くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「国語の力を親が伸ばす」高濱正伸

2011-06-27 21:41:18 | 社会科学・教育
最近非常にショックなことがありまして。
中学生がことわざとか慣用句を知らないということを知り、そういう普段使うような言葉を知らないというのは、日常から抜け落ちていく言い回しがかなりたくさんあるのではないかと思った次第です。
だって「鶴の一声」も知らないっていうんだよ! 「嘘から出たまこと」も! 「やにわに」とか「見てくれ」とかも!
この子たち、成績は悪くありません。でも、語彙は少ないのかなと感じました。
ものを考えるには言葉を介在しますから、自分に「わかる」言葉しか使えないのです。知らない言葉が含まれていれば、文章を理解することも難しい。
わからないことだらけの文章を読まされて、なおかつ質問に答えなくてはならないのは苦痛なことだと思います。
言葉は日常に溶け込んでいるのですから、それを摂取して語彙力をつけていくしかない。本を読むとか調べものをするとか、方法はいろいろあるのですが、まず幼少期に少しずつ鍛えていくことが必要ではないかと、著者は言います。
高濱正伸「国語の力を親が伸ばす」(カンゼン)。「全教科の成績が良くなる」「プロが教える! 小学生の学力アップ親子作戦」これが全タイトル。ゴージャスですね。
相手にたいして一言しか言わない人が増えています。「水」「ラーメン」「明日」等、身内であればある程度の確率で伝わるところですが、少し察しの悪いお母さんになって、それをどうしてほしいのか聞いてみることが大切です。
家庭での母親の態度や、具体的な学習についての示唆が書かれていますが、実に納得できる内容が多く、おもしろい。
とくにこれはぜひやってみたいのですが、「音読打率ゲーム」。40字くらいの文を50用意してチェックしていくそうです。つっかかりや間違いを細かく見る。
正しい音読のできる子は、成績の伸びもいいそうです。
音読について、わたしがよく思うのは、初読でどれだけ完成された読みができるかということでしょうか。誰かに新聞や絵本を読んであげるとき、とくに練習しなくても丁寧にすらすら読める。そういう訓練を積ませることが必要だと思っています。
聞き取る力が読み取る力に直結するとして、文章を音読後に描写に関わるクイズを出すという方法もおもしろそう。イメージとして思い浮かべることが大切なんですって。
そして、とにかく漢字だけは強制してでも覚えさせるしかないという意見には、全く同意見です。漢字が書けないのは、国語学習ではかなり不利。言語事項50パーセント出題というものすごい人も世の中にはいらっしゃる。作文を書くにしても、語彙力ない漢字も書けないでは話になりません。
かつて仕事に必要なものを買ったので領収書をお願いしたところ、レジのお兄さんにひらがなで学校名書かれたよなー(小学校中学年くらいで習う簡単な字なのにー)。
この本の中に、百人一首や古典を与えて、「日本語の宝石を体に埋めておく」ことが大切だと書かれていました。
先日会議で配られたプリントに、国語の学力が低下したのは、十年ほど前に流行した「暗唱・朝読書・漢字ドリル」のせいだという文章が載っていて、わたしはかなり腹が立ったのです。筆者は体育教育をされている方で、暗唱はできても発表の声が小さいことを嘆き、この十年できちんと国語を指導できる教員が減ったとまで言っていました。
流し読みなので真意はわかりませんが、大きな声で発表したら、国語力がついたといえるのか。だったら、演劇部に参加させたら?
もともと暗唱が流行したのは、斎藤孝の影響が強いと思うのですが、彼の主張はもともと国語を体育としてみる手法だったはず。
暗唱は暗唱で必要だし、その他のエッセンスも「国語」として不可欠だと思います。言語化言語化言われていますが、一朝一夕では言葉は身につかないのです。
それを家庭教育で意図的に学習させたいという高濱さんの考えには納得です。「思いやり」を育てる教科というのは賛同しかねますが。(これについては、石原千秋先生伸び考えに近いので)
「なぞぺー」も好きなので、よく見たら本棚に高濱さんの本が数冊ならんでいました。

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