(株)SPI あ・える倶楽部の社長のSさんが市役所を訪ねてきてくださいました。
Sさんとは介護予防をビジネスにしようという「高齢者の外出支援サービス産業の創出」という調査で知り合いになれたのですが、釧路での着地型ビジネスとして、こうした事業をモデル的に実施するための現地調査に訪れてくれたのです。
(株)SPIあ・える倶楽部さんでは、1995年から高齢で健康に不安のある人や身体の不自由な人の外出を支援する為に福祉人材の多能工化を提唱し、全国でトラベルヘルパー(外出支援専門員)の育成をすすめてこられました。
また、介護旅行システムを作ることで社会的サービスをユニバーサルデザイン化することにも取り組んできたもの。最近では、「旅行計画」プログラムによる認知症予防教室や生涯学習活動など健康長寿をテーマとして、さまざまなシニアコミュニティと協働し、都市部に暮らす高齢な人と地方にある健康資源を結ぶプログラムを実施することにより、シニア世代の介護予防・健康増進活動も進めてこられました。
この事業の視点は、高齢者の「生き甲斐」を創出することで介護度合いを上げないようにする旅サービスを売るということ。
実は資産を持った高齢者たちが、本当は旅をしたいのに「お金を使うことへのうしろめたさ」や「旅をしようにもサポートが不安」、「現地でいろいろなことをしたいけれどどこにどう相談するかが分からない」といったハードルがあるために、お金を使わずに、しかも不健康になっているという方が多いのだとか。
それを自分が安心して参加できる旅をサービスとして売り出すことができれば高齢社会はもっと楽しくなるし、お金だって使われるようになることでしょう。
しかもこれまでの旅は比較的若い人から中年までの団体客中心で、お年寄りが来た時のサポートのノウハウやアクティビティの紹介などのノウハウが現地の観光地にも欠けています。
あ・える倶楽部ではそうした高齢者の旅のノウハウを、受け入れる側の現地において共に作り上げられる受け皿を求めていて、モデル的に形になるようなことを始めたいと考えています。
その受け皿の土地として、今年は特に暑さや節電の問題で夏を濾すことが大変な東京から、涼しい北海道へ求めているのですが、中でも釧路こそが適地なのではないか、とあたりをつけて来られたものです。私も大いに釧路はもうすでに北海道ではなく「異国ですから(笑)」と紹介しておきました。
【釧路に旅する値あり】
※ ※ ※ ※ ※
現地サイドでの受け皿の一つとして、高齢者の介護やお世話のノウハウや人材育成が大切になってきます。
あ・える倶楽部では、現地で介護の仕事をしている方が、日中の仕事を終えた後に参加して、観光介護的なノウハウを身につけたいという意欲のある方を求めています。
そういう人たちが集団でいてくれることが大切なのです。
そういう旅を高齢者が自分たちのお金で買って、経済を回しながら介護度をあげずに頑張れるならば、行政としては健康と観光経済の両輪が回るので一石二鳥なのです。
このSさんのお話の中で、突然私の友人で東京で介護タクシー事業をしているM君の話が出てきました。
「Mさんは日中は顔の見える安心な介護タクシーとして働かれていますが、休日はそうした人たちが旅行に行きたいというニーズをサポートすることも始められています。こういうことが高齢者の健康の向上とビジネス需要の高まりに繋がるのだ、というのがもう15年以上私が主張してきたことなのです」
【お年寄りにこそ旅を】
※ ※ ※ ※ ※
Sさんの話はさらに続きます。
「日本人は単なる物見遊山の旅では幸せになれない国民性があるのではないかと思います」
「え、それはどういうことですか」
「ファイブ・リッチといって、欧米ではお金・時間・友人(連れ合い)・健康・趣味の五つがそろうと幸せだと言われるのですが、日本人はこれにさらに『役割』というのが加わるのではないか、と思うのです」
「役割ですか」
「そう、だから定年になって解放されるよりも、それでもどこかで働いたり何かの役に立っていたいという望みをずっと持ち続けているのです。大震災後には、自分でお金を払って被災地へ行きボランティア活動をして感謝されることに満足する人が多いでしょう。これを『チャリティー・ツーリズム』と呼ぶ人もいますが、まさにこういう旅がよく売れているのです」
旅の先に、地域の役に立つようなプログラムも用意するというのは簡単なことではありませんが、ボランティア活動の受け皿があって、そこで地域の人たちと仲良くなってさらに新密度が増す、というようなことができるなら、こういう旅は素晴らしいものになりそうです。
すでに市内のホテルでは連泊することで宿泊料を割安にする企画も作り始めています。
高齢者にとって涼しくて過ごしやすく、医療水準も安心。さらには食べ物がおいしくて風景もきれいという釧路にこそ、サポート体制が出来上がれば、こうした旅のモデル的な高い可能性があると言えるでしょう。
高齢者の生き甲斐あふれる新しい旅の受け皿としての釧路の底力が試されます。
