老人関連の本は、すでに何冊か読みましたが本書『なにぶん老人は初めてなもので』はタイトルからしてユーモラスでした。
著者、中沢 正夫氏は、1937年群馬生まれの精神科医。
老いは、誰にとってもはじめての経験である。一定年齢をこえたことでもって一律に“老い”と規定しているが、年齢で区分すべきことではない。百人百様。死を迎えるまでは隆々発達する。老人は“発達途上人”だ、と著者は述べている。
まだ“新入り”に近い私は、多分に「世の規定」を強く意識しすぎていたきらいがあっただけに著者の言葉が、とても新鮮に感じられました。
「老い」と「死」を連続に考える傾向を取り払うよう、著者はすすめる。世の縛りからの解放感、もっとも人間らしくなることを老いの本質としています。
隠居の条件や老いの結晶、7つの能力なども示している。
著者は明け方よく夢をみるという。それも決まって子供の頃の故郷の自然。そういえば私も同じような情景の夢をよく見ます。
高校生だった著者が1954年、渋川高校2年生のときの話が面白い。海軍航空兵帰りの物理の担任教師と級友たち36名で、その年の元旦、水沢山に登山をした。先生の発案で参加者全員の名前を書きビンに詰めある場所に埋めた。先生いわく「2000年になったらこのビンを開こう」。
かくして46年後、年老いた先生をはじめ約半数が同じ場所で再会を果たした。さてタイムカプセルは・・
【写真】1990年代の太田高校応援団(高崎城南球場)。直接本文とは関係ありません。
なにぶん老人は初めてなもので | |
中沢 正夫 | |
柏書房 |