くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「花のお江戸で粗茶一服」松村栄子

2017-11-13 05:45:33 | 文芸・エンターテイメント
 きゃーっ、遊馬の続編がっ! 「花のお江戸で粗茶一服」(ポプラ社)。
 と、仙台に出張の帰りに購入。
 今回は表紙が柴田ゆうさんです。「名所友衛百景」という浮世絵調がかわいい。しかしこれ、三冊とも単行本持っていると統一性がない感じしますよね(笑)。特に二冊めが。
 京都の修行を終えて戻ってきた遊馬を迎えたのは、坂東友衛流の内弟子となった佐保。
 恋人にしたい女の子が近くにいるのに、間違いを起こすなと母から釘を刺され、跡取りとして生きる決断もできないまま、嗣子として「本返し十段」という茶事を行うことに。
 また、華道家元の娘珠樹、セルビア人のミラン、そして佐保の三人に茶道を教えることにもなります。
 遊馬と佐保、行馬と眞由子、奈彌子夫妻、幸麿とカンナの関わりも変化していく感じです。
 わたしは、遊馬の両親・秀馬と公子がいい味出していると思います。
 二人のなれそめ、笑ってしまいました。
 それから、カンナの出生の秘密や、隣の和尚さんとのやりとり、頑固な会長さんや、山持ちのおばあさんなど個性的な皆さんが活躍しています。
 坂東友衛流は、剣・弓・茶の三道を大切にしているけれど、どれも水準を極めている若い人がカンナだけ、というのも寂しいですね。
 作中で東日本大震災の場面があり、そのとき遊馬は二十五歳とのこと。現在三十二歳くらい? 「雨にもまけず粗茶一服」は十代だった彼の成長が、なんだかとても頼もしいです。
 十年ちょっと前、確か恩田陸がこの本おもしろいと言っていたので注文した単行本。時は流れていくと感じました。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