くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「明日へつづくリズム」八束澄子 その1

2010-10-21 05:36:40 | YA・児童書
や、やっと読みました……。なかなかその気にならなくて、読書感想文の審査会前日に読み通しました。いや、悪い話ではないですよ。作品票をつけるのに書名検索したら五つ星ついていたし。実際、審査会でもこの作品を選んでくる子は多かったし。
ただ、わたしにはあまり必要のない本だったというか……。
多分ポルノグラフィティが好きな人にはしみると思います。
八束澄子「明日へつづくリズム」(ポプラ社)。課題図書です。夏のはじめに数ページ読んで放っておいた本。その後貸したのですが、戻ってきてからも手をださないままになっていました。
なんでこんなに気がすすまないのか。とにかく後半わたしがずっと思っていたのは、主人公の千波が「文学をやりたい」と語るのですが、とにかく表面的だということなのです。中三。活字中毒。書くことが好き。ちょっとした文章を担任に褒められる。島を出て、文芸部の有名な私立高校に入りたい。
そういいながら。
どうなんでしょう。それなのに、作品内で書いたのは、ポルノグラフィティへのファンレターのみ。しかも恥ずかしいからと投函しない。
書きたいという衝動は、こんなものではない、と同じように活字中毒、高校では同級生が誰もいなくても文芸部で活動していたわたしは思うのですが。
何かしら作品として結実していかなくとも、書かずにはいられない。いつか、文学をしたいなーなんて甘ったれたことを夢見る前に書きやがれ、とついつい思ってしまうのです。
おそらく同世代で音楽好きの子にとっては、自分の迷いや苛立ちと重なって共感を覚える物語なのでしょう。

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2 コメント

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Unknown (ネムリコ)
2010-10-22 21:34:10
八束澄子はなんとなく手に取ってしまう作家で、私は草野タキよりも好きです。
これも読みました。八束さんらしい作品だけど、小粒な感じはしましたね。登場人物のなかではお母さんがいいなと思っていました。

でも私は、このコラムを読んでいてもちろんお会いしたことないのに、「文芸部でがんばっていたいつかさん」の姿が思い浮かぶようで楽しく読ませていただきました。
なぜなら、この作品を時に批評するいつかさんの中に文学に対するあつい思いを感じるからです。
本はやっぱり、その人の内面を映し出し、その感想も違うものなのです。
だから感動した中学生も、それはないよと思ったいつかさんも、どちらも本当だと思います。
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ありがとうございます (いつか)
2010-10-23 07:11:55
課題図書として出会ったのでなければ、もう少し素直に読めたのでしょうか。
でも、わたしの周囲には結構「書かずにはいられない」子(十五歳ということを考えてあえて「子」で)が多かったのです。友達にしろ生徒にしろ。もちろん自分も含めて。
感想文の方は、千波が進学に関して反発するシーンや火事のシーンを論じたものがスタンダードですよね。
でも、火事で入院したお母さんに、さらにパートを増やしてまで私立に行かなくともいいのでは……と考えてしまうこともあります。
ネムリコさんのオススメなら他にも読んでみたいと思います。あ、遅くなりましたがお誕生日おめでとうございます!
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