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青函トンネル、新幹線も在来線運転か?

2010-05-10 23:50:46 | 鉄道・公共交通/交通政策
速度は在来特急並み? 北海道新幹線新青森―新函館間(河北新報)

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 2015年度に開業を予定する北海道新幹線新青森―新函館間の半分以上の区間で、開業直後は新幹線が在来線特急並みの速度でしか走行できない可能性が高まっている。時速200キロ以上の新幹線と在来の貨物列車が線路を共用する区間ですれ違う際、風圧などで貨物列車が脱線する恐れがあるからだ。国土交通省はいくつか対応策を示すが、結局は新幹線の速度を抑える以外に有効策はなく、青森県などからは「在来特急と同じスピードなのに新幹線?」と疑問の声が上がっている。

 国交省によると、新幹線と貨物列車が線路を共用するのは新青森―新函館間の149キロのうち、青函トンネルの54キロを含む82キロ。最速260キロの新幹線が貨物列車とすれ違った場合、貨物列車が風圧などで脱線したり、横転したりする可能性を否定できないという。

 国交省は2月上旬、青森県や北海道などが参加する会議で「新青森―新函館間の着工が決まった04年度以降、対策を検討しているが、結論に至っていない」と説明した。

 その上で、検討段階の対策として(1)別のトンネルの建設や上下線間の隔壁の設置(2)新幹線と貨物の運行時間の区分(3)すれ違う時のみ新幹線が減速(4)貨物車両が乗り込める新幹線用貨物列車(トレイン・オン・トレイン)の導入(5)新幹線が線路共用区間で在来線特急並み(最速140キロ)で走行―の5案を提示した。

 (1)の別トンネルの建設には5000億円超、障壁設置には1600億円超が必要とされ、工期が大幅に延びることも予想される。(2)は新幹線か貨物のいずれかがほとんど運行できなくなる。(3)は技術的に困難だという。

 (4)のトレイン・オン・トレインは本格的な実用化までに10年以上はかかるとされ、開業には間に合わない見通し。このため、開業直後は(5)が実施される可能性が高い。その場合、同区間の所要時間は18分程度増え、約58分となる見込みだ。

 青森県は「開業が迫りつつある中、結論が決まっていないことだけを示されても」と困惑気味。「いつどうやって、新幹線らしく200キロ以上で走行できるのかを具体的に、早期に示してほしい」と求めている。

 国交省は「開業の期日に間に合うよう結論を出したい」としている。
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もともと青函トンネルは、将来の北海道新幹線開業に対応できるように標準軌規格で造ってあり、新幹線の通過には何ら問題はない。しかし、建設当時は新幹線電車同士がすれ違うという想定しかしていなかったと思われる。3線軌条化によって複線の一方を新幹線電車、もう一方を在来線の貨物列車が走るというのは想定外だったはずで、ここに大きな誤算が生じることになった。貨物列車とはいっても、在来線車両は1両あたりの重量が最大でも50トン程度であるのに対し、新幹線電車は1両あたり60トン程度ある。風圧による貨物列車の横転というのは、十分考えられる話だと思う。

かといって、貨物列車とすれ違うときだけ新幹線が減速などというのは技術的にどだい無理な話だ。西鉄では特急同士がすれ違う区間のみ部分的に複線にするなどといったアクロバット的な運行形態もあるが、こうした運行形態が可能になるには完全パターンダイヤでなければならない。

隔壁設置も技術的には無理ではないが、新トンネル建設の3分の1近い費用がかかるのでは国も自治体もJRも手を挙げないだろう。それに、青函トンネルはすでに3線軌条化のために工事費を使っている。これに隔壁設置まで行えば、おそらく3線軌条化とあわせて新トンネル建設並みの費用がかかるのではないか。そうなった場合、3線軌条化などせずにはじめから新トンネルを造ったほうがよかったということになり、国は責任を問われかねない。

このように考えると、最も現実的な案は新幹線が減速運転することだろう。所要時間18分延は利用客としても、許容すべき範囲ではないだろうか。

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