くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「背表紙は歌う」大崎梢

2010-12-27 05:40:48 | ミステリ・サスペンス・ホラー
当方、積雪四十センチを記録しまして、買い物に出ようと車をバックさせたところ、三回切り返したらタイヤを取られて動かなくなったのでございます。車の周囲を雪かきすること三十分、やっと脱出。ああこのまま、雪どけを待つことになるのではと思いましたよ。
しかし、そのために予定が狂いました。夕食準備前に読み終わるはずだったんです。
大崎梢「背表紙は歌う」(東京創元社)です。書店営業の井辻くんを視点にしたシリーズの二作めです。これがよかった! とくに表題作は涙じんわりです。
ジオラマ作りが趣味の井辻くんが頼りにしている久保田さん(ドールハウスを作るのが好き)には、新潟の書店に嫁いだ過去があり、その店の窮地を耳にして不安がっています。なんとか力になりたいと考えた井辻くんは、新潟出張中の真柴とトラブルの原因を探っていきます。
その中で、継母だった久保田さんを今も慕うマリちゃんのブログに行き当たる。「本と音符と刺繍糸」というタイトルに、じわーっと目頭が熱くなりました。もちろんラストシーンも、染みます。すばらしい。
「新刊ナイト」もいいです。非常にダークな高校生活を送ったらしい作家の白瀬みずき。サイン本を作りに行くことになった書店のスタッフがどうも同級生らしいと知り、パニックになったりしないかと気を回す話なのですが、文中に挿入されているエピソードに揺さぶられます。
「譲りたくないもの、守りたいものがあるって、すごいことだよ。たとえ小さくても、心に決めたものをぎゅっと握りしめ、君には君の道を進んでほしい」
いいですね。卒業文集で使おうかしら(笑)
どの話も書店員さんならではのエピソードが盛り込まれていますが、今回は書き下ろしで「成風堂」とのつながりも書かれています。いやその前に「影平紀真」ってあるからもしやとは思ったんですけどねー。内藤くんから新刊の帯に推薦文、多絵ちゃんからはなぞなぞが届きます。
読み終わって、ついつい久世番子「本棚からぼた餅」(新書館。非売品)を読み直してしまいました。大崎さんと一緒に取材に行った話とか載ってます。メインは注文書の裏で連載された「暴れん坊営業さん」だったので、なんかすごく世界が近かった。というより井辻くんのイメージって、わたしにとっては「かーやまさん」なんです。(詳しくは「暴れん坊本屋さん」参照)
内藤くんも出ていましたよー。

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