何となくじめじめした天気が続く関東地方。梅雨明けはもう少し先のようです。
そんな思い通りにならないじめじめした天気ですが、思い通りにならないと言えば、モチベーションの下がった組織も同じ。
プロ野球やJリーグを見ていて、選手構成はあまり変わらないのに監督が替わったとたんに弱かったチームが強くなったり、強かったチームが奮わなかったりするのはよくある話。人を動かすっていうのは本当に難しいことなんですね。
そんな人を動かす話がありましたのでご紹介します。
---------- 【ここから引用】 ----------
[Business Media 誠] 人が動かない4つの理由
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0907/06/news002.html
品川女子学院校長の漆(うるし)紫穂子氏が手がけた学校改革。改革に際して、漆氏が気付いた「人が動かない4つの理由」とは何なのか。そして、動かすために漆氏はどうしたのかを紹介する。

私立中高一貫の品川女子学院創業者のひ孫であり、前校長の娘である漆(うるし)紫穂子氏は、大学卒業後、都内の別の学校の教員になっていました。しかし、品川女子学院が危機的状況にあることを聞いた漆氏は、1989年、28歳の時に同学院に入り、たった1人からの改革に着手します。
当時の品川女子学院は、中等部への入学応募者数がわずか28人。1学年の生徒数が5人という時期もあり、まさに廃校寸前でした。しかし、学校改革に成功した今、生徒数は1246人(2008年現在)となり、中等部への入学応募者数は約1800人と、20年前の60倍へと増加しています。
同学院に入ったばかりのころ、漆氏が同僚などに現状を聞くと、皆、異口同音に「もう手遅れだよ……」と言ったそうです。誰もが「同学院のどこが良くないか」を指摘することはできたのです。しかし、問題点が分かっていながらも、「あきらめモード」に入っていたのです。このため、「改革の必要性をいくら訴えてもなかなか動いてくれなかった」と、漆氏は当時を回想します。
孤軍奮闘する毎日の中で、漆氏は「人が動かない理由」には以下の4種類があることに気付きます。
(1)知らない(現状を実感として把握していない)
内部にいると、厳しい現状でさえ日常になってしまい、危機感を失っていきます。
(2)責任を取りたくない
賛意を表明してしまうと、失敗したときに自分の立場が悪くなるから。現場での協力はするが、賛成はしないという人もいました。
(3)めんどくさい
現状を変えるのが面倒なので、あれやこれやとうまくいかない理由を挙げてやらないで済まそうとしました。
(4)あなたが嫌い
改革着手当時は20代とまだ若く経験も浅い漆氏。「校長の娘という立場を盾に偉そうなことを言っている」と感じる人がいました。
* * * * *
【人が動かない4つの理由を解決するためには】
漆氏は、それぞれの理由について、次のような工夫で乗り越えていったそうです。
(1)知らない(現状を実感として把握していない)
外部から見たらどんなに厳しい状況なのか実感してもらうため、外の人に会いに行く時、同僚たちにも同行してもらいました。
(2)責任を取りたくない
学内の様々な改革プロジェクトチームにおいて、漆氏が「私が責任を取るから!」と、いわば皆の「風除け」になることを明言しました。
(3)めんどくさい
できない理由を挙げる人は、漆氏とは「違う絵」を見ていた。漆氏は改革がうまくいった時に、生徒が喜んでいる「ゴール」のイメージを描いていたのに対し、動かない人たちは、そのプロセスで遭遇するであろう、さまざまなトラブルや障害をイメージしていました。つまり、人によって、ゴールorプロセス、あるいは成果orリスクのどちらか一方しか見ていないことがあるということです。
そこで、漆氏は相手の見ている絵がどんなものかを聞き、一方、漆氏は自分が見ている絵がどんなものかを相手に伝えました。こうして、お互いの見ている絵を交換することで、改革に対する理解と行動を促したのです。
(4)あなたが嫌い
わずか5分でもいい、改革に関わる簡単な仕事を頼み込んでやってもらいました。そうすると視点が変わり、主体者意識が出てきます。こっち側に一度でも連れてくれば、漆氏は嫌いな対立者ではなく、同じ改革に取り組む仲間になれます。
一番の原動力は「生徒たちが喜ぶ姿を見たい」というゴールイメージ
