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「ニッポンが変わる、女が変える」

2013-12-01 11:15:18 | 本や言葉の紹介

 「ニッポンが変わる、女が変える」(上野千鶴子 中央公論新社)は、3.11(東日本大震災)のあと、原発事故のあと、「日本はどうなる? どうする?」について上野さんが“この人の意見を聞いてみたい”と願った12人の女性との対談集。上野さんは女性学、ジェンダー研究の学者。
  「BOOK」データベースの説明には「女の力を活かさないこの国に未来はない。3・11以後の日本をめぐって上野千鶴子が12人の女性と徹底討論!」とあります。

 目次は次の通り。
第1章    崖っぷちからの希望 高村薫(作家)
第2章    死の意味がほしい 瀬戸内寂聴(作家・天台宗尼僧)
第3章    それでも生きていく 永井愛(劇作家・演出家)
第4章    マスメディア不信を越えて 国谷裕子(ニュースキャスター)
第5章    新しい「幸せの形」とは? 田中眞紀子(前衆議院議員)
第6章    “差別の再生産”を許さない 辛淑玉(人材育成コンサルタント) 
第7章    イギリス流「老いらく社会」をめざせ 浜矩子(経済学者)
第8章    敗戦と原発、その失敗の本質 加藤陽子(歴史学者)
第9章    リスクを選んで生きる 中西準子(環境リスク学者)
第10章  女性リーダー育成が次世代の鍵 林文子(横浜市長)
第11章  戦争のない未来を守るために 澤地久枝(ノンフィクション作家)
第12章  水俣にも福島にも花は咲く 石牟礼道子(作家)

 あとがきに、

 原発事故後の、再稼働についても、汚染についても、避難についても、どんな世論調査の結果を見ても、女性と男性の反応には大きなギャップがあった。日本を変えるのに、男にまかせておけないような気がした。あなたまかせじゃなくて、誰かが変えるとしたら、それは女だ……そう思って、「ニッポンが変わる、女が変える」というテーマが成り立ち、『婦人公論』での連載が決まった。」

 長い長い巡礼の旅を終えた気分である。
 「ニッポンが変わる、女が変える」と意気込んで始めた旅は、道半ばにして、挫かれようとしている。
 原発再稼働についても、憲法9条改正についても、女性の声は疑問の余地なく圧倒的に「反対」に向いているのに、デフレ脱却、景気刺激という短期の経済利益を、日本の有権者は選んだのだ。女の願いである「カネよりイノチ」、ではなく「イノチよりカネ」を。女の中にもそれを選ぶひとたちはいる。
 本書を世に送り出すのに、もっと前向きの明るい「あとがき」を欠ける状況にないことが哀しい。
 「ニッポンが変わる」可能性にも、「女が変える」可能性にもどんどん希望はなくなりそうだが、希望はと言えば、こういう女性たちが日本にいる、と言うことだろうか。
 『婦人公論』連載中、この対談を毎号待ちかねてくださった読者の方たちがおられた。そういう読者の存在もまた、希望なのだと思う。

とあります(抜粋しています)。
 それぞれの対談にも、あとがきにもウーンとうなってしまった。
 上野さんはとっても頭がよくてすごいなあと思うんだけど、オトコ、オンナときっぱり分けて言いきっちゃう表現などが粗い感じでちょっと苦手。でもこの本では、上野さんの頭の回転のよさが対談者からいろいろなものを引き出していく感じで、爽快感を覚えるほど。そうなのかあ、へえ、と何回も声を上げてしまいました。
 これはぜひ読んでほしい本です。


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