北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

農業のロボット化は夜明け前だ

2017-05-10 22:01:10 | Weblog

 

 今日はある団体の総会の後に、北大の野口伸先生から、『ロボット農機の現状と今後の展望』というお題で講演を聞きました。

 野口先生はかねてよりロボット農機の研究を進めていて、1991年には5馬力の無人トラクター1号機を組み立てて以来、その改良と改善に取り組んでこられました。

 この頃から、日本の農業の高齢化と将来の人で不足が叫ばれていたのですが、全く状況は改善せず、今や日本の農家の平均年齢は66.5歳。

 世界的に見ても農家年齢が65歳以上の割合が61%というのは、圧倒的に高齢化が際立っています。

 
 そこで農業用機械のロボット化によって、①人間の能力を超える作業精度、②昼夜を問わず24時間作業ができる、③複数の機械の同時使用で作業能率を大幅アップ、といった効果が期待できるというわけです。

 農業機械の現段階は、GPSを利用することでハンドルから手を放しても直線運動や農地の端っこでの転回運動などができる【1.オートステアリング】レベルで、北海道では新規農業機械の80%にこれが搭載されているのだとか。今や一般化した技術レベルと言えます。

 しかしここから先には【2.有人ー無人協調作業システム】、【3.無人作業システム】【4.(遠隔監視による無人の)マルチロボット】というより高いレベル化が求められます。

 無人化に向けての最大の障壁は、安全対策なわけで、いかに人感知センサーを発達させても、最後の瞬間に機会を安全に止められるという保証のレベルが必要。

 国もこの課題解決に向けては本気で、この3月には農水省が「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」を定めて、この技術改良と普及の後押しをしています。
 こういう基準ができたことで、メーカーは安心して機械を商品化し、また保険会社も保険商品を作ることができるようになったのだそうです。


          ◆  


 最近の農業は効率化を目指して、トラクターなどの機械を大型化する傾向がありましたが、これには多額のお金がかかりますし、今の機械が陳腐化するというもったいなさもあります。

 しかしこの自動化の技術が進んで、既存の小さめの機械を無人化することができれば、その多くを同時に使っての効率化も果たせます。

 また運転を自動化することで、人間が果たす役割を安全管理に限定できれば、運転技能が衰えた高齢者や女性、未経験者でも農作業の管理ができるようになるという期待もあります。

 準天頂衛星「みちびき」の本格運用が来年に始まれば、いよいよ衛星測位サービスが格段に安定し、また精度も高くなります。

 日本の農業の効率化が格段に進む夜明け前だということを強く感じます。
 


 

 

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