くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ミステリー通り商店街」室積光

2012-11-21 20:48:44 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 ミステリー、なのかな?
 久しぶりに日付が変わる時間まで読んでしまいました。いつも眠くなる時間に帰ってきたからかもしれませんが。
 室積光「ミステリー通り商店街」(中央公論新社)。「都立水商!」を読んだとき、おもしろかったので、もう少しいろんな話を読んでみたかったのですが。なかなかないんですよね、図書館に。これは古本屋で購入。室積さんはもともとテレビ業界の方なんですね。今回この作品を読んで、ディテールが小説的でないように感じました。
 実家の酒屋を継ぐために退職した鳥越は、以前担当していた作家の三井大和が失踪したことを聞きます。ある書評サイトでけなされたことを気にして、その文章を書いた岩田のもとを訪ねたのではないかと推理し、静竹県温水町に行くことに。岩田はその町で電気屋を営んでいるということですが、「批評文は定期的に発表しているが、自分ではミュージシャンだと思っている」という強烈な自己紹介文を書くんですよ。
 温水の駅を降りたら、煙草屋のおばあさんに「人をお探しかい?」「事件だね?」と聞かれてびっくり。実はこの商店会ではミステリーを町おこしの題材にしていて、おばあさんは誰が来ても同じことを聞くんです。
 会長の松木から宿を世話してもらい、会合にも顔を出した鳥越は否応なしに彼らの迷推理に引っ張り回されることになりますが……。
 「胡桃」という店が出てくるのですが、正反対の姉・麗子と妹・真矢が印象的でした。美人で慎ましい姉の悪い噂を、真矢は吹聴して歩くのです。男と二人になると姉は人が変わる。昨夜鳥越は「胡桃」に泊まっていった。店の料理は調理学校を出た自分が考えたものだ。姉が在学中に結婚すると言い出したから、自分は大学にいかせてもらえなかった、等々。真矢の言うことはみんな嘘だらけだと鳥越は気づくのでした。
 妹は境界線人格障害ではないかと思う、と麗子は言います。
 三井はもう死んでいるのではないか。結局そういう結論に達するのですが、事実を告白させるために、鳥越は「海に面した断崖」で岩田と対峙することにします。そう、二時間ドラマ!
 どんでん返しがあるかな、と思いましたがありませんでした。でも、ハッピーエンド好きな人には安堵感があるラストでしょう。


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