妊娠は病気ではないけれど、命をかけた一大作業であることに変わりはありません。ところがそれが医学の進歩と共に、あたかもあたりまえのごとくに軽く扱われているのも事実。
男性はともかく、女性自らが自分の身に降りかかるであろう事に対してあまりにも知らなさすぎるのではないか、と焦燥感を感じるのは医師の皆さん達です。
いつも送られてくる医学メルマガmricからの記事です。
『いつかお母さんになるあなたへ』というブログが絵本になったのだそうです。たくさんの若い女性に読んで欲しいものです。
---------- 【以下引用】 ----------
***************************************************
産婦人科医の想い詰まった絵本『いつかお母さんになるあなたへ』
(図書館協会選定)
2009年7月15日 MRIC編集長 上昌広
http://medg.jp
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昨年、産婦人科分野では、社会的に大きな話題を呼んだ2つの出来事がありました。脳出血を起こした妊婦さんの受け入れ先がなかなか決まらず結局脳出血で亡くなった都立墨東病院事件、それから福島県立大野病院事件の無罪判決です。
この2つの出来事の延長線上に一冊の絵本が生まれていたことをご存じでしょうか。タイトルは、『いつかお母さんになるあなたへ ~ 妊娠の心得』(ロハスメディア、1050円、 http://lohasmedical.jp/books/ )といいます。これから親になっていく中高生に読んでほしい、知ってほしいという産婦人科医たちの想いがこもった作品でした。このほど、その志が評価されて日本図書館協会の選定図書になり、長く広く読み継がれることが可能となりました。ぜひ現物をご覧になってみて、身の回りの方に勧めてください。図書館へ蔵書リクエストしてください。
原案は、川崎医大産婦人科講師だった宋美玄医師がブログに載せた『妊娠の心得11か条』です。このブログは後に昨年のblogアワードを受賞することとなります。それを沈沢欣恵医師が、大野病院事件で被告医師の支援活動を行ってきた「周産期医療の崩壊をくいとめる会」に紹介しました。会の医師達も共感し、もっと世の中に広めたいと佐藤章代表と海野信也・北里大産婦人科教授が加筆、気鋭のイラストレーター村上テツヤ氏の絵を添えて、『ロハス・メディカル』誌09年1月号に掲載しました。そこに、さらに絵を足して出版されたのが『いつかお母さんになるあなたへ』です。
宋美玄:
元々は私が墨東の件の報道を見て、普段から一般女性に知ってもらいたいと思っていたことをまとめてブログに載せただけだったのですが、貴重な出会いの連続から素敵な形にすることが出来ました。当たり前だけど大事なことばかりですので少しでも広めていただけると幸いです。
沈沢欣恵:
人生の大きな出来事である妊娠や分娩に際し、ご自分や生まれくるベビーを大切にして欲しい・・・。産婦人科医はこういう思いを持ちつつも、人手や時間がなく、十分にその思いを患者さんに伝えきれていません。この心得は、産婦人科医が妊娠や分娩において留意して頂きたい重要な懸念事項をシンプルにまとめあげたもので、一目で秀作だと思いました。
山根希美さん:
私は、「妊婦たらいまわし」の経験者で、障害児の母親です。
常位胎盤早期剥離による突然の大出血に見舞われましたが、多くの方々の適切な判断と高い医療技術や整った環境に恵まれたおかげで、母子ともに命を救われました。
昨今の産科をはじめとする医療にまつわる問題が取りざたされるたびに、障害児の親として、望まぬ結果を受容しがたい心情も共感しながら、子供とともに命を救われたものとして、医療の限界や、限り有る医療資源を守るためにしなければいけないことは何か、出来ることはなんなのかを考えてきました。
宋美玄先生が、産婦人科医の立場から、医療者と非医療者との溝を埋めようと、「妊娠の心得」を作ってくださったとき、一人でも多くに人に読んでもらい、一緒に考えてもらうために広めることが、私の「出来ること」であり、私たちにとって「必要なこと」なのだとおもいました。
妊娠出産にも色々な形が有ることや、誰にでも等しくリスクがあることが理解され、若い親たちが、長い子育てのスタートを、出来るだけ良い形で切ることができるように、そして、その「育ち」を、見守り支えることができる社会でありつづけるために、「いつかお母さんになるあなたへ」がより多くの人に読まれることを願っています。
川口恭(ロハス・メディカル発行人):
