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イラク敗北の衝撃~戦争国家の時代の終焉

2012-01-22 10:00:15 | 反戦・平和
(当エントリは、当ブログ管理人が「イラク平和テレビ局メールマガジン」2012年1月22日号に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 2003年の戦争開始後、8年あまりにわたって米軍駐留が続いてきたイラク。そのイラクから米軍がついに撤退した。今後は民間軍事会社に雇われた傭兵部隊が残るものの、イラク市民に直接銃口を向けてきた占領部隊は2011年の終わりとともに引き揚げざるを得なかった。ギングリッチ・下院議長がいみじくも述べているように米国は「敗北して去る」のである。2008年の大統領選をオバマ大統領と争い、敗れたマケイン上院議員(共和)も「中東でアメリカ合衆国が新たな戦争をすることはないと思う。世論が賛成しない」と述べている。

 日本のメディアでは、米軍のイラク駐留を不可能にした原因として、米国政府が民間傭兵部隊の刑事免責を要求したのに対し、マリキ首相がこれを拒否したことで駐留協定の延長が不可能になったためだと伝えられている。もちろんそれも理由のひとつではあろう。しかし真の原因は他にある。その原因に迫っていくと、イラク戦争がアメリカに与えた衝撃の大きさが見えてくる。

◇上限に達した国債発行

 米国の法律により、国債の発行上限はたびたび引き上げられてきたが、現時点でのそれは14兆3000億ドルである。2011年夏、米国政府の国債発行残高がこの上限に近づいたことは日本のメディアでも取り上げられたが、米国政府行政予算管理局資料“HISTORICAL TABLES”によれば、情報が発表されている2006年度の時点で連邦政府債務残高(国債発行残高)は8兆4,513億ドルの赤字とされている。米国政府の国債発行残高はわずか5年間で6兆円近く、率にして40%も急増したことになる。特に2008年以降の増加が大きく(参考資料)、これは軍事費の支出よりもむしろリーマン・ショックによる混乱が大きく影を落としているように思われる。

 国債が発行上限に達することが明らかとなった2011年8月、オバマ政権は、さらなる国債発行上限の引き上げや、歳入拡大のための富裕層への増税を提案したが、2011年11月の米議会超党派委員会の同意を得られなかった。トリガー(引き金)条項が発動され、2013年1月から約5000億ドルの軍事費を含む1.2兆ドルの歳出が強制的に削減されることが避けられない情勢だ。

 軍事費の削減に「懸念」を抱く米共和党内の一部には、軍事費強制削減を避けるため、トリガー条項の見直しを求める法改正を企む動きもあるが、上下両院で多数派が異なる日本同様の「ねじれ国会」のなかで法案が提案されたとしても、可決の可能性は低いとみられる。

 オバマ政権によるイラクからの全面撤退は、このような状況下、イラク駐留継続のための戦費調達ができなくなったための「強いられた敗戦」でもあった。冒頭に紹介したマケイン上院議員の発言はその意味で正しいが、彼の発言に訂正の必要があるとすれば次の2点だろう。1つは米国が戦争をできないのは中東に限らないということ、もう1つは「することはない」のではなく「できない」のだということである。

 ◇ベトナム戦争以来の衝撃

 米国の戦費調達が不可能になったという意味において、イラクでの敗戦は世界史上に残るニュースである。米国の政治・経済・社会への打撃という意味ではベトナム戦争での敗戦に匹敵するであろう。

 ベトナム戦争で米国が失ったのはブレトン・ウッズ体制である。ブレトン・ウッズ体制とは、金と米ドルとの交換を可能とする「金本位制」を基軸として、各先進国が固定相場制の下に通貨を交換し合う制度のことだ。1945年に発効したこの制度では、金1オンス=35米ドルに固定され、日本でも長い間外国為替市場は1米ドル=360円に固定されてきた。

 金本位制は貨幣価値を金の価値によって保証する制度だ。金の埋蔵量には限りがあるから、どの国も金の保有量を増やすことには限界があり、また、どの国の政府もその国が保有している金の価値の総体を超えて通貨を発行することはできない(仮に発行できたとしても、貨幣価値が下落し、インフレが起きて両者が調整されるだけである)。

