ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

【中学下宿記】(13) “ハウス”に住むクラスメイト 

2009年11月05日 | 中学生下宿放浪記
私のほかに、もう一人いじめに遭っていた子がいました。
女の子です。
この頃、「ハウス」と呼ばれた在日米軍の官舎住宅がありました。
この子、Hさんはハウスに住む中学生でした。

「キャンプドルー小泉」が返還され東京三洋電機が操業を開始してからも
小部隊ではありましたが米軍は一部、保安警備隊等が駐留していました。

北中に転校の日、校長室で母と説明を受けました。何気なく外を見ると
体操をしている一団が目に入る。中でもひときわ大きく色白で長身の生徒が、
印象に残りました。その子がHさん。私が転入した組で一緒になりました。

憎きいじめ野郎、U君はHさんを「二世」「ガイジン」とからかって小突く。
それまでの私でしたら、正義感を燃やしてすぐに止めに入るところですが、
キバを抜かれた転校生羊は、見て見ぬふり。情けないありさまでした。

一度、物を届けにHさんのお母さんが来校したことがあります。和服姿の
小柄な人であまり似ていない感じ、Hさんはお父さん似だったのでしょう。
英語の授業では、先生より発音が良く、Hさんが良く指名され模範朗読を
しました。あまりのきれいな声に、みな感心して聞き入っていました。

ある時、仕上がった文集が各自に配られました。転校したばかりの私の
作品はありませんでしたが、下宿に持ち帰り床の中でそれを読みました。

Hさんの作品は『人間はみな兄弟』。
「人類、人間はみな兄弟、愚かな争いをやめて助け合おう」という内容。
じーんとした気持ちにさせられました。
「転校生の僕も辛いけど、きっとHさんも辛いだろうな」と、涙ぐむ。
その文集、失くしてしまったのですが、今でもHさんの詩は私の記憶に
しっかり留まる傑作です。(つづく)


【写真】古いレコードジャケット。本文とは無関係です。


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コメント (2)
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