医療者が当たり前だと思っていることと、世の中の一般の人が期待していることとの間に凄まじいギャップがあることを日々痛感しています。妊娠出産は、その最たるものかもしれません。何か問題が出てからギャップを埋めるのは至難の業なので、問題の出る前にあらかじめ情報を伝えておく必要があります。特に若い人たちにアプローチできればと考えて絵本にしました。とても大事なことが、一瞬で心の中に入ってくる絵本です。ご活用いただければ幸いです。
松村有子・佐藤章(周産期医療の崩壊をくい止める会):
周産期医療は、新しい命を迎える素晴らしい場でもあります。多くの方々に知ってもらいたいと願っています。
---------- 【引用ここまで】 ----------
宋先生のブログは「LUPOの地球ぶらぶら紀行」
http://blogs.yahoo.co.jp/mihyon0123/18482021.html
ちなみに「妊娠の心得11箇条」とは、
1.セックスをしたら妊娠します。
2.「この男の子供を産むためなら死んでもいい!」と思うような男の子供しか妊娠してはいけません。
3.妊娠しただけでは喜ばない。安易に他人に言わない。
4.神様から授かったら、それがどんな赤ちゃんでも、あなたの赤ちゃんです。
5.産む、産まないは自分たち夫婦で決めましょう。
6.かかりつけ医をもちましょう。
7.赤ちゃんは全ての運命をあなたに預けていることを忘れないで。
8.赤ちゃんが完全に元気であるか分かる方法はありません。
9.出産は出来うる限り安全な場所でしましょう。
10.下から産んでも、お腹から産んでも、あなたはお母さん。
11.妊娠・出産は一つとして同じものはありません。
これらの一つ一つに詳しい説明がついています。例えば11番目の「妊娠・出産は一つとして同じものはありません」には、「妊娠・出産を経験すると、自分が何でも知ってる気になってしまう人がいます。年配のご婦人で『私のときはこうだったわよ』のように先輩面をする人もよくいますよね・・。でも、一つとして同じ妊娠・出産はありません。同じ人が次にまた妊娠しても、同じようになるとは限りません。自分の経験を別の人や別の妊娠にあてはめないようにしましょう」とありました。
出産が女性のことだとは言っても、男性の側からもしっかりとした知識とサポートが求められる共同作業に違いありません。
ネットが苦手な方は図書館でこの絵本を手に取ってみてください。
男性はともかく、女性自らが自分の身に降りかかるであろう事に対してあまりにも知らなさすぎるのではないか、と焦燥感を感じるのは医師の皆さん達です。
いつも送られてくる医学メルマガmricからの記事です。
『いつかお母さんになるあなたへ』というブログが絵本になったのだそうです。たくさんの若い女性に読んで欲しいものです。
---------- 【以下引用】 ----------
***************************************************
産婦人科医の想い詰まった絵本『いつかお母さんになるあなたへ』
(図書館協会選定)
2009年7月15日 MRIC編集長 上昌広
http://medg.jp
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昨年、産婦人科分野では、社会的に大きな話題を呼んだ2つの出来事がありました。脳出血を起こした妊婦さんの受け入れ先がなかなか決まらず結局脳出血で亡くなった都立墨東病院事件、それから福島県立大野病院事件の無罪判決です。
この2つの出来事の延長線上に一冊の絵本が生まれていたことをご存じでしょうか。タイトルは、『いつかお母さんになるあなたへ ~ 妊娠の心得』(ロハスメディア、1050円、 http://lohasmedical.jp/books/ )といいます。これから親になっていく中高生に読んでほしい、知ってほしいという産婦人科医たちの想いがこもった作品でした。このほど、その志が評価されて日本図書館協会の選定図書になり、長く広く読み継がれることが可能となりました。ぜひ現物をご覧になってみて、身の回りの方に勧めてください。図書館へ蔵書リクエストしてください。
原案は、川崎医大産婦人科講師だった宋美玄医師がブログに載せた『妊娠の心得11か条』です。このブログは後に昨年のblogアワードを受賞することとなります。それを沈沢欣恵医師が、大野病院事件で被告医師の支援活動を行ってきた「周産期医療の崩壊をくいとめる会」に紹介しました。会の医師達も共感し、もっと世の中に広めたいと佐藤章代表と海野信也・北里大産婦人科教授が加筆、気鋭のイラストレーター村上テツヤ氏の絵を添えて、『ロハス・メディカル』誌09年1月号に掲載しました。そこに、さらに絵を足して出版されたのが『いつかお母さんになるあなたへ』です。