 戦争は、新たな商品を生み出すことなく破壊だけをもたらす資本主義経済にとっての麻薬である。ところが、政府以外に顧客のいない軍需産業は政府の政策に介入し、政治を歪め、国家経済に「麻薬」を注射し続ける。戦争が続くと、戦費調達のため紙幣の増刷も続く。金の価値によって貨幣価値を裏付けていた金本位制は、やがて金の価値が増大する通貨発行量に耐えられなくなり、崩壊する。ベトナム戦争によるブレトン・ウッズ体制の崩壊はこのようにして起きたのである。

 1961年度以降、米ドル発行残高は一度として減ることがなく、今日に至るまで右肩上がりで上昇を続けている。ベトナム戦争があろうとなかろうと、このことだけでもブレトン・ウッズ体制はいずれ崩壊する運命にあった。しかし結果的にベトナム戦争がその死を早めた。

 米国経済のドル垂れ流しはこの後も絶え間なく続いたが、これには戦争や金融危機以外に国際通貨としての米ドルの特殊性も指摘しておく必要がある。日本円の場合、国際取引にはほとんど使われず、そのほとんどは日本国内で所有されているから、日銀が金利を引き上げれば市場に流通していた円は一定程度日銀の金庫に戻る。しかし世界中であらゆる取引の決済に使われている米ドルは、単にFRB(連邦準備制度理事会;米国の中央銀行)が金利を引き上げたくらいではFRBの金庫になかなか戻ってこないのである。国際通貨、共通通貨としての性格を強く持っている通貨は垂れ流しになりやすいといえる(ユーロにもこのことは一定程度当てはまるが、本稿筆者はユーロ危機にはまた別の原因があると考えている。このことは機会があれば別に述べたい)。

 統計の残る1961年以降、米ドルが右肩上がりで発行量を増やしてきたということは、米ドルの価値もまた一貫して下落し続けてきたことを意味する。ベトナム戦争で金本位制を失った米国が、その後二度と金本位制に戻ることができなかったように、イラク戦争で「戦費調達の自由」を失った米国がその自由を回復することは二度とないであろう。その意味でイラク戦争は、ベトナム戦争以来の打撃を米国に与えたのである。

 ◇誰が救済されたのか?

 もう一度、次の2つの資料を見比べていただきたい。1つは米国におけるドル発行残高の推移、もう1つは米国債発行残高の推移である。どちらも1980年代に入る頃から緩やかに増え始め、2008年から急増するという形で相似を描いている。

 米ドル発行額と米国債発行残高が、ともに2008年に急増したという事実から次のことが読み取れる。リーマン・ショックの際に大量の米ドルが刷られ、国債も大量に発行され、これらのすべてがマネーゲームに狂奔してきた米国金融資本の救済に回されたということである。国債の新規発行は、通貨の増刷を少しでも抑えるための目くらましとして同時に実行されたと考えられるが、返済のための資金的裏付けのない新規国債発行は、結局、返済の際に新たな紙幣を刷らなければならないということを意味しており、一時的な問題のすり替えにしかならない(ちなみに、日本では太平洋戦争の戦費調達のため、大蔵省・日銀が軍部の圧力に屈して新規国債を日銀に引き受けさせた結果、返済のための円が足りなくなり、紙幣を増刷したところ、インフレで経済が崩壊したことから、戦後の財政法では新規国債を日銀が引き受けることは禁止された)。

 カネのために戦争とマネーゲームを始めた米国グローバル資本は、まさにその戦争とマネーゲームとでみずから深く傷ついた。米国政府はその救済のため、税金と借金をグローバル資本にジャブジャブ流し込んだ。2008年~2011年だけで、米ドルの発行残高は従来の2.5倍、米国債の発行残高は従来の40%増である。これらのツケはこれから民衆に回される。考えただけで背筋も凍るような悪夢である。

 ◇戦争国家から民衆の国家へ

 以上、米国が置かれている深刻な経済危機の一端をご覧いただいた。これらの事実からいえることは、「戦争国家としての米国」の完全な終焉である。これからの時代を米国が生き残れるかどうかは、軍需産業だけが栄え、それ以外の産業はすべて没落していく戦争国家路線を民生本位に転換できるかどうかにかかっているといえよう。

