河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2130- ディアベッリ、クライスレリアーナ、木村徹、2016.6.8

2016-06-08 23:49:26 | リサイタル

2016年6月8日(水) 7:00pm 小ホール、東京文化会館

ベートーヴェン ディアベッリ変奏曲Op.120 57′

Int

シューマン クライスレリアーナOp.16 36′

(encore)
シューマン 2′

ピアノ、木村徹


お初で聴くピアニストです。ディアベッリも生聴きは初めてのような気がする。
変奏曲と言っても一種のイメージの変奏曲といった雰囲気で、普通の変奏曲なら33個もあったら、いい加減飽きてくるものだが、このディアベッリは一般的なバリエーションと異なる味わいで、これだけ長くても飽きない。
小鳥の鳴き声みたいなふしで始まるディアベッリは変奏曲の素材としては決して長続きするようなふしとは言えないと思う、よく1時間ロングの曲として作り込んだもんで、さすがベートーヴェン。こうゆう曲は雑念を払って弾きまくるのがベストのような気もする。
木村さんのピアノはどちらかというとモノトーン的で、あっさりとしたもの。ストイックさとは違いますし、感情に訴えることもない。派手な立ち振る舞いからは最も遠いところにあるかもしれない。左手を垂直にはねる弾きが割と多い。ベースが克明に聴こえてきます。ポリフォニックな観点でのクリアさがあると思いました。色々なものが同時に、よく聴こえてきますね。滑らかさがあればさらに良いと思いますね。
29アダージョ、30アンダンテ、31ラルゴ、ここらあたりにコッテリと時間をかけたプレイ、木村さんの焦点スポットなのかもしれない。聴きごたえありました。
ディアベッリはピアニストにより大幅に演奏時間が異なり、かなりまちまちなのですけれども、このコッテリ3変奏に大いに時間をかけてトータルで57分とヘヴィーなものになりました。過熱感、躍動感とはちょっと違う、低温料理をおいしく召し上がったようなおもむき。

後半のシューマン、魅惑的なふしが心地よく響く。アンコールの時に、今日はシューマンの誕生日で、と言っておりましたが、重なった日と言うことで。
曲想のせいか前半より快活なところも。それにシューマンの物憂げさも自然に出てくるところもいいですね。長調と短調の交差に説得力ある演奏。作品以上のあでやかさを無理に出すことなく、別の側面からその本質に迫ろうとするものかと思いました。
おわり