くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「長い長い殺人」宮部みゆき

2009-07-22 05:06:40 | ミステリ・サスペンス・ホラー
財布が語る連作が、保険金殺人の真相に迫る。宮部みゆき「長い長い殺人」(光文社文庫)です。
多分新書で出てすぐ読んでいるのですが……すっかり内容を忘れてしまったので借りてきました。
うーん、宮部みゆきにしてはありふれた犯人……と思ったんだけど、なるほど、起承転結でいえば、「転」のあたりがおもしろいですね。
宮部作品によく登場する、罪悪感ない若者が、ここでも描かれていると思いました。
バスガイドのマコちゃんがかわいい。そして、早苗の甥雅樹がいいのです。やっぱり少年を書かせると上手いですよねー。
ただ、雅樹少年がマコちゃんや杏子のことを知っているのは違和感がありました。マスコミ報道の過熱も。この当時は容疑者扱いで、こんなにヒートアップしたっけ?
さらに、携帯電話が一般に流布していないのだなーということが端々から伝わってきておもしろいですね。

それにしても。
わたしが読んだのはなんと五十刷りなんですが、それでも315ページに「人材派遣会社に席をおいて」とあるのです。
せき……。籍だと思うんだけど。「天馬のように舞い上がれ」でも発見したなー。世間では、deskを設置することが所属だということになっているのですか?
これ、ほかの出版社からも文庫が出ているので、ちょっと確かめてみます。