しっかり者の長女・一葉、コウのことを大好きな次女・若葉、コウのことを大嫌いな三女・青葉、おてんばの四女・紅葉。幼なじみの月島四姉妹に囲まれて、樹多村光の青春が幕を上げる…
最新連載『MIX』のTVアニメ化に合わせて文庫化されたようですね。週刊連載時に読んでいなかったので、まとめて読んでみました。これでももう15年前の作品(連載完結は2010年ですが)なんですね、ホントすごいなあだち充…
『タッチ』『MIX』同様、定番の恋と野球の物語で、幼なじみ設定や家族に死者がいる・出る展開も同じです。『H2』にもあった、野球への愛をこじらせてダメなことになっている選手や監督が出てくるところも同じ。でもちゃんと同工異曲になっていて(この言葉は褒め言葉には使わないかな?)、東くんはいいところに着地したと思います。作画が悪役なので苦労したでしょうが。
ただ、キャラの幅がない作家なので、水輝の失敗は目に余りますし、あかねも効いていないのが難点だったなと思いました。水輝はビジュアルはよかったのに、上手く優男というか色男キャラに描けなかったんですね。後半、千田くんと同じになっちゃってましたからね…カッちゃんや新田くん、英雄の路線でよかったんだと思うんだけれど…野球から離れたところにいるのも、おもしろいポジションだったんだけどなあ。作家の「いい男」像の引き出しのなさが露呈しましたし、担当編集もいい提案ができなかったんでしょうね。
さらにあかねの登場は、苦し紛れすぎたのではないでしょうか。どこまで当初から構想されていたのかわかりませんが…『タッチ』では、カッちゃんが死のうとタッちゃんと南はずっと両想いだったのであまり問題がなかったのでしょうが、今回のコウは若葉と両想いで、その若葉が死んで、ラストは青葉とくっつけるというのはそりゃ難儀な道ですよね…死人には勝てないものです。さらに病気をぶっ込むとかホントお笑いぐさです。というか笑えません。
ストーリーとしては甲子園出場を決めて終える、とは決まっていたのかもしれませんが、恋愛に関してはほぼ何も解決されていないままに決勝戦が始まって文庫残り一冊とかになってしまったので、読んでいて解決されるのか本当にヒヤヒヤしましたし、ラストはトートツに感じてフラストレーションが溜まりました。それこそ週刊連載だと気にならなかったかもしれませんが、通しで読むと残念ながらストーリー展開としては失敗している作品だな、と私は思いました。もちろん決勝戦の時々刻々の戦況の変化とともに青葉の心も揺れ動き、変わり、かつ前に進んではいるのですけれど、それ以前にコウのあかねへの違和感、というか彼女は若葉ではない、若葉に似ているのはむしろ青葉だが、それで青葉を好きなわけではない…みたいな想いをもう少し描いておいてほしかったです。
青葉というのは新しい形のキャラクターで、いいなと思ったんですよね。甲子園を目指す野球少年が主人公としていて、その夢を応援する少女がそばにいる、という形があだち漫画の定番だった中で、野球をしている少女を造形した。それがすごい(この作家は野球少女をヒロインにした別の作品も描いてはいますが)。しかも性格が主人公と一緒(なんなら描き分けもかなり怪しい…特にユニフォーム姿のアップ…)、だから仲が悪い、という設定。おもしろい。だからこそもっと、一緒に若葉の死を乗り越えて心が近づく…みたいな流れがありえたんじゃないかなーと思うんですけどね。あとは、初期はコウより青葉の方がずっと真剣に野球をやっていたし上手くもあったんだけれど、青葉は硬式野球の公式戦には出場できないので…というターンになったときに、もっと男女差の話とか、そういうところから恋心の芽生え、ないし移り変わりを描くこともできたんじゃないかな、と思います。
でも、「世界で一番嫌い」は「世界で一番好き」に容易に変化する、のはわかります。この「嫌い嫌いも好きのうち」は正しい。そして「愛してる」「知ってる」の『スター・ウォーズ』よ! この「言わなさ加減」こそあだち漫画の真骨頂かもしれないので、やはりこれはこれで、いいのかな…甘いな、私も。次は『ラフ』をちゃんと読みたいです。
