2015年11月6日(金) 7:00pm サントリー
シベリウス 歴史的情景第1番op.25 5′6′8′
シベリウス 組曲「ベルシャザールの饗宴」 2′3′5′3′
Int
マーラー 大地の歌 8-9-4-7-4-28 62′(i含む)
テノール、 西村悟
バリトン、 河野克典
ピエタリ・インキネン 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
トーク・アフター・コンサート
ピエタリ・インキネン 約15′(通訳付き)
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大地の歌は8番のイメージとはもはやかけ離れているとはいえ、9番とは響きのぶ厚さが随分と異なる。9番の分解した線の響きには至らず、大編成のオーケストラで迫りくるわけだが、情念のようなもの、感情や感性といったあたりのことが前面に出てきているように感じる。ぶ厚い響きの中、右左前後から色々なテクスチャが浮かび上がる。インストゥルメンタルなアンサンブルとも違う、各楽器の束が強烈に意思表示していて音楽の幅の大きさを感じさせてくれる。各パートの定位が克明でアナログ的な柔らかいアンプリチュードで一見モノフォニックなサウンドが結合した集合体の同時演奏のように聴こえてくる。
この日はP席で聴きましたので、残念ながら指向性の強い声パートはよく聴こえませんでした。
テノール、バリトンの組み合わせと言えばブンダーリッヒ、フィッシャーディースカウの組み合わせ、カイルベルトの棒、バンベルク響の伴奏の演奏を思い出します。
この組み合わせで一番印象的なのは最後の最後、フィッシャーディースカウがハイテンションで決めた高音一発芸、イーヴィッヒ。
この日のバリトン河野さんの声は後ろで聴いていても比較的聴こえてきました。
テノールはほとんど聴こえずでした。演後のちょっとご本人が中心的指揮者のような振る舞いはあまりほめられたものではないです。
明日も聴きますので楽しみですね。
前半のシベリウス2曲。歴史的情景は初めて聴く。殊の外、鳴りの良いもので、ときに作曲家独特の清涼な高弦の響きが美しく響く。ニュアンスに富んだ音楽で魅力的。ベルシャザールは少し作為が勝った曲と言えるかもしれない。
瞠目すべきはこれらを演奏している指揮者とオケ。
先般のラザレフのときとはがらりと音の表情を変えてきていて、両指揮者へのオーケストラの共感度の高さが良く理解できるもの。共感の度合いが高くテンションも高く張りつめている。歴史的情景のそれぞれの短いピースの中のちょっとした音楽の爆発でさえ音楽が生き生きと生きている。音楽のいい表現だと思います。
音楽に浸るよろこびを感じさせてくれる演奏ということですね。
おわり