【あ・える倶楽部】 http://www.aelclub.com/
Sさんとは介護予防をビジネスにしようという「高齢者の外出支援サービス産業の創出」という調査で知り合いになれたのですが、釧路での着地型ビジネスとして、こうした事業をモデル的に実施するための現地調査に訪れてくれたのです。
(株)SPIあ・える倶楽部さんでは、1995年から高齢で健康に不安のある人や身体の不自由な人の外出を支援する為に福祉人材の多能工化を提唱し、全国でトラベルヘルパー(外出支援専門員)の育成をすすめてこられました。
また、介護旅行システムを作ることで社会的サービスをユニバーサルデザイン化することにも取り組んできたもの。最近では、「旅行計画」プログラムによる認知症予防教室や生涯学習活動など健康長寿をテーマとして、さまざまなシニアコミュニティと協働し、都市部に暮らす高齢な人と地方にある健康資源を結ぶプログラムを実施することにより、シニア世代の介護予防・健康増進活動も進めてこられました。
この事業の視点は、高齢者の「生き甲斐」を創出することで介護度合いを上げないようにする旅サービスを売るということ。
実は資産を持った高齢者たちが、本当は旅をしたいのに「お金を使うことへのうしろめたさ」や「旅をしようにもサポートが不安」、「現地でいろいろなことをしたいけれどどこにどう相談するかが分からない」といったハードルがあるために、お金を使わずに、しかも不健康になっているという方が多いのだとか。
それを自分が安心して参加できる旅をサービスとして売り出すことができれば高齢社会はもっと楽しくなるし、お金だって使われるようになることでしょう。
しかもこれまでの旅は比較的若い人から中年までの団体客中心で、お年寄りが来た時のサポートのノウハウやアクティビティの紹介などのノウハウが現地の観光地にも欠けています。
あ・える倶楽部ではそうした高齢者の旅のノウハウを、受け入れる側の現地において共に作り上げられる受け皿を求めていて、モデル的に形になるようなことを始めたいと考えています。
その受け皿の土地として、今年は特に暑さや節電の問題で夏を濾すことが大変な東京から、涼しい北海道へ求めているのですが、中でも釧路こそが適地なのではないか、とあたりをつけて来られたものです。私も大いに釧路はもうすでに北海道ではなく「異国ですから(笑)」と紹介しておきました。
【釧路に旅する値あり】
※ ※ ※ ※ ※
現地サイドでの受け皿の一つとして、高齢者の介護やお世話のノウハウや人材育成が大切になってきます。
あ・える倶楽部では、現地で介護の仕事をしている方が、日中の仕事を終えた後に参加して、観光介護的なノウハウを身につけたいという意欲のある方を求めています。
そういう人たちが集団でいてくれることが大切なのです。
そういう旅を高齢者が自分たちのお金で買って、経済を回しながら介護度をあげずに頑張れるならば、行政としては健康と観光経済の両輪が回るので一石二鳥なのです。
このSさんのお話の中で、突然私の友人で東京で介護タクシー事業をしているM君の話が出てきました。
「Mさんは日中は顔の見える安心な介護タクシーとして働かれていますが、休日はそうした人たちが旅行に行きたいというニーズをサポートすることも始められています。こういうことが高齢者の健康の向上とビジネス需要の高まりに繋がるのだ、というのがもう15年以上私が主張してきたことなのです」
【お年寄りにこそ旅を】
※ ※ ※ ※ ※
Sさんの話はさらに続きます。
「日本人は単なる物見遊山の旅では幸せになれない国民性があるのではないかと思います」
「え、それはどういうことですか」
「ファイブ・リッチといって、欧米ではお金・時間・友人(連れ合い)・健康・趣味の五つがそろうと幸せだと言われるのですが、日本人はこれにさらに『役割』というのが加わるのではないか、と思うのです」
「役割ですか」
「そう、だから定年になって解放されるよりも、それでもどこかで働いたり何かの役に立っていたいという望みをずっと持ち続けているのです。大震災後には、自分でお金を払って被災地へ行きボランティア活動をして感謝されることに満足する人が多いでしょう。これを『チャリティー・ツーリズム』と呼ぶ人もいますが、まさにこういう旅がよく売れているのです」
旅の先に、地域の役に立つようなプログラムも用意するというのは簡単なことではありませんが、ボランティア活動の受け皿があって、そこで地域の人たちと仲良くなってさらに新密度が増す、というようなことができるなら、こういう旅は素晴らしいものになりそうです。
すでに市内のホテルでは連泊することで宿泊料を割安にする企画も作り始めています。
高齢者にとって涼しくて過ごしやすく、医療水準も安心。さらには食べ物がおいしくて風景もきれいという釧路にこそ、サポート体制が出来上がれば、こうした旅のモデル的な高い可能性があると言えるでしょう。
高齢者の生き甲斐あふれる新しい旅の受け皿としての釧路の底力が試されます。
【あ・える倶楽部】 http://www.aelclub.com/