WALKER’S 

歩く男の日日

17日目 (3) 民宿磯屋

2008-07-16 | 08年四国の旅
 観自在寺の本堂に張り紙があった。宿坊は素泊まりのみだけど泊まれる、と書いてある。ぼくの見た情報は本当だった。その情報では3500円。2kmほど手前に素泊まり3000円の宿があるけれど、この周辺の宿はほとんど4000円か4500円なので、ぼくのように素泊まりで巡っている人にとっては朗報といえるでしょう。
 今日は5月4日、ここ愛南町で1年を通じて最大のイベント、愛南大漁祭りの当日です。昨年はその前日だったので宿が全く取れなかった。今年はそれに懲りたので、旅に出る前に予約を済ませてきた。祭は最終盤をむかえ落ち着きを取り戻しつつある状態です。会場近くのコンビニで野菜ジュースを買って一息入れる。500ccを一気に流し込む、歩く調子は最高だったけれど、さすがに身体の芯は相当疲労しているようだ。今日の宿民宿磯屋は国道に面していない、200mほど行きすぎてなんだかおかしいと地図を出して確認、遍路道で迷うことはないし、地図を確認することもない。常にそういう感覚でいるから初めて行く宿ではこういう事が起こってしまう。傷口が大きくならない内に無事宿に3時ジャストに到着。女将さんに挨拶をすると、なんだかうろたえた表情、お客さんがなかなか来ない、だいぶ前に観自在寺に着いたのに全然来ない、その人はアメリカから来たそうで、でも流ちょうな日本語だったという。訳が分かんなくてぼくにぼやきを入れる。もし来なかったら外で食事をして貰うことになるかも、とすら言う。「え~っ」それはないよ、高知ではほとんど素泊まり、愛媛の最初の宿で料理を楽しみにしていたのに、と口には出さないけど、こちらも一緒にうろたえる。とりあえず2階の部屋に通される。しばらくすると、その夫婦が到着、隣の部屋へ通された。これで何とか夕食は確保、女将さんは今から食材を買いに行く。
 風呂を頂いてゆっくりしていたら、女将さんがやってきて部屋を変わってほしいという、今着いたお遍路さんが一人だと思ったら、夫婦連れだったのでぼくの部屋に入って貰うしかないという、もちろん快く受け入れ部屋中に広げていた荷物を慌てて全部廊下を挟んだ小さな部屋へ移す、小さな部屋は予備の部屋、あるいは荷物部屋という感じで、細長い5畳ですが、布団やほかの荷物があって使えるのは3畳くらいのスペース、でも机もあるし、休むだけのことだから充分な広さです。
 食事の時間です。評判通り大変豪華で品数が多い。食べきれるか心配になるくらいです。先ずはアジのお刺身。これが最高でした。甘い、魚を食べて甘いと思ったことなど今まであったろうか、でもこの味は甘いと言うしかない。女将さんは、「今まで土佐でさんざんカツオを食べてきたことだろうから、カツオだけは出さない」と言う。ぼくは土佐はほとんど素泊まりで(今年はたまたまお接待で2回カツオを頂いたけれど)カツオでもありがたいのですが、まあ普通のお遍路にはうれしい配慮でしょうね。その代わりにこんなにおいしい魚が頂けるのですから。そして、女将さん特製のジャコ天、有名な伊予の郷土料理です。さらにタコの酢みそあえがとても柔らかくて美味かった。ほかに、アジの煮付け、茶碗蒸し、野菜の天ぷら、お漬け物、ポテトサラダ、味噌汁。
 2食付き6500円(歩き遍路は6000円)。洗濯無料、乾かなかった場合乾燥機も無料で使えます。1階のトイレは温水洗浄便座。

 17日目の歩行距離 37.3km
        歩行時間 6時間03分
        平均時速 6.17km