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【転載記事】羽田空港衝突事故に関するJHU(JAL被解雇者労働組合)の見解

2024-01-13 18:10:50 | 鉄道・公共交通/安全問題
今日は、JAL被解雇者労働組合(JHU)が1月11日付で発表した羽田空港衝突事故に関する「見解」をご紹介する。JHUは、JALの「倒産」にあたって、2010年12月31日に解雇されたパイロットや客室乗務員など165人の被解雇者のうち、会社と和解せず職場復帰を目指す労働者によって結成された労働組合である。

見解の全文は、JHUホームページからも見ることができるが、以下、全文をご紹介する。印刷に適したPDF版は、JHUホームページからダウンロード可能。

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羽田空港でのJAL機と海保機の衝突事故について(見解)

 本年1月2日の夕刻、JAL516便が羽田空港着陸時に、滑走路に進入していた海上保安庁(海保)機に衝突、両機が炎上し、海保機に搭乗していた5名が死亡、JAL機では379名全員の脱出に成功しましたが、15名の負傷者を出すという大きな事故が発生しました。

 現在、運輸安全委員会の事故調査と警察の捜査が進められていますが、警察の捜査は犯人を特定するための捜査であり、再発防止に向けて原因を究明する事故調査とは異質なものです。私たちは犯罪性が認められない中で、警察が関与することは真の事故原因究明の妨げになると考えます。

 今回の事故については、滑走路への誤進入の原因となった管制官と海保機とのコミュニケーション問題が主に取り上げられています。私たちはJALで30年以上の乗務経験から、乗務員の立場で事故を考察する必要があると考えます。

 今回の事故を回避する最後の砦はJAL機でした。なぜ3人のパイロットが滑走路上の海保機に衝突まで気づかなかったのか?との疑問が出されるのは当然のことで、事故機の特殊性も含めて検証することが重要です。

 JALは創業以来、主に米国製(ボーイング社など)の機材を使用してきました。欧州製のエアバス350の運航を開始したのは4年前の事です。当該機はボーイング社の機材に乗務していた副操縦士が機種移行の訓練で操縦をしていました。そこで機長を含めた3人の連携はどうだったのか?また、当該機種には操縦計器を正面の窓に映し出すシステム(ヘッドアップ・ディスプレイ)が装備されています。これが滑走路上の障害物を視認する上で支障を来すことにならなかったか?などの検証が必要です。

 衝突後の緊急脱出では、火災発生の中、客室乗務員の判断で全員の脱出に成功した点は、高く評価されるべきです。これは客室乗務員の日頃の研鑽の賜物と言えますが、事故機では全てのドアに客室乗務員が配置されていた事実を見逃してはなりません。一方、機種によってはドア数に満たない客室乗務員編成数で運航され、職場が改善を求めているにもかかわらず、経営が応えず、国土交通省も事態を放置している現実があります。この事故での脱出成功を教訓に、JALや国交省はドア数に満たない客室乗務員編成数を見直すべきです。

 また、今回の事故を契機にパイロットや整備士と同様に、客室乗務員を航空法上の航空従事者として位置付けることも必要です。

 不安全要素や事故の背景を指摘するのは現場の労働者です。そのためには労働者が安心して働ける職場が必要であり、自由にモノが言える職場が保証されなければなりません。労働組合の役割は益々重要です。

2024年1月11日 JAL被解雇者労働組合(JHU)

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