのような馬の背が大好き。なぜ好きかというと、馬の背は大体が平坦な道になっているから。


 12:03
へんろころがし2/6、相変わらずこの数字の意味は分からない。


 12:10
ここからやや下りになる。長戸庵と柳水庵の間のピーク(標高540m)は過ぎたのかもしれない。


 12:12
この距離が正しいとしたら、ここまでの平均時速は3.9kmになる。焼山寺までの平均と比べればちょっと遅い。

前の道しるべと直角に並んで立っている。山道には珍しく直角に左折する。距離や時間はほとんど当てにならないので無視することにする。


新しい遍路宿

2010-06-07 | 日記
 ネット上でまた新しい遍路宿を発見しました。土佐清水市にある民宿「大岐の浜」です。2食付き5000円、夕食付き4500円,TEL=0880-82-8304.できたばかりなのでまだへんろみち保存協力会の地図には載っていません。場所は久百々と大岐マリンの間、足摺自動車学校の横にあるようで、国道から自動車学校へ入っていく道を行けばよいようです。この近くには「民宿いさりび」をはじめ良い宿が多いけれど、6000円以上の宿ばかりなので、少しでも倹約したいという人には格好の宿になるでしょう。女将さんも気さくで話しやすい人だそうです。

週間予報

2010-06-07 | 日記
 2~3日前から徳島県の週間予報が気になっている。3回目を予定している金曜日には晴れのマークも付いているけれど、微妙な感じなので、より確率の高い木曜日に変更することにした。焼山寺は昨年はずっと雨だったし、その前にも雨の中を歩いたことがある。ただでさえ険しい山道なのだから、天気ぐらいは選びたい。
 昨年は藤井寺から焼山寺までたった3枚しか写真が撮れなかった、雨の中で、あの険しい山の中ではどうしようもなかった。今回は50枚は撮りたい、それで3時間15分以内で踏破しなくてはいけない。今回もまたかなりスリリングな旅になりそうだ。

トラッドロード2

2010-06-06 | 日記
 普段使用しているシューズがいよいよ駄目になってきたので、新しいシューズを購入した。前に使っていたのはミズノのランニングシューズ、ジャスコで3980円で買ったもの。格安品だけど履き心地は抜群、雨さえ降らなければこの靴で四国を巡りたいと思っているくらい。今回買ったのも、同じタイプ、トラッドロード2,A8KAー02014、3980円。これで焼山寺を越える。5日前、これで10kmを歩いたとき、広栄橋まで時速7.12km、怪我をする前のベストよりも速く歩くことができた。新しい靴で力を入れすぎたせいで、翌日すねの筋肉がかなり痛んだ。3日後まで痛み(張り)は続いたけれど、そのおかげで、足首の周りの違和感はほとんどなくなった。昨日も10km歩いて、広栄橋までの時速は7.15km、ベスト記録を更新した。すねの筋肉の張りは残っているけれど、1回目の時よりは大分軽くなっている。