最新連載『MIX』のTVアニメ化に合わせて文庫化されたようですね。週刊連載時に読んでいなかったので、まとめて読んでみました。これでももう15年前の作品(連載完結は2010年ですが)なんですね、ホントすごいなあだち充…
『タッチ』『MIX』同様、定番の恋と野球の物語で、幼なじみ設定や家族に死者がいる・出る展開も同じです。『H2』にもあった、野球への愛をこじらせてダメなことになっている選手や監督が出てくるところも同じ。でもちゃんと同工異曲になっていて(この言葉は褒め言葉には使わないかな?)、東くんはいいところに着地したと思います。作画が悪役なので苦労したでしょうが。
ただ、キャラの幅がない作家なので、水輝の失敗は目に余りますし、あかねも効いていないのが難点だったなと思いました。水輝はビジュアルはよかったのに、上手く優男というか色男キャラに描けなかったんですね。後半、千田くんと同じになっちゃってましたからね…カッちゃんや新田くん、英雄の路線でよかったんだと思うんだけれど…野球から離れたところにいるのも、おもしろいポジションだったんだけどなあ。作家の「いい男」像の引き出しのなさが露呈しましたし、担当編集もいい提案ができなかったんでしょうね。
さらにあかねの登場は、苦し紛れすぎたのではないでしょうか。どこまで当初から構想されていたのかわかりませんが…『タッチ』では、カッちゃんが死のうとタッちゃんと南はずっと両想いだったのであまり問題がなかったのでしょうが、今回のコウは若葉と両想いで、その若葉が死んで、ラストは青葉とくっつけるというのはそりゃ難儀な道ですよね…死人には勝てないものです。さらに病気をぶっ込むとかホントお笑いぐさです。というか笑えません。
ストーリーとしては甲子園出場を決めて終える、とは決まっていたのかもしれませんが、恋愛に関してはほぼ何も解決されていないままに決勝戦が始まって文庫残り一冊とかになってしまったので、読んでいて解決されるのか本当にヒヤヒヤしましたし、ラストはトートツに感じてフラストレーションが溜まりました。それこそ週刊連載だと気にならなかったかもしれませんが、通しで読むと残念ながらストーリー展開としては失敗している作品だな、と私は思いました。もちろん決勝戦の時々刻々の戦況の変化とともに青葉の心も揺れ動き、変わり、かつ前に進んではいるのですけれど、それ以前にコウのあかねへの違和感、というか彼女は若葉ではない、若葉に似ているのはむしろ青葉だが、それで青葉を好きなわけではない…みたいな想いをもう少し描いておいてほしかったです。
青葉というのは新しい形のキャラクターで、いいなと思ったんですよね。甲子園を目指す野球少年が主人公としていて、その夢を応援する少女がそばにいる、という形があだち漫画の定番だった中で、野球をしている少女を造形した。それがすごい(この作家は野球少女をヒロインにした別の作品も描いてはいますが)。しかも性格が主人公と一緒(なんなら描き分けもかなり怪しい…特にユニフォーム姿のアップ…)、だから仲が悪い、という設定。おもしろい。だからこそもっと、一緒に若葉の死を乗り越えて心が近づく…みたいな流れがありえたんじゃないかなーと思うんですけどね。あとは、初期はコウより青葉の方がずっと真剣に野球をやっていたし上手くもあったんだけれど、青葉は硬式野球の公式戦には出場できないので…というターンになったときに、もっと男女差の話とか、そういうところから恋心の芽生え、ないし移り変わりを描くこともできたんじゃないかな、と思います。
でも、「世界で一番嫌い」は「世界で一番好き」に容易に変化する、のはわかります。この「嫌い嫌いも好きのうち」は正しい。そして「愛してる」「知ってる」の『スター・ウォーズ』よ! この「言わなさ加減」こそあだち漫画の真骨頂かもしれないので、やはりこれはこれで、いいのかな…甘いな、私も。次は『ラフ』をちゃんと読みたいです。
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