河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2278- ディートリヒ・ヘンシェル、岡原慎也、2017.2.19

2017-02-19 20:58:01 | リサイタル

2017年2月19日(日) 2:00pm トッパンホール

シューベルト
さすらい人が月に寄せてD870  3′
春の想いD686  4′
さすらい人D489  6′
野ばらD257  2′
独り住まいの男D800  4′
ガニュメデスD544  4′
魔王D328  4′

Int

シューマン リーダークライスOp.39  24′

(encore)
シューマン 二人の擲弾兵  3′
シューマン きみは花のように  1′
シューベルト ます  2′
シューベルト セレナーデ  3′
シューベルト 独り住まいの男  4′
シューベルト 魔王  4′
シューベルト 音楽に寄せて  2′


バリトン、ディートリヒ・ヘンシェル
ピアノ、岡原慎也


この著名なお二方、息がぴったり合っているというか、仲がよさそう。シューマンのあとのおててつなぎお辞儀がちょっとみだれましたけれどもご愛嬌。
品があって極上な振る舞い、歌に集中するときの切り替えがすごい。

前半シューベルト、後半シューマン。本プログラムは短いものながら、この二人の作曲家の創作の違いがよくわかるものでしたね。多様性と言いますか。
シューベルトはリリカルなもの、ドラマチックなもの、並べて7曲。山のようにある作品のうちエキスを並べたようなものだろう。ヘンシェルの集中力が凄くて、聴き手のほうもすぐに歌の中に入り込める。とても味わい深い。暗い中、対訳はよくみえないので事前の読み込みが必要ですけれども、詩の中身と歌の表情の一体感。詩を通したリート。実感。
うったえる力が尋常ではない。滑らかで上質の肌触りの声質、魔王に見せる特大声の張り上げでも決して崩れないパーフェクトバランス。表現の振幅が大きくて、もう、うなるしかない。
曲順も練ったものかもしれないと後で思いました。野ばらをサンドイッチにした前後のピースの配置なども全体的な流れを感じさせてくれる。
最後の魔王の多彩な歌い口、語り口は凄いもんでしたね。

このヘンシェルの歌を引き出したのは伴奏のピアノ岡原。入りの音から歌のあと消え入る最後の音まで音楽の香りが満ちている。柔軟という言葉が合いそう。
このホール、ピアノがよく鳴る。全体を包み込むピアノ、前に進むバリトン。ブレンド具合もいい。

シューマンは写実的でそのなかに心の動きが絡まっていくような趣き。曲想は深彫り感よりも少しモヤモヤと流れていく。曲のメリハリエレメントより別のものが中心にあるようだ。詩の内容と語り口、よく合っていると思います。シューマンの思いがこちらに伝わってくる。滑らかな歌、正確、誠実、みんな湧き出てくるヘンシェルの歌。

以上、休憩入れて80分ほどのリサイタル。そこで、アンコール7曲。前半のシューベルトのプログラムと同じ数だけやってくれました。味わいはアンコールという感じではなく、リサイタル後半の後半という感じ。本プロのリピートもありましたけれども、何度でも味わい深い。多彩な表現、集中力。バリトン満喫。

結局2時間かかりました。ヘンシェルは最後まで、譜面無し、水無し。
伴奏の岡原さんは譜面とっかえひっかえで汗だく、大変そう。それにアンコールではヘンシェルのコメントを訳してしゃべらないとならないし、で。
息の合ったコンビによるシューマン、シューベルトで大満足。お二方の作品に向かう姿勢とうったえてくる力、お見事というほかない。

トッパンに来たのは2度目。結構歩く距離で健康に良い。
この前(2017.2.7)、ブラウティハムのリサイタルで初めてこのホールを訪問。コンパクトで良い音響、席は余裕のあるものでゆっくりできる。今日2度目、なかなかいいですね。
ブラウティハムの時も今日もNHKのカメラが多数(5台ほど)入ってましたので、いつか放送で見れるかもしれませんね。
おわり