 2011年秋、米国各地に「ウォール街を占拠せよ」「我々は99%だ」との叫びが響き渡った。この動きはやがてギリシャのように、米国でも「支配層が作った借金なら我々は返済しない、返済するのは奴らだ」という声につながり、支配層を大きく揺さぶることは間違いない。

 日本でも状況は同じである。「一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移」(財務省)によれば、日本でも1000兆円を超えるといわれる債務の大部分は平成10(1998)年以降のものであることがわかる。バブル時代に踊り狂ったマネーゲームの後始末で山一証券や北海道拓殖銀行といった金融機関が相次いで破綻していった時期と重なる。このときを境にして国債発行残高が急増している事実を見れば、この債務が誰のために作られたのかわかるだろう。野田政権が進めようとしている消費増税とは、この借金の民衆への押しつけに他ならない。ギリシャの民衆と同じように、我々には返済を拒否する権利がある。

 「ウォール街を占拠せよ」「我々は99%だ」「借金は作った奴らが返せ」という声を日本でも各地でとどろかせよう。「金融屋が作った借金の請求書は金融屋へ、戦争屋が作った借金の請求書は戦争屋へ、原子力村が作った借金の請求書は原子力村へ!」が2012年のスローガンだ。

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北朝鮮、韓国・延坪島を砲撃 民間人も2人死亡

2010-11-24 23:38:28 | 反戦・平和
<北朝鮮砲撃>100発着弾で兵士2人死亡 韓国側も応戦(毎日新聞)

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 【ソウル大澤文護、ニューヨーク山科武司】23日午後2時半(日本時間同)ごろ、韓国が黄海上の南北軍事境界線と定める北方限界線(NLL)まで約3キロの韓国領・延坪島(ヨンピョンド)に向け北朝鮮側から砲弾100発以上が発射され、このうち数十発が島内の韓国軍基地や民家に着弾した。韓国軍合同参謀本部によると兵士2人が死亡、兵士15人が重軽傷、民間人3人が軽傷。韓国軍は対岸約10キロに位置する北朝鮮黄海南道の海岸砲基地からの攻撃とみて約80発の砲撃で応戦し、日本政府関係者によると、北朝鮮側にも被害が出たとの情報がある。北朝鮮が韓国領土を砲撃し、人的被害が出たのは1953年の朝鮮戦争休戦以来初めてで、朝鮮半島情勢は緊迫の度を増している。

 北朝鮮による砲撃を受け、国連安全保障理事会は24日以降、緊急の会合を開いて対応を協議する見通しだ。

 延坪島はNLLの南側に位置し、島民約1660人のほか韓国軍兵士約600人が駐屯する。韓国メディアによると、北朝鮮の砲撃は約2時間断続的に行われ、約60~70軒の住宅が破壊された。島の各所で火災が発生し、住民は島内の防空壕(ごう)や、島の東約90キロの仁川港などに定期船や漁船で避難している。

 北朝鮮の朝鮮人民軍最高司令部は23日、韓国軍が先に砲撃してきたとする声明を発表。韓国軍が北朝鮮領海を侵犯したと主張し、「領海を0.001ミリでも侵犯するなら、今後もちゅうちょせず無慈悲な軍事的対応打撃を引き続き加える」と警告した。朝鮮中央通信が伝えた。

 北朝鮮は99年にNLLの「無効」を一方的に宣言し、NLLの南側に独自の「軍事統制水域」を設定して延坪島周辺海域を含む一帯を北朝鮮領海と主張してきた。韓国軍は22日から黄海で演習を実施しており、韓国メディアによると、北朝鮮は「北側海域で射撃をした場合、座視しない」との通知文を韓国側に送っていたという。

 韓国軍当局は「演習では北朝鮮の方角ではなく西に向けて砲撃していた」と主張しているが、北朝鮮側が自らの領海と主張する海域での演習に反発し、砲撃した可能性もある。

 李明博(イ・ミョンバク)大統領は直ちに招集した安保関係閣僚会議で「二度と挑発することができないよう対応措置を取る」と発言。大統領府の洪相杓(ホン・サンピョ)首席秘書官は「韓国に対する明白な武力挑発だ。追加挑発時には断固対応する」との声明を発表した。

