
今週釧路には、今年新規採用の国家公務員一種の人たちが三人訪れてくれて地方自治に関する研修を行っています。
これは国家公務員の人材育成の一環として、研修を充実させる方針のもとで、全国から協力が得られる自治体に対して職員を送り込んで現場というものを体験してもらおうというのです。
今回来釧した三人は、文科省、国交省、人事院からで男性二名女性一名のいずれも法律職の方たちばかり。彼らは日曜日に釧路入りして、月曜日から研修開始。
明後日の金曜日の午前中まで研修日程が入っていて、釧路のまちづくりや窓口業務、福祉、環境、防災、産業などについて一通りの講義と現地見学を行うことになっています。
月曜日には札幌から帰ってきたばかりの私も一時間ほど釧路の自然環境や歴史、産業などについての概括的な講話をしました。

【北海道は広いのだ】

【地方都市の人口減少は大変な問題】
釧路で言えば、かつては石炭、水産業、紙・パルプの三大産業で栄えましたが、それらが苦境を迎えて地域の経済が苦しくなってきているところへ人口減少局面が加わり苦しさを増していますが、おそらくこれは日本中の地方都市で起っていることでしょう。
そんな中、国レベルの観光資源である阿寒と釧路湿原という二つの国立公園を活かして、観光という新しい分野でいかに東アジアを中心とした外国人観光客に地域を楽しんでもらうかということに活路を求めていることなど。

【地域経済はますます苦しくなります】
※ ※ ※ ※ ※
しかし一時間足らずの講和の中で私が本当に伝えたかったのは、知識としての釧路のことではありません。
それよりも日本中の地方都市が自分たちの町にある世界レベルの資源、日本の国レベルの資源、都道府県レベルの資源、などを大切に守りながら育成して、自分たちの財産をいかに増やし、次世代に誇れるまちづくりをするかを一生懸命競い合っているのだということです。
目に見える道路や建物などは整備が進み、人口減少局面を迎えて絞り込みを進めなくてはならず、それらは増えたり減ったりします。
そのようなことも市民の皆さんに説明し理解してもらったうえで一体となって皆がこれからの変化に耐えなくてはならないし、そうしたまちづくりを一緒になってやれるような市としての気概や気風もすべて含むのがまちづくりであるということです。
今や地方分権が進む中で国の役割にも大きな変化が訪れています。国の官僚として極めて狭い領域を守るだけでは、縦割りの領域を調整し折り合いをつけながら満足と幸せを増すように努めようとする地方自治体と利害が相反する局面もあることでしょう。
将来のエリートたちには、現場がそうした複雑な社会に生きているということを覚えて帰っていただきたいものです。
また、初めて訪れた地方自治体が偶然にも釧路であったという縁も大切にしてほしいところです。行く先は極めて運に負うところが多いのだそうですが、同僚の中には研修先が千葉市だった人もいるそうです。
いつでもいけるようなところよりは思い切り離れた釧路の方が面白いに違いありません、いやより面白い研修で送り返してあげたいと思います。