河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2017- チャイコン1、アリス、幻想、エストラーダ、hr響、2015.11.18

2015-11-18 23:44:40 | コンサート・オペラ

2015年11月18日(水) 7:00pm サントリー

グリンカ  ルスランとリュドミラ、序曲  6′

チャイコフスキー  ピアノ協奏曲第1番変ロ長調  22′、8′+6′
 ピアノ、アリス=紗良・オット
(enocre)
シューマン 子供の情景より、詩人は語る 2′

Int

ベルリオーズ  幻想交響曲  16′、7′、16′、7′+10′
(enocre)
ブラームス  ハンガリー舞曲第6番  4′

アンドレス・オロスコ=エストラーダ 指揮 hr交響楽団


どうも一昨日の印象とあまり変わらない。
先を急ぐようなところはないが音楽に呼吸が無い、せかせかしていて、オーケストラメンバーは音楽の呼吸のタイミングを探しながら、戸惑いながらの演奏の気がする。これは良い悪いの話ではなくてそれぞれの違いなわけで、エストラーダを選んだオーケストラが慣れていくことがポイントになる。

コンチェルトでのオケの印象も五嶋龍のヴァイオリンのときと同じで、粒立ちが良く揃っていてものすごくいい伴奏。コンチェルトと幻想での演奏の質的な違いを感じる。

アリスはノースリーブ、背中が大きく割れた真っ赤なロングドレス、前見た時よりも一段とやせた感じで、あの細い腕でよくうなるような激演が出来るものだとびっくり、感心も。
じゃじゃ馬風の天衣無縫、自由奔放なアクション、ドライな響きは幾何学模様の演奏にはベストなのよと言わんばかり。魅力的ですね。
突き刺さるようなサウンド、余裕の技巧表現、ウェットなところは無い。アンコールのシューマンはものすごく落ち着いたいい演奏でした、精神の落ち着きはなにもウェットであることもないわ、と。
無機的では無くて幾何学的、好きな仕事を好きなようにコントロールしながらプレイしている。あのアクションは相当に意識されたものでもあると思いますよ。いやみがなくて素敵なものです。
おわり


2016- トスカ、初日、新国立劇場、2015.11.17

2015-11-18 01:06:40 | コンサート・オペラ

2015年11月17日(火) 6:30-9:30pm オペラパレス、新国立劇場

新国立劇場 プレゼンツ
プッチーニ 作曲
アントレッロ・マダウ=ディアツ プロダクション

トスカ
ACTⅠ 43′
Int 25′
ACTⅡ 40′
Int 25′
ACTⅢ 27′

キャスト in order of appearance
1.アンジェロッティ、 大沼徹
2.堂守、 志村文彦
3.カヴァラドッシ、 ホルヘ・デ・レオン
4.トスカ、 マリア・ホセ・シーリ
5.スカルピア、 ロベルト・フロンターリ
5.シャルローネ、 大塚博章
6.スポレッタ、 松浦健
7.羊飼い、 前川依子
8.看守、秋本健

新国立劇場合唱団
TOKYOFM少年合唱団

エイヴィン・グルベルグ・イェンセン 指揮
東京フィルハーモニー交響楽団


新国立のこのプロダクションはプレミエ公演が2000年9月21日だから長く続いているものですね。舞台は色合いも良く印象的なもの、特に第1幕後半の奥行きのある美しさは壮観。テ・デウムの合唱から一人歌うスカルピアは気持ちがいいものだろう。ぎょろりと大きくひらいた眼ぢからの鬼形相、役に没入していくその様は圧巻です。舞台もキャストも素晴らしいものでした。
みなさんのカーテンコールのときにはこの8月に亡くなった演出のマダウ=ディアツの遺影写真も。

このオペラは3人揃えば鬼に金棒のようなものだが、この初日の公演、満を持しての3人、そして脇を固める歌手陣も充実した歌唱。それと第1幕の大人数の動きの一体感、よくコントロールされたもので気持ちが良い。緊張感を保ちつつも余裕の動きと言える。

単独でのきかせどころは多いわけではない、ドラマチックでシリアスなストーリーを最後まで緊張感を持続させていけるかどうかにかかっている。
冒頭のテノール、妙なる調和、部分変形に至るような伸び縮みがなく素直な歌いぶり、とりたててきかせどころに深く耽溺する具合ではない。自然な歌唱です。細くて一線の筋が通った閃光のような声はこのドラマにふさわしい。前に向かって良く響いてきました。ドミンゴ系ではなくパヴァロッティ系の声だと思います。
ここがきまれば次々と流れが出てくるものだ。
昔、メト座のカッパの頃にゼッフレルリのプロダクションを何度も観ました、ドミンゴ画家はハシゴ登って上で歌う妙なる調和、パヴァロッティのときはハシゴの下で歌っていました、パヴァロッティの一点光源型の細くて突き刺さるような声が圧巻であったのを思い出します。
その後、ゼッフレルリのプロダクションが観る基本になってしまった感がある。

第2幕はリアルなシーンが続く。
シーリの歌に生き恋に生き、非常に正確でぶれない。ひき込む力もある。歌姫にふさわしいボディーと演技もジャストマッチで劇にひき込まれていきます。
スカルピアがアニマルと化したところでトスカに刺されて血がべっとりと、トスカの手にもべっとりと。自白のむち打ちで血だらけになったマリオともども割と凄惨なシーンが。

終幕は冒頭、声の無い前奏がかなり長く続く。緊張感を保ちながらの演奏には指揮者の力量が問われる。いい演奏でした。
トスカとマリオの長い二重唱、バランスに優れ気持ちよくきくことができました。マリオ絶命のあと、トスカは舞台奥城の上から仰向けに後ろに落ちていきました。

2幕でシーリの胸に圧倒されたのか少し声が上ずったりしたスカルピアのフロンターリ、そういったところはありましたが、お三方のシーンをわきまえた品位のある歌、重唱でのバランスと呼吸の見事さ。聴きごたえありました。


指揮のイェンセン、イタオペ特有の極端な引き伸ばしのようなことはせず、部分に耽溺せず、ずぶずぶしない。歌う方もよくコントロールされているので、いい伴奏だと思います。
ひとつ、オーケストラの音がやたらとでかい。最後のあたりなど太鼓の音が強烈過ぎて天井と床が一緒に抜けてしまいそうな勢い。異常な圧力でした。そこだけでなく概ね、ダイナミックレンジが広い指揮者でテンポの取り方ではなく、強弱で音楽の起伏を作っていく。
指揮者も含めみなさん喝采を浴びおりました。
いい一夜、楽しませてもらいました。ありがとうございました。
おわり