 韓国政府は事態拡大の防止を呼びかける通信文を北朝鮮に送る一方、全軍に最高度の非常警戒態勢を発令し、戦闘機が上空で警戒。25日から南北軍事境界線に近い韓国・坡州(パジュ)で予定していた南北赤十字会談の無期延期を発表した。
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北朝鮮が突如、韓国の民間人居住地域を攻撃した。朝鮮戦争休戦以来、南北間の衝突は海上での正規軍同士の衝突や、軍事境界線を挟んだ正規軍同士の発砲など、民間人を巻き込まない形で限定的に行われてきた。それだけに、今回の事態は深刻であり、衝撃でもある。

99年に北朝鮮が設定した軍事統制水域なるものは、国際社会の承認が得られていない。自分で勝手に設定した水域を根拠に、それより北側は自分たちの水域だと主張することには無理がある。もし、そのような主張が認められるなら、世界中の国々が、みんな自分勝手に国境を変更できることになる。そうなれば、世界は国境紛争だらけ、戦争だらけになるだろう。

一方、ではNLLが正しいかといえば、そうとも言い切れない。このNLLは、朝鮮戦争が休戦となった1953年に国連軍が設定したものだが、国連軍の実態は米軍であり、米軍の意向が強く反映していた。当時、国連に議席を持っていた「中国」は現在の台湾政府であり、朝鮮戦争当時、人民義勇軍を送って北朝鮮を援助した大陸政府はこの当時、国連に代表権がなかったのである(大陸政府が台湾に代わって国連加盟となるのは1971年)。

したがって、北朝鮮はもちろんのこと、中国政府も「俺たちの関与できないところで勝手に決められたNLLなんて知るか」が本音だろう。

しかし、どのような事情があれ、民間人に犠牲者を出す軍事行動に正当性はなく、北朝鮮はこうした危険な軍事行動をやめなければならない。NLLを変更させたければ、国連安保理なり、6カ国協議なり、正当な話し合いの場で持ち出して議論するのが筋である。

韓国・延坪島で民間人2遺体発見=砲撃受け兵力増強―黄海に米空母派遣へ(時事通信)

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 【ソウル時事】韓国の海洋警察庁は24日、北朝鮮による砲撃を受けた延坪島で、民間人2人の遺体が発見されたと明らかにした。兵士に加え、民間人の死者が出たことで、韓国の北朝鮮に対する反発はさらに強まる見通しだ。

 海洋警察庁によると、遺体が見つかったのは海兵隊官舎の工事現場。2人とも60歳前後の男性で、島外から働きに来ていたとみられる。遺体は焼け焦げており、作業中に砲弾を受けたもようという。

 23日の砲撃では、韓国軍海兵隊員2人が死亡、隊員16人が重軽傷を負ったほか、民間人4人の負傷が確認されていた。今回の遺体発見で砲撃による死者は計4人となった。また、損壊した家屋は22軒に上った。

 李明博大統領は24日午前、首席秘書官会議を開き、延坪島など北朝鮮に近い黄海の5島の兵力を増強し、新たな挑発に備えるよう指示。また、今回のような局地的挑発に積極的に対応するため、北朝鮮との交戦規則を改定する必要があるか検討するよう求めた。

 統一省は同日、安全上の問題を理由に、北朝鮮の開城工業団地への韓国人の訪問を当面禁止すると発表。また、赤十字を通じた北朝鮮への水害支援を中断することを明らかにした。

 李大統領はこの日、オバマ米大統領、菅直人首相と相次いで電話会談し、連携して対応していく方針を確認。米韓は28日~12月1日に黄海で合同軍事演習を実施することで合意した。

 韓国軍合同参謀本部によると、演習には米原子力空母「ジョージ・ワシントン」も派遣される予定。同本部は演習は以前から予定されていたと説明するが、事実上、砲撃への対抗措置と言える。
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米韓の軍事演習は、北朝鮮にさらなる攻撃の口実を与えるものだ。軍事力に対抗する軍事力の連鎖は、決して良い結果をもたらさない。ここは自重し、国際社会の北朝鮮非難が高まるのを待つべきだ。同時に、中国政府に対する働きかけを強めることも必要である。