宋美玄:
元々は私が墨東の件の報道を見て、普段から一般女性に知ってもらいたいと思っていたことをまとめてブログに載せただけだったのですが、貴重な出会いの連続から素敵な形にすることが出来ました。当たり前だけど大事なことばかりですので少しでも広めていただけると幸いです。
沈沢欣恵:
人生の大きな出来事である妊娠や分娩に際し、ご自分や生まれくるベビーを大切にして欲しい・・・。産婦人科医はこういう思いを持ちつつも、人手や時間がなく、十分にその思いを患者さんに伝えきれていません。この心得は、産婦人科医が妊娠や分娩において留意して頂きたい重要な懸念事項をシンプルにまとめあげたもので、一目で秀作だと思いました。
山根希美さん:
私は、「妊婦たらいまわし」の経験者で、障害児の母親です。
常位胎盤早期剥離による突然の大出血に見舞われましたが、多くの方々の適切な判断と高い医療技術や整った環境に恵まれたおかげで、母子ともに命を救われました。
昨今の産科をはじめとする医療にまつわる問題が取りざたされるたびに、障害児の親として、望まぬ結果を受容しがたい心情も共感しながら、子供とともに命を救われたものとして、医療の限界や、限り有る医療資源を守るためにしなければいけないことは何か、出来ることはなんなのかを考えてきました。
宋美玄先生が、産婦人科医の立場から、医療者と非医療者との溝を埋めようと、「妊娠の心得」を作ってくださったとき、一人でも多くに人に読んでもらい、一緒に考えてもらうために広めることが、私の「出来ること」であり、私たちにとって「必要なこと」なのだとおもいました。
妊娠出産にも色々な形が有ることや、誰にでも等しくリスクがあることが理解され、若い親たちが、長い子育てのスタートを、出来るだけ良い形で切ることができるように、そして、その「育ち」を、見守り支えることができる社会でありつづけるために、「いつかお母さんになるあなたへ」がより多くの人に読まれることを願っています。
川口恭(ロハス・メディカル発行人):
医療者が当たり前だと思っていることと、世の中の一般の人が期待していることとの間に凄まじいギャップがあることを日々痛感しています。妊娠出産は、その最たるものかもしれません。何か問題が出てからギャップを埋めるのは至難の業なので、問題の出る前にあらかじめ情報を伝えておく必要があります。特に若い人たちにアプローチできればと考えて絵本にしました。とても大事なことが、一瞬で心の中に入ってくる絵本です。ご活用いただければ幸いです。
松村有子・佐藤章(周産期医療の崩壊をくい止める会):
周産期医療は、新しい命を迎える素晴らしい場でもあります。多くの方々に知ってもらいたいと願っています。
---------- 【引用ここまで】 ----------
宋先生のブログは「LUPOの地球ぶらぶら紀行」
http://blogs.yahoo.co.jp/mihyon0123/18482021.html
ちなみに「妊娠の心得11箇条」とは、
1.セックスをしたら妊娠します。
2.「この男の子供を産むためなら死んでもいい!」と思うような男の子供しか妊娠してはいけません。
3.妊娠しただけでは喜ばない。安易に他人に言わない。
4.神様から授かったら、それがどんな赤ちゃんでも、あなたの赤ちゃんです。
5.産む、産まないは自分たち夫婦で決めましょう。
6.かかりつけ医をもちましょう。
7.赤ちゃんは全ての運命をあなたに預けていることを忘れないで。
8.赤ちゃんが完全に元気であるか分かる方法はありません。
9.出産は出来うる限り安全な場所でしましょう。
10.下から産んでも、お腹から産んでも、あなたはお母さん。
11.妊娠・出産は一つとして同じものはありません。
これらの一つ一つに詳しい説明がついています。例えば11番目の「妊娠・出産は一つとして同じものはありません」には、「妊娠・出産を経験すると、自分が何でも知ってる気になってしまう人がいます。年配のご婦人で『私のときはこうだったわよ』のように先輩面をする人もよくいますよね・・。でも、一つとして同じ妊娠・出産はありません。同じ人が次にまた妊娠しても、同じようになるとは限りません。自分の経験を別の人や別の妊娠にあてはめないようにしましょう」とありました。
出産が女性のことだとは言っても、男性の側からもしっかりとした知識とサポートが求められる共同作業に違いありません。
ネットが苦手な方は図書館でこの絵本を手に取ってみてください。