河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2012- ブルックナー7番コールス版、ダニエル・ハーディング、新日フィル、2015.11.8

2015-11-08 17:54:10 | コンサート・オペラ

2015年11月8日(日) 2:00pm サントリー

ディーン  ドラマティス・ペルソネ (日本初演) 12-8-9
  トランペット、ホーカン・ハーデンベルガー
(encore)  マイ・ファニー・バレンタイン  2′

Int

ブルックナー 交響曲第7番ホ長調 WAB107  19-21-9-12
 (ベンヤミン=グンナー・コールスによる新版2015) 日本初演


ダニエル・ハーディング  指揮  新日本フィルハーモニー交響楽団


このコールス新版というのは、ハース版やノヴァーク版の前の、初版=改訂版をベースに詳細に再考を積み重ねあげたもの、簡単に言うとそうゆうことになるかと思います。

日本初演、初めて聴くわけですが、一言でいうと、昔、生で聴いたシャルク版の5番の様なぶ厚さで色々と楽器をいたるところ重ねているように聴こえた。ヘヴィーという感じはないですが、牡丹雪の様なサウンドが降り注ぎます。
指揮者がこの版を選択したものと思われるわけで解釈はそれなりに食い込んでいたように思います。
混じりけのない牡丹雪で全般にわたりレガートの効いたものでその柔らかいサウンドが心地よいものでした。なかなか良かったと思います。
第1楽章の第1,2主題は等速でぼっとしていると区別がつかない。そのあと第3主題までの長い経過句を過激にアチェルランド、この方針で進めるのかと思いましたが、結果的に強烈な加速はここだけでした。第4楽章の第3主題もスピーディーなものでしたがインテンポでもっていきましたし。
展開部の入りはスローで重い。ハーディングのスタイルでしょうか。進むにつれて克明になってくるあたりも含め。
再現部、コーダともに5分刈りカットのように決然と解放します。ですので、展開部の頭と最後の締めでは音楽の表情がだいぶ異なっており、そこらへん全体俯瞰の点でこれからが楽しみです。
第2楽章はシンバル付き。

第4楽章は展開部の展開不足の作品と感じますが、この日のハーディングの棒ではあまり気になりませんでしたね。
このように柔らかな演奏の7番は久しぶりに聴きました。ギスギス感や角張ったところがまるでないもので、あたたかな演奏となりました。


前半のドラマティス・ペルソナ、これはラテン語で、劇中におけるメイン・キャラクターを意味するそうです。このソリストに捧げられておりますのでそこらへんの含みもありそうですね。
第1楽章のスーパーヒーローの転落は大変にトリッキーな動きをするトランペットが印象的。作為的過ぎる部分もあるがこのソリストにとっては作品自体、格好の餌となるわけです。
第2楽章の独白、スモーキーでウェットな響き。
終楽章の偶発的革命、曖昧模糊なものが徐々にリズムの集合体となっていく。ソリストは手前からオーケストラのトランペットセクションに歩いていきそこでみんなで吹奏、音楽はさらにリズミカルになりその極みで引き伸ばし終わる。
最初の印象からは思いもつかぬマーチングになり効果満点。
曲のタイトルに相応しいエンディングで、聴衆はもやが晴れた感じになりスッキリ。
楽しませてもらいました。
ありがとうございます。
おわり