民主党の新しい政権は、マニフェストで謳った高速道路無料化を北海道と九州で試行することにしたという記事が流れました。
これまでのやり方から決別して変化をもたらすのが政権交代の一番の眼目ということですが、その変化による痛みを国民が受け入れられるのか、やや心配なのは私だけでしょうか。
---------- 【ここから引用】 ----------
高速無料化 まず北海道・九州で 来年度、ダメージ最小限と判断
9月15日7時56分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090915-00000060-san-pol

民主党は、衆院選マニフェスト(政権公約)で明記した「高速道路の無料化」を、北海道と九州で来年度から先行実施する方針を固めた。複数の関係筋が14日、明らかにした。利用状況や経済効果をにらみながら無料化路線を段階的に拡大していく考えだ。ただ、これまでの道路建設に伴う約30兆円の有利子負債や道路の維持管理コストをどう捻出(ねんしゅつ)するかはいまだに示されていない。民主党の鳩山由紀夫代表が掲げる「温室効果ガス25%削減」方針にも矛盾するとの指摘もある。
◇
無料化を先行実施するのは、供用されている高速道路約7678キロのうち、北海道エリアの581キロ、九州エリアの794キロ。東名高速など大都市圏をつなぐ主要路線と比べると、交通量が少ない路線だ。
高速道路を無料化すれば、交通渋滞、排ガスによる環境悪化、料金所廃止による雇用問題、他の交通機関への影響-など数々の問題が起きるといわれる。
このため、民主党では、交通量が少なく、限定された地域で先行実施すれば、無料化に伴う悪影響を最小限にとどめることができる上、対策を講じやすいと判断した。加えて地域経済に与える効果などを把握でき、このデータを基に複合的な地域活性化策を策定できるメリットもある。
民主党は、マニフェスト工程表で、平成24年度には首都高速、阪神高速を除くすべての高速道路を「原則無料開放」する方針を示した。これに伴い、民主党は23年度の通常国会で、高速道路を保有する独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」を国有化するため法改正する方針。無料化後の高速道路は一般国道の「自動車専用道路」とする方向で検討している。
民主党は経済効果を3年間で2兆円、国内総生産(GDP)を0・41%押し上げると試算している。国交省も20年、首都高速と阪神高速を除く無料化による経済効果を2兆7千億円とする試算をまとめた。
一方、国有化すれば、返済機構が抱える約30兆円の有利子負債は国の債務として計上され、道路の維持管理費や新規建設費は税金で負担することになる。
---------- 【引用ここまで】 ----------
拓銀(都市銀行)の破綻、地方自治体の破綻など、北海道はこれまでも痛みを伴う社会実験の実験台となった感があります。そのうえ今度は九州と共に高速道路無料化のもたらす【悪影響と経済効果】についての人体実験とも呼ぶべき試みとなるわけです。
高速道路無料化が社会に与える影響については、渋滞が頻発する「都市部の高速道路」と利用者の少ない「地方部の高速道路」で状況を分けて考えなくてはなりません。
都市部では渋滞を助長し、渋滞を助長するので良くないのではないか、という指摘が現実的なので、今回はそうした【都会での悪影響の少ない】地方部からはじめてみるということなのでしょう。
高速道路を無料化のメリットとしては、移動に対する負担が軽減されることで、物流業界などは早く正確に物資を届けられてしかも価格転嫁も少なくて済むこと、また負担軽減によって自動車観光の頻度が上がることなどがメリットとして予想されます。
しかしその一方で移動負担経費の変化によって、自家用車と競合して価格体系で利用のバランスを取っていた鉄道路線や飛行機、バスなどの他の公共的交通が打撃を受けることは確実です。
公共交通の経営が悪化するということは、地域経済への影響は大きく不採算路線はさらに縮小の憂き目を見る結果になるわけで、車を持たない人達の日常活動への影響や、不便な地域がさらに疲弊することに繋がるわけでそれが典型的な悪影響と言えるでしょう。
そのうえ、これまで沿道で商売をしていた道の駅やコンビニなども交通量が減ると打撃を受けるでしょう。目的地指向が強くなり、途中でぶらりと地域に立ち寄る観光ももちろん悪影響を被ります。
地域経済のこれ以上の疲弊は不可逆的な変化に繋がりかねなくて、これ以上儲からないようなところではお店が次々に閉まってしまうでしょう。そうしたら「ダメならやり直せばいいよね」といって元に戻したとしても再びこれまで耐えてきたお店が復活することも出来ないでしょう。
そうした高速道路無料化に伴う悪影響が一番小さいから北海道と九州が真っ先に選ばれたのだとしたら、それは【大きな痛みを伴う人体実験】と言わずしてなんと言いましょう。
ETC搭載車への週末千円という施策も、経済対策としての2年間限定施策だったわけで、おかげでETCの売り上げが伸びるなど内需の拡大に一定の貢献をしました。それでも他の交通機関への影響は叫ばれ始めています。
無料化という大転換は十分な事前準備をしたところで大きな負の変化ももたらします。せめて一年の実験として始めるなど、激変を緩和する方法はあるはずです。
なぜ北海道がまたまた実験台にならねばならないのでしょう。所詮そんな存在なんだとニヒルを気取ってすませられるのでしょうか。私には心配の方が多く感じられるのです。
