くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「かがみの孤城」辻村深月

2019-01-02 06:22:19 | 文芸・エンターテイメント
 今年の一冊目は、辻村深月「かがみの孤城」(ポプラ社)。
 泣きました……。
 息子の学校の司書さんが、本屋大賞作品で最も好きだと書いてらして、ずっと読みたいと思っていました。学校には入れてあったのですが、何しろ分厚い。
 辻村さんの作品を読むのは結構パワーが必要なこともあり、ちょっと敬遠してはいました。
 でも、この冬は読んでみようと。
 結果、当たりでした。もう、大大吉です! ラストを泣きながら読みました。
 
 同級生とのトラブルから登校しなくなったこころは、家の鏡から異世界に行けるようになります。
 ドレス姿でオオカミの仮面をかぶった女の子が、七人の中学生を集めて、願いが叶う鍵を探すように言うのでした。
 女子はこころの他にアキとフウカ、男子はスバル、マサムネ、ウレシノ、リオン。お互いが、おそらく学校に行っていないと思われます。
 5月に出会ってから3月のタイムリミットまでに、絆を深めていく彼ら。
 少しずつお互いのことがわかってきたとき、アキが着ていた制服から、全員同じ学校だと気づくのですが……。
 
 学校へのわだかまりを抱え、自分の居場所を探し求める彼らは、ひとくくりに「不登校」とは片付けられない理由を持っています。
 自分のことをわかってほしいのに、それを伝えることも難しい。 
 こころは、最後に一人ひとりの苦しみに触れることになりますが、それぞれ同じ理由ではないし、解決の兆しがあるわけでもありません。
 願いがかなえばお城での記憶はなくなってしまうというのですが、随所にちりばめられている彼らの未来にじわっときます。
 特に「ナガヒサ・ロクレン」と、「喜多嶋先生」。
 学校の中にいると、見そびれてしまうものがやはりあるかもしれないとも思います。ずっと休んでいる生徒の顔も思い浮かびました。
 ただ、集団って段々となじんできたり、誰か一人でも支えてくれる人がいれば違うのだなと感じました。
 
 オオカミさまの正体とか、あらすじを聞いていたけどすごく楽しめました。
 しかし、真田美織のキャラクター造形がすごいですわ。友達にはなりたくないけど、生徒だったらわたしも騙されそうな気がします。

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