河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2275- トスカ、二期会、ルスティオーニ、都響、2017.2.15

2017-02-15 23:49:58 | オペラ

2017年2月15日(水) 6:30-9:20pm 東京文化会館

プッチーニ 作曲
アレッサンドロ・タレヴィ プロダクション
トスカ

キャスト(in order of appearance)
1.アンジェロッティ、長谷川寛(Br)
2.堂守、米谷毅彦(Br)
3.カヴァラドッシ、樋口達哉(T)
4.トスカ、木下美穂子(S)
5.スカルピア、今井俊輔(Br)

6.シャルローネ、増原英也(Br)
7.スポレッタ、坂本貴輝(T)
8.牧童、金子淳平
9.看守、清水宏樹(BsBr)

二期会合唱団
NHK東京児童合唱団
東京都交響楽団
ダニエーレ・ルスティオーニ、コンダクティング

(duration)
ActⅠ 44′
Int
ActⅡ 40′
Int
ActⅢ 27′


東京二期会のトスカ、初日にうかがいました。
指揮はここのところスポットライトを浴び始めた俊英ルスティオーニ。
あわせたようにガーディアンでも紹介されていました。
Facing the music: conductor Daniele Rustioni


舞台はオーソドックスなもの、人物の動きも同様。シックなもので1幕テ・デウムのシーンでもけばけばしさが無く落ち着いたものです。
ここでエスカレータ的な音楽的感興を大いに盛り上げたのが悪代官の今井さん。エスカレータのトップで合唱が被さってくるので大変なところ、その前のバリトンソロの大きな声の迫力、そして自然な息づかい。見事にきまっていました。後方に合唱を従え舞台手前でピットのオーケストラ圧力に負けずに、眼を大きくひらき、こちらを凝視して歌い切る、渾身のパフォーマンス。
気張ったようにみえず、滑らかで自然な歌い口は悪代官の冷静さを感じさせてくれる。1幕ここでのスカルピア、そして2幕での歌唱と動き、両方ともにナチュラルで秀逸なもの、キャラクターのきまり具合も最高。

トスカ、マリオ、悪代官、この3キャラクターは濃厚でよくきまっていました。
樋口さんはいろんなところでたくさん聴いてきましたが、こうやって本格的な役どころで歌うのを聴いたのはもしかして初めてかもしれない。ちょっとバリトン系のような気もしますが、息の長さより、籠める力の強さを感じます。2幕の勝利の歌にピッタリ。
その前に、1幕はいきなりアリアから始まるので聴く方も楽しみが増す。最初からは決して飛ばさない日本人シンガー的傾向が垣間見られたが美しい清唱はホールの空気を締めました。アイシャドウが結構濃かった。なんとなくアンビバレントなスリル。

トスカの木下さんもマリオ的傾向と思います。息の長さが割とさらっとしているのは指揮者のほうの方針なのかもしれない。濃厚になるのはむしろデュエット。このお二方のデュエットはいたるところよく息があっている。終幕、大詰めの吹き上げるような二重唱の頂点まで悉く良く鳴り渡るもの。スバラシイ。

この3キャラクターがフレームにはまっていて大いに楽しめました。
指揮のルスティオーニは譜面にらめっこでどの程度板についているのか今ひとつわからない。オペラのスケール感、高揚感が出るようになればさらにいいと感じる。
オーケストラは音がデカいが、精度が室内楽的に高くてクリアで明瞭(同じ意味!)。このプッチーニ作品、至る所にある布石のような先々の音をわかりやすく聴かせてくれる。揺れない音の運び具合は秀逸。2幕ではもっとウェット感が欲しいところもある。一本調子になってしまうところがあるのがこのオケの特色。長丁場のオペラでここらへん、自ら気付きが必要です。とはいえ、3幕での室内楽的アンサンブルの精度の高さはお見事。透明なサウンドはビッグなシーンでも声がきっちりと聴こえてくるもので、混濁とは無縁な演奏で大いに楽しめた。

舞台はオーソドックス。
3幕は牢獄を作り出せない舞台で、看守が処刑場と同じレヴェルのフロアにいる。色々と苦労している舞台かとも思います。ほかは概ね極めてオーソドックス。
今回の上演はローマ歌劇場との提携公演と銘打っていますけれども、それがどういったものなのかわからない。
あいかわらず、高価な千円プログラムを買わないとなにもわからない二期会上演。藤原歌劇でも同じだけれども、それでも藤原さんのほうがましだと思うのは演出家の意図、見解を相当数のページをさいて載せてくれているから。二期会さんのは演出の説明無し。提携公演中身の説明も無し。このプログラムを購入しても、当上演のことについて書いていない。大いに問題です。
おわり