恐山あれこれ日記

院代(住職代理)が書いてます。

あけましておめでとうございます

2007年01月03日 | インポート

 皆様よいお年をお迎えのことと存じます。今年一年、無事ご健康にお過ごしになりますよう、祈念申し上げます。 

 私の年始年末。28日に福井に帰り、5日までは滞在。年越しの準備、念頭のご祈祷。年始まわり。その他定番スケジュールに加えて、今年は28日、今日、5日と、お隣のお寺のお葬式に参列という、いきなり想定外の展開。人が亡くなるのに時と場所は選びません。お経を挙げに行ってみると、枕元に年賀状の束があったり。出した人はまさか、相手が亡くなった後とは思わなかったでしょうね。

 それにしても、一年がはやい。だんだん年齢に比例して、なんだか加速度がついてきたような気がします。以前、その話を当時90歳を過ぎた老僧にしたら、「それなら結構だ。ワシはもう速さ自体、感じない」。

 続きの会話。

私「何でこんなに日がたつのがはやいんでしょう。小さい頃は、小学校が永遠に続くのじゃないかと思うほど長かったのに」

老僧「お前、その頃、先の心配をしたか?」

「いやあ、しなかったなあ。明日の宿題や、何をして遊ぶかくらいは考えたような気がするけど」

「そうだろう。成長して先の予定を考えるようになればなるほど、時間ははやくたつ。そして先の予定が死ぬだけになれば、時間は止まる」

 この「時間は止まる」という境地、すごいな。

 ときに、恐縮ながら宣伝。昨年末、私の小論が入った本が出版されました。『現代と仏教』(佼成出版社)といいます。いま最も活躍している仏教学者の一人、末木文美士東大教授の監修で、16篇の論文を収録しています(玄侑宗久師や上田紀行氏も寄稿)。私の小論は「個の条件」と題する、中でもいささか毛色が違う代物です。これは、日本の国とか社会に関して、私がまとまった言及をしている、今のところ唯一の出版物です。関心のある方、どうぞよろしく。