恐山あれこれ日記

院代(住職代理)が書いてます。

ご意見番

2016年01月30日 | 日記
 某日、法事であったお爺さん(推定年齢80歳代後半)。

「久しぶりだの、方丈さん」

「檀那、元気で何より」

「あんた、最近新聞に出てたの。息子が見せてくれた」

「あれ、そう」

「いつかテレビにも出てたし、あんたは有名人なんか?」

「あのね、本当の有名人は、アンタは有名人か? なんて訊かれないよ」

「ハハハ、でも、大したもんじゃ」

「そう思う?」

「でもまあ、わしらにはそういうことより、大きい声でしっかりお経読んでくれるところが、いいな」

「ありがと」

「方丈さん、アンタ、なかなかだぞ。オレもこの年までいろんな坊さん見てきたが、あんたはイイ、イイほうじゃ」

「うれしいなあ!」

「話もうまい」

「ほんと?」

「ああ。ただ、口達者なヤツはいざというときに根性がなくなるからな。気をつけな」

「ハ、・・・ハイ・・・」