今回のような無差別砲撃をすれば、民間人に死傷者が出かねないことを北朝鮮は十分知っていたはずである。それにもかかわらず無差別攻撃を実行したのは、金正日総書記の余命幾ばくもなく焦っているのか。あるいは軍にさえ十分な食糧配給が回らなくなり、不満を持った軍が暴走しているのか。いずれにしても、尋常でない事態であることは確かだ。

北朝鮮では、「金日成主席生誕100年である2012年に、強盛大国の大門が開かれる」などという宣伝が行われているようだが、こんな状況で2012年まで持つのだろうか。北朝鮮の崩壊は思いのほか早いのではないかという気がする。周辺諸国は、北朝鮮崩壊に備えた準備をしておく必要があるように思われる。

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沖縄最終日、普天間基地を見る

2010-06-07 23:28:00 | 反戦・平和
3日間の沖縄滞在も今日が最終日。今日は、最近政治問題化している普天間基地をぜひ見ておきたいと現地案内人にお願いし、案内してもらう。「県内移設」反対運動の盛り上がりは報道で知ってはいるが、どんなところか確認しておかなければ話にならない。

サムネイルでご覧いただいている写真。その写真奥にある巨大な飛行場が普天間基地だ。滑走路は2500mはあるだろうか。半端な地方空港よりよほど大きい。これだけの規模を持つ施設が米軍の戦争のためだけに使われているのだ。無駄と害悪のスケールが大きすぎ、めまいがする。

「米軍基地がなくなると、基地従業員らが失業する」などとして、基地反対運動から離脱した労働組合もあるらしいが、案内人によると、基地従業員は8000人、基地の経済効果は沖縄経済の5%に過ぎないという(ただし補助金を除く)。8千人程度の雇用なら、基地を全面閉鎖しても新たな産業を作って吸収できるだろう。なにしろ、これだけ広大な土地が戻ってくれば、やりたくてもできなかったことがなんでもやれるようになる。リゾート、観光などの開発をやりたい業者はいくらでもいるだろう。

沖縄出身の山内徳信参議院議員(社民党)が読谷村長時代、地元の基地を閉鎖して新たな産業を創出したら、2万人近い雇用が生まれたという話を聞いたことがある。読谷村だけでこの調子なのだから、沖縄全体の基地を閉鎖し返還させたら、いったいどれだけの雇用が新たに生まれるだろうか。

案内人によれば、米軍基地に土地を提供している地主の中には、国から最大で年間数十億もの地代収入を得ている人もいるそうだ。少ない人でも、年間300万程度の地代収入があるらしい。ワーキングプアと言われる人の年収より多い額である。非正規雇用で働いても働いても200万円の収入しか得られない若者がこんな話を聞いたら暴動が起きかねない。

こうして、働きもしない地主が不労所得を得て堕落する一方、多くの土地を持たない県民はあくせく働いても全国最低の賃金と全国最悪の失業率にあえいでいる。そして“The more you have,the more you want.”(人間は持てば持つほど、ますます強欲になる)という英語の諺のとおり、一度不労所得の味を覚えた地主たちは、決して基地返還になど応じようとしないのだ。

基地による補助金で沖縄経済は潤っているなどと主張している人がいたら、絶対に違うと私は言いたい。実際には、潤っているのは一部土建業者と「堕落した地主」だけだ。こうした構造を打破するためにも、基地経済を解体する必要がある。それは、自民党政権を打倒した新政権の最も緊急かつ主要な仕事でなければならないはずだ。

午後からは、バスを乗り継いで県南部に移動。県立平和祈念資料館を見た。ここは、資料館よりも、沖縄戦の全戦没者の名を記した平和の礎(いしじ)のほうが有名だろう。いつまでもいつまでも続く石碑は、そのまま地上戦の悲惨さを示している。

