先日家でバーベキューパーティをしたときに娘の旦那さんとした会話。
「最近は忙しいのかい?」と訊くと「はい、結構忙しいです。でも残業代はちゃんと出るので、経済的には助かってます」とのこと。
「でも管理職の人はいくら残業をしても一定の手当てで終わりなんでしょ?」
「本当にそうなんです!みんな管理職にならない方が良かったって言ってますよ(笑)」
職場の中ではよくある話で、残業代を払いたくないがために管理職を形ばかり増やすという会社もあると聞きます。
管理職の意味とは何なのか考えさせられます。
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だいぶ昔、まだ国土交通省が建設省と呼ばれていたころに、本州の事務所で所長をしたのですが、その事務所に組合活動に熱心な課長が転勤してくるらしい、ということになりました。
課長と言えば管理職なのですが、その人は今度建設省で、管理職の組合を作る活動をしているというのです。
管理職になると、被雇用者の団体である労働組合からは離れるというのが当たり前だった世の中に、今度は管理職たちでユニオンと言う名の組合活動をするというのです。
管理職の組合と言うのは全く想定していない事態でしたが、憲法では、勤労者の団結権,団体交渉権,団体行動権を保障しています。
そしてその一方で、労働組合法という法律では"労働組合"を、「勤労者が組織する団体」しつつも、労働組合に該当しないものの例として
1.次の者(以下「利益代表者」といいます。)の参加を許す労働組合
ア.役員
イ.雇入・解雇・昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位に
ある労働者
ウ.労働関係についての計画・方針に関する機密事項に接するために,
その職務上の義務・責任が組合員としての誠意・責任に直接抵触
する監督的地位にある労働者
エ.その他使用者の利益を代表する者
2.使用者から経理上の援助を受けるもの
3.福利事業のみを目的とするもの
4.主として政治運動・社会運動を目的とするもの
…、と列挙していて、これを見る限り、管理職の組合と言うのは、団体として活動できるけれど、本来の労働組合とは異なり、労働者としての権利を強く主張する過激な団体にはなりえない感じ。
それでも当時はどんな人が来るのかと、ちょっとドキドキして待ち構えていましたが、実際にはちょっと親分肌だけど基本的には道理の分かっている人で、仕事そのものに迷惑をかけるようなこともなく、地域にも熱心に入り込んで良い仕事をしてくれる人でした。
管理職とは何なのか、とずいぶん考えた日々を懐かしく思い出します。
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最近は「家庭内管理職」なんて言葉もあるそうです。現役でバリバリ働いてい、一定の管理職として出世したお父さんが、引退・退職して家庭に入っても、上から目線の命令口調で家庭内のことに指図をする、迷惑な人になってしまっているという意味なんだそう。
家庭は会社のように、命令で動くものではなく夫婦や家族が助け合いながらまとめていかないといけない、ということが分からない会社人間のままでいたりすると、奥さんのストレスの原因になり下がりますよ、ということ。
「管理職」という単語にもいろいろな側面がありますね。