くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「草原のコック・オー・ヴァン」柴田よしき

2018-12-30 10:40:31 | 文芸・エンターテイメント
 ……うーん?
 結構期待して読んだのです。でも、読後感が今一つすっきりしない。前作もこんな感じだっけ?
 柴田よしき「草原のコック・オー・ヴァン 高原カフェ日誌Ⅱ」(文藝春秋)。
 百合が原高原でカフェを営む菜穂。二年目の冬を前に経営の不安を抱えています。何しろ、冬は客足が途絶える。近所の人は来てくれますが、安定しているとはいえない。
 そんなとき、今まで買い手がつかなかった農地に東京から来た若い男が住み着きます。森野大地。もともとその農地は、彼の祖父母が葡萄園を営んでいたものです。
 アパートなどはない高原で、テント生活をしながらワインづくりを目指すのです。
 大地は、かつてメジャーロックバンドのギタリストであり、曲の大半も書いていました。しかし、彼の脱退でバンドはうまくいかなくなり、ヴォーカルのカンが自殺してしまったのです。
 大地の行動をネットで知ったファンが菜穂のカフェに来て、彼にコーヒーを掛けたことも。
 やがて、大地が大麻を育てているという話までネットに書かれるようになりますが……。

 あらすじを書くと、どうしても大地寄りになりますね。菜穂がカフェを軌道に乗せたいと、結婚式の二次会やおせち料理のデリバリーを始めたり、牧場の南さんがいろいろ助けてくれたり、恋人の涼介が仕事で失敗したり、ホテルオーナーの田中さんがアドバイスしてくれたりといろいろあるのですが。
 でも、大筋としては、菜穂が大地のことを気にしている部分が大きいと思います。
 大地の祖父母は、なぜ百合が原から出ていったのか。
 大地は、なぜバンドをやめたのか。カンの死は、本当に大地のせいなのか。
 その結果(?)、菜穂は近隣の方(涼介のことを気に入っているおじさん)から苦言をうけたり、噂を流されたりします。
 菜穂は涼介と結婚することにします。大地は菜穂への思いを告げますが、二人の結婚を心から喜ぶのでした。

 何がいちばん気にさわるかというと、台詞がいちいち長いんだよ! というところかな。 
 菜穂が気にしていたことは、大地が話してくれますが、台詞がずーっと続くのです。1ページずっととか、ちょっと置いてまた続くとか、そんな感じ。
 続編あるのでしょうか。前作は、こういうカフェに行ってみたいと思ったけど、常連さんが多すぎて馴染むのは難しそうです。
 お料理はすごく美味しそうなんですが。
 ところで、24ページに「豆のカレーは人気メニューで(中略)最低でも三種類、多い時は七種類も入れて作る」、109ページには「レギュラーメニューでよろしければ、高原野菜のカレー」と書いてあるのに、205ページでは「確かにカフェにカレーがなかったのは盲点だったわよね」、「でも定番メニューにするなら」というやりとりがあるのはなぜなのでしょうか。

 ちなみにコック・オー・ヴァンとは鶏肉の赤ワイン煮込み。大地のおばあさんの得意なお料理だったそうです。

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