アメリカインディアン文化のNHKカルチャーラジオ最終章、「先住民文化の世界への発信」を聴いての感想です。
ネイティヴアメリカンであったインディアンが、保留地に追い込まれて表舞台から忘れ去られて久しかった1960年代、ベトナム戦争の帰還兵やヒッピーたちによって先住民文化が見直されました。
ヒッピー(hippie)は既存の制度、慣習を拒否した60年代の若者文化。それまでの米国社会の主流層、アングロサクソン系の恵まれた富裕なワスプ(WASP)の生活スタイルに反発したヒッピーは、(1)戦争より愛(2)競争でなく調和(3)権威でなく平等(4)管理でなく自由(5)人工でなく自然、の価値観を掲げました。この価値観はよく見るとアメリカンインディアン文化とそっくり。都会の家庭を離れコミューン(共同体)で生活をする。西洋文化への落胆が先住民文化に回帰したともいえる現象でした。
戦士に向かいない男の子に強制しない
ラコタ・スー族では、男の子の中に戦士に向かない子がいることを認めていました。右手にお人形、そして左手に弓矢を示してどちらを選ぶか。その時、人形に興味を感じる戦いの嫌いな男の子には、無理に戦士はさせず別な役割を与えました。また障害を持つ子に対しても欠陥でなく差異としてとらえインデァイアン共同体は広く受け入れます。いわば包摂(ほうせつ)の思想が行き渡っていました。知恵のある者として年寄りも大切にしました。子供も老人も弱者に温かく優しい共同体を形成していたというわけです。
先進的だったSANYOの文化イベント
村の諸問題はパウワウ(powwow)の形で円陣を組み祈祷したり会議を開きます。ところで三洋電機は宣伝の一環でサブカルチャー的なイベント、SANYO POW WOW TIME を東京都内で何回か開催しました。1990年初頭、ヒット商品でいうと双眼鏡のようなビデオカメラ(ジーマ)が話題を呼んでいた頃です。まだ10代の初々しかった渡辺満理奈がゲスト出演していた時、立ち会ったのを思い出しました。このイベントなども今考えますとアメリカンインディアン文化の影響だったことを改めて感じました。
講座の中、阿部珠理先生=写真=が、自身の教育実習で得た経験から身体的に劣った子でも神に近い存在としていたわり受け入れるインディアン文化に接して「アメリカのもっとも貧しいと思われたインディアン社会で、弱者を優先する人間の愛情から発した安全保障のつながりを感じ、先住民社会から学ぶことは実に多い」とまとめられていました。
【写真】SANYO POW WOW TIME のポスター(1990)
NHKカルチャーラジオ 歴史再発見 アメリカ先住民から学ぶ―その歴史と思想 (NHKシリーズ) | |
講師 阿部珠理(立教大社会学部教授) |
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