先日、室蘭市を訪ねて市役所の方と意見交換をする機会がありました。
道路をはじめ、インフラの老朽化問題について話をする中で、室蘭市の厳しい現実をいろいろと教えていただきました。
都市の人口が減少しているなか、人が住まず管理されていない空き家が増えていて家が壊れると隣に住んでいる人は不安が増大しているのだと。
もちろん、家を所有している人が適切な管理をしてくれないことがこうした問題の原因なのですが、家や土地を売ろうにも需要がなくて売れず、それを非難しても所有者が管理できない事情はなにも変わりません。
これが人口減少に苦しむ地方のこれが現実なのですが、これをどう解決するか。
国でも、「空家等対策の推進に関する特別措置法」を作っていますが、室蘭市ではこの法律の規定に基づいて、著しく保安上危険な状態にある空家に対し、昨年行政代執行により、特定空家の解体・撤去をしたと言います。
ただ、土地の上の建物を除却して更地にすると、土地への税金が高くなるという税法上の問題があって、おまけにその更地も売れないころから、土地の所有者が二の足を踏むということもあって、これがまた家を除却しようという気持ちを萎えさせます
室蘭市が一歩進んでいるのは、この老朽空き家によって現実的に一番困っているのは隣家ではないかと考え、空き家を公費を投入して除却する際に隣家にも一定の負担を求め、さらに家を除却した後の土地を隣家に譲ったり利用してもらう、という政策を進めるとのこと。
菜園や駐車場などとして隣家にこの土地を利用してもらうことで、土地が荒れ放題になることを防ぎ、かつ一定のメリットを享受するという、相互にメリットを分け合うシステムと言うわけです。
人口が減る中で土地が余ってくるということになると、住民一人当たりが持つ土地の面積を増やすことで土地を管理してもらおうというこのアイディア。
クローズドな利害関係者のなかで問題が解決されるという、なかなか優れアイディアではないでしょうか。
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人口減少に悩む地方都市は多いのですが、課題を絞り込んでそれを一つずつ丹念に解決していくシステム作りは、悩んでいる地方自らが発案しなくてはなりません。
「課題先進地」は「課題解決先進地」でもあるはずです。
意欲のある地方自治体に注目しましょう。