河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2137- コリオラン、運命、皇帝、辻井、オルフェウス、2016.6.15

2016-06-15 23:59:27 | コンサート

2016年6月15日(水) 7:00pm サントリー

ベートーヴェン コリオラン 序曲   7′
ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調  7′10′6′10′
Int
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 皇帝 20′7′10′
 ピアノ、辻井伸行

(encore)
リスト カンパネラ 4′  辻井、ソロ
モーツァルト ピアノ協奏曲第26番戴冠式 第2楽章 6′ 辻井+オルフェウス
シベリウス 悲しきワルツ 5′  オルフェウス
メンデルスゾーン 弦楽八重奏曲第3楽章スケルツォ  4′  オルフェウス
エルガー 愛の挨拶  4′  オルフェウス


演奏、オルフェウス室内管弦楽団


今回の一連の公演にはサブタイトルとして、圧巻のベートーヴェン、とあるが、聴いてしまえばこれはオルフェウスへのものであろう。
曲ごとにコンマスが目まぐるしく変わる。全員がコンマス出来るのか、そうだとすれば強烈なアンサンブルはなるほどとうなりたくなる激しい拮抗アンサンブルである。まるで戦いのようだ。スポーティーな力感みなぎる草木もなぎ倒すような疾風怒濤の激しい演奏でした。
1曲目のコリオランの並々ならぬ激流。コンマスの動きは全く正しいとしか言えない。チャイニーズ系の女性、迫力ありましたね、そして若い。コアメンバーやサポートプレイヤーなどもいるかとは思いますが、まぁ、強烈。
ノンビブ奏法のようにも見えますが、それよりもなによりものこぎりで一気に木に切り込むアクションのように見えてしまう。ファイティングの凄さがもろに表現された演奏で、あっという間の出来事。凄まじい演奏でした。きっちりそろっているので、ぐうの音も出ない。
こんなコリオラン聴いたことない。

次の運命は、もう、推して知るべし、の枠を大幅に越えてしまって、おそろしく引き締まった超筋肉質シックスパック演奏、コンマスは本家の人だと思いますが、棒の替りに体と頭が激しく動く、演奏はそれ以上に激しい。その弦なんかは全部引き締まり過ぎてキシキシと良質のサウンドできしんでいるような具合だ。
ノンビブ系のテンポ設定で一瞬のゆるみもなく突き進む。加速ではなく等速スタイルで激しさの波やドラマのつくり込みよりもとにかく最高のアンサンブルで一気に演奏しまくっている感じ。終楽章の繰り返しあり。
コリオランも運命も表現としてベートーヴェンの音楽に相応しいものだろう。激流でした。

休憩で一息つく。

後半の皇帝、辻井は昨年ペトレンコ、リヴァプール・フィルの伴奏でラフマニノフの3番コンチェルトとプロコフィエフの3番コンチェルトを連夜にわたり聴いた時以来。
オルフェウスの熱い演奏のなか、辻井は辻井で独特の雰囲気をもっている。それは満員のホールの聴衆が作り出す空気感のようなものもあるかもしれない。前半の激しい演奏の後の皇帝だからヒート感は冷めるものではないけれども雰囲気のモードは少し変化しました。
リヴァプールのときも感じたジャバジャバした音の溜まり、皇帝でもありますけれど、一つ一つの音の粒立ちは割と良くて、また、音価の乱れもない。個々の音を丹念に作っていけば音楽の流れはいつの間にか出来上がってくるような気がしますが。
音楽が生きている実感はありますね。今の彼は演奏会、リサイタル、弾けば弾くほど調子が上がってくるような、プレイすることが活力の栄養源。

アンコールはびっくりの5曲。ピアノソロが1曲、オケ伴奏つきが1曲、さらにオケが3曲。大サービスでした。
疾風怒濤のオルフェウスはアンコールで多少落ち着いたのでしょうか、まぁ、整理体操みたいなもんでしょ。
自分としてはあらためて大発見のオルフェウス、充実の公演でした。
ありがとうございました。
おわり





2136- アラブの香り、小山実稚恵、大野和士、都響、2016.6.15

2016-06-15 23:24:50 | コンサート

2016年6月15日(水) 2:00pm 東京芸術劇場

モーツァルト 後宮からの誘惑 序曲  5′

サン=サーンス ピアノ協奏曲第5番ヘ長調 エジプト風  11′11′6′
  ピアノ、小山実稚恵

Int

リムスキー=コルサコフ シェヘラザード  9′12′10′12′

大野和士 指揮 東京都交響楽団


都響の新たな試み、平日午後のコンサート。既に何度か行われているようだ。
この日は、ほぼ満員御礼状態で、サラリーマンの基準だけで物事を考えていってはダメというのがよくわかるものでした。
演奏会にタイトルをつけるようになってどのくらい経つのだろうか、弊害の方が大きいような気もするが、この日もタイトル付き。「アラブの香り」。
言われてみれば、そうか、と思うぐらいのもの。

このコンビ、もしかして日中の演奏会の方が具合がいいのではないのか、と、いいことは時間のせいにもしたくなることもある。
最初のモーツァルトからして、サラーと抜けるような透明なサウンドでびっくり。一段、上に持ち上げたような音場が見事に展開されました。ほんと、いい音だった。

少し右寄り斜め上から聴いたせいかピアノの音が今一つ聴こえてこない。良質なオケサウンドがここでも心地よく響いていました。コンチェルトとはいえもう少し濃いニュアンス、味付けが欲しいとも思いましたけれども。

後半のシェヘラザードは、形式感のないものですので、意外なテンポの揺れは不安定感を増長するだけのような気もしますが、指揮者はメリハリつけてガラッと変えるやり方でドラマ性を持たせていたと思います。まぁ、妖しさはありませんがその分、ドライな砂漠風味、オアシスもあり、そんなところです。
おわり