こうして、漆氏は、周囲を巻き込みながら、できることから改革を進めていったのだそうです。それにしても、「協力はするが賛成はしない」って、何なんですかねぇ……そこまでして責任から逃げたがるというのはなんとも情けないですよね。
ただ、結局のところ、「生徒たちが喜ぶ姿を見たい」というゴールイメージが先生たちを動かす、最も大きな原動力になったようです。教師をやる動機や充足感、すなわち漆氏の言う「心にスイッチが入る瞬間」は、生徒たちの笑顔にあるからなのだそうです。(松尾順)
---------- 【引用ここまで】 ----------
NPOの事務局をしている友人が、「NPO活動をしていても結構クレームって来るものなんですよ」という話をしてくれました。
「ほほう、そういうときにはどういう対応をするんですか」
「それがね、うちに今いるスタッフがすぐに『それはすみませんでした』って謝っちゃうんで、『簡単に謝るな』って言っているんです」
「クレームには謝るんじゃないんですか」
「事実を追求して本当に悪かったら謝るのは当然なんですが、そこまで至らないような文句にはすぐに謝るべきではないと思うんです。分けもなく謝った瞬間にもう悪いのはこちら、という前提で話が進みますからね」
「じゃあ謝らずにどうするんです?」
「一緒に悩むんですよ。どうしてくれるんだって言われたら、『ははあ、それはお困りですねえ』、『あ、それは私でも腹が立つかもしれませんねえ』ってね」
「そうするとどうなるんですか」
「だんだん相手もどうしたら良いかが分かってきて、逆に『だから、これこれこういう風にするのが良いと思うんだよ』なんて、アドバイスをくれたりするんです。大体文句があったということをとにかく聞いて欲しいという人が多いんですよ」
※ ※ ※ ※
向かってくる相手に対してこちらも構えて「そうではありません」と否定して潰そうとすると、お互いの力がもろにぶつかります。
これに対して向かってくる相手と同じ視点で同じ悩みの方を向いてみると、互いが問題解決に向けた同志にもなれるというのだそうです。
全ての問題がこれで解決するわけではないでしょうけれど、一つの考え方ではありそうです。
自分も同じ目線で一緒の方向を見るというのは人を動かす上でもちょっとしたコツなのかも知れませんね。
そんな思い通りにならないじめじめした天気ですが、思い通りにならないと言えば、モチベーションの下がった組織も同じ。
プロ野球やJリーグを見ていて、選手構成はあまり変わらないのに監督が替わったとたんに弱かったチームが強くなったり、強かったチームが奮わなかったりするのはよくある話。人を動かすっていうのは本当に難しいことなんですね。
そんな人を動かす話がありましたのでご紹介します。
---------- 【ここから引用】 ----------
[Business Media 誠] 人が動かない4つの理由
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0907/06/news002.html
品川女子学院校長の漆(うるし)紫穂子氏が手がけた学校改革。改革に際して、漆氏が気付いた「人が動かない4つの理由」とは何なのか。そして、動かすために漆氏はどうしたのかを紹介する。

私立中高一貫の品川女子学院創業者のひ孫であり、前校長の娘である漆(うるし)紫穂子氏は、大学卒業後、都内の別の学校の教員になっていました。しかし、品川女子学院が危機的状況にあることを聞いた漆氏は、1989年、28歳の時に同学院に入り、たった1人からの改革に着手します。
当時の品川女子学院は、中等部への入学応募者数がわずか28人。1学年の生徒数が5人という時期もあり、まさに廃校寸前でした。しかし、学校改革に成功した今、生徒数は1246人(2008年現在)となり、中等部への入学応募者数は約1800人と、20年前の60倍へと増加しています。
同学院に入ったばかりのころ、漆氏が同僚などに現状を聞くと、皆、異口同音に「もう手遅れだよ……」と言ったそうです。誰もが「同学院のどこが良くないか」を指摘することはできたのです。しかし、問題点が分かっていながらも、「あきらめモード」に入っていたのです。このため、「改革の必要性をいくら訴えてもなかなか動いてくれなかった」と、漆氏は当時を回想します。
孤軍奮闘する毎日の中で、漆氏は「人が動かない理由」には以下の4種類があることに気付きます。
(1)知らない(現状を実感として把握していない)
