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鶏口となるも牛後となるなかれ~3度の「離脱」が教えたこと

2010-05-30 23:23:23 | その他社会・時事
社民、連立離脱を決定=地方組織大半が支持―辻元副大臣辞任へ・全国幹事長会議(時事通信) - goo ニュース

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 社民党は30日午後、都内のホテルで全国幹事長会議を開き、連立政権からの離脱を正式決定した。米軍普天間飛行場移設に関する対処方針に反対した福島瑞穂党首が閣僚を罷免されたことに対し、党内の反発は強く、地方組織の大半が離脱すべきだと主張した。社民党の辻元清美国土交通副大臣は前原誠司国交相に、31日に辞表を提出する意向を伝えた。

 昨年9月に発足した民主、社民、国民新3党の連立体制は8カ月半で崩れ、支持率下落が続く鳩山政権の弱体化に拍車が掛かるのは必至だ。参院選を控えて危機感を強める民主党内では、鳩山由紀夫首相の責任を問う声も広がり始めた。

 福島氏は全国幹事長会議後に記者会見し、「筋を通して良かったと皆から言われた。新しい政治を切り開くべく全力で頑張る」と強調。今後の党の対応については「法案によって是々非々でやっていく」と述べた。

 仮に首相が退陣した場合の連立復帰の可能性を問われたのに対し、福島氏は「(移設先を名護市)辺野古と決めた日米共同声明が生きているから関係ない」と否定した。

 民主、社民両党との参院選での選挙協力については、昨年9月に3党でまとめた連立の政策合意への対応を守るかどうかを確認した上で決める方針。重野安正幹事長は会見で「われわれは離脱するが、政党間の付き合いは粘り強く追求したい」と述べた。

 社民党は30日午前、常任幹事会で「鳩山内閣の退陣が受け入れられなければ、政権離脱の方向を確認する」との方針を文書にまとめ、執行部が全国幹事長会議でこれを提案。しかし、出席者から「分かりにくい」との声が相次いだため、常任幹事会を再度開いて「政権離脱を確認する」と文言を修正。新潟県連など一部から離脱に慎重な声も出たが、地方県連の大半が政権離脱を支持し、幹事長会議として了承した。
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社民党が、当ブログの希望通り連立離脱を決定した。普天間基地「移設」が県外や国外に決まるならともかく、沖縄県内に決まったのだから、これは避けられない運命でもあった。安全保障問題という、決定的な両党の対立項を棚上げにしたまま連立を組んだツケが回ったといえる。

くどいようだが、当ブログは改めて社民党の連立政権入りに最初から反対だったことを確認しておきたい。旧社会党時代から、細川~羽田政権、村山政権、そして今回と、社民党は3度政権入りしたが、すべて途中離脱という結果に終わった。

しかし、当ブログの考えでは、この結果は当然のことである。そもそも社民党は、旧社会党時代の1964年に採択された「日本における社会主義の道」と題する文書に、社会主義政党の基本のひとつであったプロレタリアート独裁を党の指導原理とする旨の内容を盛り込んでいた。この路線は、1986年に「日本社会党の新宣言」(新宣言)が採択されるまで放棄されることなく続いた。

一方、民主党は自民党の党内抗争がきっかけで離党した議員が中心になって結成した新生党~新進党を母体とする純然たる保守政党である。この両者が相容れない存在であることは、はじめからはっきりしていた。

自民党から分裂した保守政党と、かつてはプロレタリアート独裁を事実上の指導原理としていた社会主義政党。両者はその思想において両極に位置する。本来、手を組むなどあってはならないのである。もし、社民党がどうしても政権与党になりたければ、それは単独政権か、みずからが主導権を発揮できるような形での連立政権でなければならない。ドイツ社会民主党や、イギリス労働党、フランス社会党のように、みずからが小政党を指導する形での政権である。

「そんなことを言っていたら、社民党はいつまでたっても政権与党になれない」と考える社民党支持者もいるかもしれない。しかし、当ブログの考えでは、それでかまわない。野党でいいのである。

政権を目指してはいけないとか、与党になることが悪だなどと主張したいのではない。政権を目指したければ、与党を批判しながらみずからの主張への支持を訴える。主張が正しければ、支持は拡大し、少数党から多数党に立場が変わる。そして多数党となった政党は、それまでの多数党に代わって政権を担当する。政権とは、目指すべき目標であると同時に「多数党となったとき、結果としてついてくるもの」である。他党の尻にくっついて、こっそり隅っこに入れてもらうような性質のものでは決してないのだ。

当ブログは、ふらつく鳩山政権内部で筋を通して闘い抜き、そして散っていった福島党首の頑張りをある程度評価はする。しかし、こうした原則論的考察の後では、決して褒められたものでないこともおわかりいただけるだろう。自分たちが多数党になろうという努力もせず、誰かの後ろにくっついておこぼれにあずかるような敗北主義的、事大主義的な政党が、党勢を拡大することなど不可能である。ましてや、くっついていく相手が正反対の基本政策を持つ保守政党だというのだから、政権離脱というカードを切っても支持拡大につながらないのは当然である。

社民党が選挙協力すべき相手は民主党ではない。強いて相手を探すなら、それは日本共産党しかあり得ない。30年ほど前に言われていた「革新統一」(この言葉も死語に近いが)の道である。

今は昔と違って小選挙区制時代なのだから、そんな選挙協力は無駄だという声もあるかもしれない。しかし、小泉自民が圧勝した2005年の総選挙でさえ、社民・共産両党あわせて25%近い票を獲得している。その小泉自民がもたらした格差社会と、その背景に潜む新自由主義的経済政策への不満が爆発、2大政党がガタガタになり、みんなの党を除けばおしなべて「第3極」も掛け声倒れとなる中で、その間隙を縫って「革新統一」候補が当選できる新たな諸条件が生まれつつある。当面は、こうした「正しい選挙協力」によって護憲、反基地、雇用と労働者の待遇改善のために活動する議員を増やし、そして保守系の「第3極」や公明党とも連携しながら、最も非民主的選挙制度である小選挙区制から、少数意見が正しく反映される選挙制度(中選挙区制、比例代表制等)への改革を要求していく。そうした柔軟でしたたかな戦略と戦術の中から、政権への道もまた生まれてくるのである。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」という故事成語もある。政権離脱を機に、社民党は、誰かの後にくっついて政権のおこぼれにあずかるという事大主義を捨て、国民・労働者との共同の中から多数党へ向かって努力するという本来の道に立ち返らなければならない。

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