くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「奇術探偵曾我佳城全集」泡坂妻夫

2009-07-01 05:36:29 | ミステリ・サスペンス・ホラー
泡坂妻夫「奇術探偵曾我佳城全集」(講談社文庫)のことを。
上下巻千ページ、一気に読めます。
とはいえ……。
この本の旧版「天井のとらんぷ」と「花火と銃声」を持っていたので、上巻は既読の作品ばかりでした。未収録プラス最終話がついた完全版! 「このミステリーがすごい!」2001年の第一位だった単行本をさらに配列し直したものとあれば、読まずにはいられませんよね。
下巻の最初の話を読んで、これはミスリードを誘う伏線なんだろうなーと思っていたらその通りだったのですが。
泡坂さんがこういう書き方をするからにはラストはこうくるだろうという納得のラストです。
でも、佳城が最後に云う「それをあげましょう」。気にかかって仕方ありません。そ、それって、あれ? でも、君、それでいいの??

結局、佳城は「ジョーカー」なのですね。旧版を読んだときは気づかなかったけど、これを二冊通して読んでそう思いました。
わたしは、「空中朝顔」がいちばん好きです。

さて、「あとがき」が素敵なので引用しますね。(一部省略しています)

そういえば、この二十年間にはいろいろなことがあった。フツ国皇太子が王位を継承した。惟霊講会が「しあわせの書」を刊行した。昭和はすでに昔となり、平成が十二を過ぎた。

フツ国皇太子は、あの人、「しあわせの書」はあの本ですよね。どちらも泡坂さんの代表作です。

家の本棚あさったところ、昔読んだ文庫がぞろぞろ見つかりました。さらに、まだ読んでいなかった「迷蝶の島」を発見。読まなければ。