内部にいると、厳しい現状でさえ日常になってしまい、危機感を失っていきます。
(2)責任を取りたくない
賛意を表明してしまうと、失敗したときに自分の立場が悪くなるから。現場での協力はするが、賛成はしないという人もいました。
(3)めんどくさい
現状を変えるのが面倒なので、あれやこれやとうまくいかない理由を挙げてやらないで済まそうとしました。
(4)あなたが嫌い
改革着手当時は20代とまだ若く経験も浅い漆氏。「校長の娘という立場を盾に偉そうなことを言っている」と感じる人がいました。
* * * * *
【人が動かない4つの理由を解決するためには】
漆氏は、それぞれの理由について、次のような工夫で乗り越えていったそうです。
(1)知らない(現状を実感として把握していない)
外部から見たらどんなに厳しい状況なのか実感してもらうため、外の人に会いに行く時、同僚たちにも同行してもらいました。
(2)責任を取りたくない
学内の様々な改革プロジェクトチームにおいて、漆氏が「私が責任を取るから!」と、いわば皆の「風除け」になることを明言しました。
(3)めんどくさい
できない理由を挙げる人は、漆氏とは「違う絵」を見ていた。漆氏は改革がうまくいった時に、生徒が喜んでいる「ゴール」のイメージを描いていたのに対し、動かない人たちは、そのプロセスで遭遇するであろう、さまざまなトラブルや障害をイメージしていました。つまり、人によって、ゴールorプロセス、あるいは成果orリスクのどちらか一方しか見ていないことがあるということです。
そこで、漆氏は相手の見ている絵がどんなものかを聞き、一方、漆氏は自分が見ている絵がどんなものかを相手に伝えました。こうして、お互いの見ている絵を交換することで、改革に対する理解と行動を促したのです。
(4)あなたが嫌い
わずか5分でもいい、改革に関わる簡単な仕事を頼み込んでやってもらいました。そうすると視点が変わり、主体者意識が出てきます。こっち側に一度でも連れてくれば、漆氏は嫌いな対立者ではなく、同じ改革に取り組む仲間になれます。
一番の原動力は「生徒たちが喜ぶ姿を見たい」というゴールイメージ
こうして、漆氏は、周囲を巻き込みながら、できることから改革を進めていったのだそうです。それにしても、「協力はするが賛成はしない」って、何なんですかねぇ……そこまでして責任から逃げたがるというのはなんとも情けないですよね。
ただ、結局のところ、「生徒たちが喜ぶ姿を見たい」というゴールイメージが先生たちを動かす、最も大きな原動力になったようです。教師をやる動機や充足感、すなわち漆氏の言う「心にスイッチが入る瞬間」は、生徒たちの笑顔にあるからなのだそうです。(松尾順)
---------- 【引用ここまで】 ----------
NPOの事務局をしている友人が、「NPO活動をしていても結構クレームって来るものなんですよ」という話をしてくれました。
「ほほう、そういうときにはどういう対応をするんですか」
「それがね、うちに今いるスタッフがすぐに『それはすみませんでした』って謝っちゃうんで、『簡単に謝るな』って言っているんです」
「クレームには謝るんじゃないんですか」
「事実を追求して本当に悪かったら謝るのは当然なんですが、そこまで至らないような文句にはすぐに謝るべきではないと思うんです。分けもなく謝った瞬間にもう悪いのはこちら、という前提で話が進みますからね」
「じゃあ謝らずにどうするんです?」
「一緒に悩むんですよ。どうしてくれるんだって言われたら、『ははあ、それはお困りですねえ』、『あ、それは私でも腹が立つかもしれませんねえ』ってね」
「そうするとどうなるんですか」
「だんだん相手もどうしたら良いかが分かってきて、逆に『だから、これこれこういう風にするのが良いと思うんだよ』なんて、アドバイスをくれたりするんです。大体文句があったということをとにかく聞いて欲しいという人が多いんですよ」
※ ※ ※ ※
向かってくる相手に対してこちらも構えて「そうではありません」と否定して潰そうとすると、お互いの力がもろにぶつかります。
これに対して向かってくる相手と同じ視点で同じ悩みの方を向いてみると、互いが問題解決に向けた同志にもなれるというのだそうです。
全ての問題がこれで解決するわけではないでしょうけれど、一つの考え方ではありそうです。
自分も同じ目線で一緒の方向を見るというのは人を動かす上でもちょっとしたコツなのかも知れませんね。
