くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「朗読のススメ」永井一郎

2009-06-17 05:07:09 | 言語
丸善で平積みしてあるのを買ってきました。永井一郎「朗読のススメ」(新潮文庫)。
なんか丸善にいくと、三時間以上駐車できるんじゃないの? と思うほど買ってしまう。一時間分三千円なのですが。(いや、当然一万円買っても一時間分しか貰えないですけどね、駐車券)
わたしにとって永井さんといえば当然波平です。
波平って、すごく長い間「日本のお父さん」だったと思うのです。子供のころは、もうおじいさんだからと考えていましたが、まだ六十前なのですよね。
この前、朝ごはんにトーストとサラダを食べる波平を見てかなりショックを受けました。そ、そんな洋食メニューをサザエさん一家は食べるのですか! フネさんはそれでOKなのですか。まだ黒電話の一家の朝食とは思えません。そのうち誰か携帯を持ったりするのでしょうか……。
永井さんは、波平と「YAWARA!」の猪熊滋悟郎とでは同じように台本に「~じゃ」と書いてあっても意識して発音を変えているというのです。波平には「~じゃ」の心を残したまま「だ」、滋悟郎は「ぢゃ!」と発音しているとか。
この本を読んでみて、永井一郎という人が日本語について真摯に捉え、言葉そのものを大切にしていることがよくわかりました。
永井さんも高島先生の「お言葉ですが」を愛読していることがわかり、うれしい。

朗読について書いた本ですから、声を出すこと、演ずることについて永井さんがどう考えているのかということも書いてあります。「幸福願望を理解する」ということですね。
イメージをつかむために声楽家の方とやりとりしたエピソードもおもしろく読みました。
「言葉は形です。文字も形です。形だから教えることができます。するとみんながその形を認識します。だから分かり合えることになるのです」という文章に、永井さんの呼吸までもが聞こえてくるように思いました。
本を読むとき、わたしは心の中で音読し、もうひとりのわたしがそれを聞いているような気がするのですが、この本は全編ナレーション永井一郎で聞こえていました。
最後にもう一度波平について語っていますが、「五十三歳」と年齢設定をすると、波平は日々若くなっているんだそうです。まんが連載開始時明治生まれだった波平。アニメ開始時は大正生まれになり、現在の波平であれば戦後生まれということになるんだとか。
うーん、わたしの父よりも若いのですね。世間一般の五十三歳はトーストの朝食を食べるのかもしれません。(うちではパンは「おやつ」と認識されています)


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1 コメント

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Unknown (ミリオン)
2024-09-12 22:02:35
こんばんは。
朝食は美味しいですね。食べるのが大好きです。頑張って下さい。今日の朝は、「虎に翼」の第119回を見ました。
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