くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「世につまらない本はない」養老孟司

2016-02-22 05:26:11 | 書評・ブックガイド
 養老孟司が本について語り、後半では池田清彦・吉岡忍と鼎談するというコンセプトの一冊。「世につまらない本はない」(朝日文庫)。
 結構あちこち行ったりきたりしながら読んだのですが、普段自分では選ばない本が多いのと、現在手をつけている本とクロスオーバーする面があって驚きました。
 例えば、姜尚中「悩む力」は、ウェーバーと漱石の著作から悩みを紐解いていくのですが、養老孟司はウェーバーを評価しない。漱石は鼎談で触れていて、現在の小説の文体のもとになっていると池田さんが話しています。
 テーマごとに三人が三冊ずつ紹介するのですが、ほとんど手にとったことがない。まんがも「寄生獣」くらいです。
 太宰と安吾をテーマに語る回では、「走れメロス」は「太宰の実生活とは逆さま(養老)」「で、学生たちが得る教訓は『人生、そのときどきの便宜でいいんだ』と(笑)(池田)」なんていってます。確かにファースト太宰(わたしが今勝手に作った語)が「人間失格」だったら嫌ですよねぇ。

 脳について。漢字の認識だけで相当の場所をとるので、相貌認知が苦手であるとおっしゃる。
 確かにわたしは顔と名前を一致させるまで時間はかかります。
 でも、顔を覚えるのが得意な人は漢字は苦手というわけではないのでは。
 養老さんはドイツ人神父だった校長先生が、入学式までに生徒の顔を覚えて早々に呼びかけることを例としてあげますが……。
 この方のように百六十人は難しいけど、自分のクラスの三十五人くらいは、学級担任覚えるよねぇ。

 それから、流し読みで引っかかったところだけ読むとも言ってました。引っかかるほどおもしろい。
 ……正直に言います。わたしも流し読みをしました。
 熱烈に読みたい一冊は、海野和男「蝶の飛ぶ風景」!
 

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