足下に転がる焼けこげた死体の上をさまよい、壕から壕へと逃げまどう。目の前でのたうち回りながら兵士がバタバタと死んでいく。ようやく逃げ込んだ壕の中で、住民たちは投降することも許されず、日本軍から与えられた手榴弾で我が子に手をかけ、自分も死んでいく…。沖縄住民が、そんな生き地獄の地上戦を経験し、生き延びてきた重い事実に衝撃を受けた。沖縄住民が、基地の押しつけや歴史教科書の改ざんと命をかけて闘う理由が多少なりとも理解できたように思った。「地上戦」と言葉でいうのは簡単だが、「辺野古」現行案に回帰して恥じない政治屋たちは、この惨劇をどう感じ、考えるのか。少しでも人間としての感覚があるなら、この惨劇を生きてきた人々の上に新たな基地を作るなど、そもそも人間としてあり得ないはずだ。

こうして、私の初の沖縄訪問は終わった。海で泳ぐという目標は果たせなかったが、それ以外のほとんどの目標は果たした。しかし、北海道と並んで超1級の観光地である沖縄を堪能するには、最低でも1週間は欲しいところだ。3日では全然物足りない。未乗車の鉄道はないけれど、ぜひまた来たいと思っている。

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怒りの中で迎えた復帰の日

2010-05-15 22:59:33 | 反戦・平和
<沖縄の日>怒りの3800人 本土復帰38年の集いで(毎日新聞)

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 沖縄の本土復帰38年を迎えた15日、米軍普天間飛行場がある沖縄県宜野湾市で「平和とくらしを守る県民大会」があり、県内外から約3800人(主催者発表)が参加した。政権交代で普天間の県外移設への期待が高まった沖縄だが、鳩山由紀夫首相は県内移設への方針転換を言明。大会会場では、38年たっても変わらない基地負担と、政権の裏切りへの怒りが「沖縄差別」との言葉で次々に飛び出し、悲憤が渦巻いた。

 大会あいさつに立った社民党の照屋寛徳国対委員長(衆院沖縄2区選出)は県外からの参加者に対し「みなさんには沖縄を差別する側に立たないでほしい。沖縄の基地問題を解決するため一緒に闘ってほしい」と呼びかけた。

 宜野湾市の伊波洋一市長は「復帰後もますます基地が強化され、日本政府は県民の苦しみに無関心で、これ以上許すことはできない。普天間を閉鎖させ、新たな基地はつくらせない」と叫んだ。

 最後に「県内でのたらい回しを断念し、普天間閉鎖の対米交渉を開始せよ」とする宣言文を採択した。【井本義親】
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基地の重圧に苦しむ沖縄は、過去幾度となく基地への怒りを表明してきた。そして今、沸き立つ怒りの中で、沖縄は復帰の日を迎えた。

率直に言おう。鳩山政権のやり方は詐欺とも言うべき裏切りであり、自民党政権より悪い。少なくとも自民党政権は、できないことをできるとは言わなかったし(やらないと言っておいてやる、やると言っておいてやらない、ということはあったが)、沖縄に基地が必要なら必要と説明してきた。少なくともここ最近の政権は言行は一致していたから、当ブログも賛成なら賛成、反対なら反対ときちんと姿勢を打ち出すことができた。

宜野湾市役所ホームページが、基地問題をコンパクトに、かつわかりやすくまとめている。世間で宣伝されてきた「海兵隊の司令部機能のみを米軍がグアムへ移したがっている」というのはウソであり、実際には沖縄海兵隊の主要部隊を一体的にグアムへ移転させるのが米軍の従来からの計画であることが、ここを読むと理解できる。

つまり、実際には米国は、世界一危険な上老朽化も激しい普天間を閉鎖したがっているのだが、「安上がりな防衛力」として日本政府のほうが米軍基地を欲しているのである。しかも、海兵隊というのは防衛のための部隊ではなく、先制攻撃のための部隊である。ぐるりと回ってニャン子の目の後に鳩山首相から出た「抑止力」という議論も、完全に間違っている。

沖縄の海兵隊は、イラクやアフガニスタンに出撃し、イラク・ファルージャでの「掃討作戦」(という名の一般市民大虐殺)に関わった。そのことだけでも許し難いし、日本の領土を発進拠点としてこうした作戦が行われ続けることは私にとって苦痛ですらある。基地とは本質において非生産的、破壊的な迷惑施設に過ぎない。沖縄県内でなければいいとか、日本国内でなければいいとかいう問題ではない。廃止、閉鎖をめざさなければならない。

