恐山あれこれ日記

院代(住職代理)が書いてます。

聞いた話、二つ

2008年08月21日 | インポート

その一。最近大病した友人の話。

「むかし、ばあちゃんがさあ、命ってのは持ち物じゃなくて預かり物だって、よく言ってたな。だから丁寧に使って返せって。この歳になって、身にしみたよ。」

 こういうことを言わせるものこそ、真っ当な信仰であり、真の教養だと思います。

その二。知人の坊さんの話。

「近くの寺で住職が引退して、弟子が後を継いだんだが、それが娘でね。しかも結婚した相手が在家から出家した男なんだが、こっちは副住職になるんだ」

 世襲の是非はしばらく措いて、この話を「実にイイね」と思うか、「変な話だ」と思うかで、日本の伝統的仏教教団の未来は違ってくるでしょう。