これまでのやり方から決別して変化をもたらすのが政権交代の一番の眼目ということですが、その変化による痛みを国民が受け入れられるのか、やや心配なのは私だけでしょうか。
---------- 【ここから引用】 ----------
高速無料化 まず北海道・九州で 来年度、ダメージ最小限と判断
9月15日7時56分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090915-00000060-san-pol

民主党は、衆院選マニフェスト(政権公約)で明記した「高速道路の無料化」を、北海道と九州で来年度から先行実施する方針を固めた。複数の関係筋が14日、明らかにした。利用状況や経済効果をにらみながら無料化路線を段階的に拡大していく考えだ。ただ、これまでの道路建設に伴う約30兆円の有利子負債や道路の維持管理コストをどう捻出(ねんしゅつ)するかはいまだに示されていない。民主党の鳩山由紀夫代表が掲げる「温室効果ガス25%削減」方針にも矛盾するとの指摘もある。
◇
無料化を先行実施するのは、供用されている高速道路約7678キロのうち、北海道エリアの581キロ、九州エリアの794キロ。東名高速など大都市圏をつなぐ主要路線と比べると、交通量が少ない路線だ。
高速道路を無料化すれば、交通渋滞、排ガスによる環境悪化、料金所廃止による雇用問題、他の交通機関への影響-など数々の問題が起きるといわれる。
このため、民主党では、交通量が少なく、限定された地域で先行実施すれば、無料化に伴う悪影響を最小限にとどめることができる上、対策を講じやすいと判断した。加えて地域経済に与える効果などを把握でき、このデータを基に複合的な地域活性化策を策定できるメリットもある。
民主党は、マニフェスト工程表で、平成24年度には首都高速、阪神高速を除くすべての高速道路を「原則無料開放」する方針を示した。これに伴い、民主党は23年度の通常国会で、高速道路を保有する独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」を国有化するため法改正する方針。無料化後の高速道路は一般国道の「自動車専用道路」とする方向で検討している。
民主党は経済効果を3年間で2兆円、国内総生産(GDP)を0・41%押し上げると試算している。国交省も20年、首都高速と阪神高速を除く無料化による経済効果を2兆7千億円とする試算をまとめた。
一方、国有化すれば、返済機構が抱える約30兆円の有利子負債は国の債務として計上され、道路の維持管理費や新規建設費は税金で負担することになる。
---------- 【引用ここまで】 ----------
拓銀(都市銀行)の破綻、地方自治体の破綻など、北海道はこれまでも痛みを伴う社会実験の実験台となった感があります。そのうえ今度は九州と共に高速道路無料化のもたらす【悪影響と経済効果】についての人体実験とも呼ぶべき試みとなるわけです。
高速道路無料化が社会に与える影響については、渋滞が頻発する「都市部の高速道路」と利用者の少ない「地方部の高速道路」で状況を分けて考えなくてはなりません。
都市部では渋滞を助長し、渋滞を助長するので良くないのではないか、という指摘が現実的なので、今回はそうした【都会での悪影響の少ない】地方部からはじめてみるということなのでしょう。
高速道路を無料化のメリットとしては、移動に対する負担が軽減されることで、物流業界などは早く正確に物資を届けられてしかも価格転嫁も少なくて済むこと、また負担軽減によって自動車観光の頻度が上がることなどがメリットとして予想されます。
しかしその一方で移動負担経費の変化によって、自家用車と競合して価格体系で利用のバランスを取っていた鉄道路線や飛行機、バスなどの他の公共的交通が打撃を受けることは確実です。
公共交通の経営が悪化するということは、地域経済への影響は大きく不採算路線はさらに縮小の憂き目を見る結果になるわけで、車を持たない人達の日常活動への影響や、不便な地域がさらに疲弊することに繋がるわけでそれが典型的な悪影響と言えるでしょう。
そのうえ、これまで沿道で商売をしていた道の駅やコンビニなども交通量が減ると打撃を受けるでしょう。目的地指向が強くなり、途中でぶらりと地域に立ち寄る観光ももちろん悪影響を被ります。
地域経済のこれ以上の疲弊は不可逆的な変化に繋がりかねなくて、これ以上儲からないようなところではお店が次々に閉まってしまうでしょう。そうしたら「ダメならやり直せばいいよね」といって元に戻したとしても再びこれまで耐えてきたお店が復活することも出来ないでしょう。
そうした高速道路無料化に伴う悪影響が一番小さいから北海道と九州が真っ先に選ばれたのだとしたら、それは【大きな痛みを伴う人体実験】と言わずしてなんと言いましょう。
ETC搭載車への週末千円という施策も、経済対策としての2年間限定施策だったわけで、おかげでETCの売り上げが伸びるなど内需の拡大に一定の貢献をしました。それでも他の交通機関への影響は叫ばれ始めています。
無料化という大転換は十分な事前準備をしたところで大きな負の変化ももたらします。せめて一年の実験として始めるなど、激変を緩和する方法はあるはずです。
なぜ北海道がまたまた実験台にならねばならないのでしょう。所詮そんな存在なんだとニヒルを気取ってすませられるのでしょうか。私には心配の方が多く感じられるのです。