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ブッシュ大統領、イラク人記者に靴投げられる

2008-12-17 21:48:59 | 反戦・平和
米大統領:靴投げ付けられる 「犬野郎」とイラク人記者に(毎日新聞)

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 ブッシュ米大統領は14日、イラクの首都バグダッドを予告なしに訪問した。マリキ首相と臨んだ記者会見で、イラク人記者が「犬野郎」などと叫びながら靴を投げ付けた。大統領は危うくかわしたが、来月の退任を控え任期中最後とみられる訪問で、イラク人の根強い反米感情を見せつけられた形となった。

 バグダッドからのテレビ映像などによると、イラク政府や駐留米軍高官との会談後、イラクの治安改善や、イラク側が先に正式承認した米軍地位協定の成果を誇示するため記者会見に臨んだ大統領に対し、記者席の前から3番目の列にいた男性記者が突然立ち上がり、1足の靴を一つずつ投げ付け、大統領は身をすくめてこれをかわした。(カイロ共同)
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もちろん私も、公の場で外国のトップに靴を投げるなどという非礼極まりない行為を勧めはしないが、投げたイラク人記者の気持ちもよくわかる。米国がブッシュ時代の8年間にイラクでやったことは、破壊と殺戮だけだといってもいいからだ。

で、当然のことながら、逮捕されたこの「靴投げ記者」は中東全体の反米感情を代表した形となり、英雄視されている。

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「靴投げ記者は英雄」釈放求め各地でデモ…イラク(読売新聞)

 【カイロ=福島利之】イラクの首都バグダッドで記者会見中のブッシュ米大統領に靴を投げつけて拘束されたイラク人記者が、同国の庶民の間で英雄視され、釈放を求める数千人規模のデモが15日、各地で起きた。

 記者の行為は、イラク戦争に対する同国民の不満を代弁した格好となり、他の中東各地でも記者を称賛する動きが出ている。

 靴を投げたのは、衛星テレビ局「バグダディヤ」のムンタダル・ザイディ記者(29)。同僚が地元メディアに語ったところによると、記者は、テロや米軍の攻撃で殺害された市民を取材するうちに、米国に対する怒りを募らせた。今年1月には米軍に拘束されたという。

 イラク政府は、記者の行為を「野蛮」と非難。記者は、外国首脳への侮辱罪で最大で禁固2年の刑に処される可能性があるが、街中では「我らが英雄」(イラク人運転手)とたたえる声が圧倒的だ。

 一方、カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」によると、フセイン元大統領の弁護人が記者の弁護を申し出た。
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一方、早速ネット上では、ブッシュ大統領に靴を投げつけ、命中回数を競うオンラインゲームが登場した。URLはこちら

初日は世界中からアクセスが殺到したらしく、つながらなかった。2日後、沈静化したらしく、つながるようになったので私も何度かプレイしてみた。単純だけどおもしろい。

ちなみに、制作したのは英国人といい、サイトも英語になっている。アクセス数で上位25カ国が表示されているが、1位は米国。支持率が20%周辺を低迷するブッシュ氏だけに、米国民が一番ブッシュ氏にうんざりしているようだ(だったら最初から選ぶなよ、と言うツッコミはこの際置いておこう)。

2位はフランス。イラク戦争に参戦した英国でさえ8位。日本は20位。ブッシュ大統領の嫌われ方は半端ではない。

オバマ氏の就任まで残り1ヶ月となった今、ブッシュ氏に対する世界の評価は「史上最低の大統領。さっさと消えてくれ」ということか。

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パレスチナ「内戦」非常事態宣言

2007-06-15 23:26:33 | 反戦・平和
パレスチナに2内閣 ファハタ、ハマス アッバス議長、非常事態を宣言(産経新聞) - goo ニュース

今日は非常にお堅いニュースを取り上げる。パレスチナ情勢である。
15日、パレスチナ自治政府統治地域であるガザ地区で、ハマス武装勢力がファタハ拠点を軍事制圧し、実権を掌握。ファタハ出身のアッバス議長が非常事態宣言を出した。
日本のメディアは「内戦」と報じているところもあるが、ハマスは自治政府の与党の一部なので、権力内部にいる者による権力中枢の奪取、すなわちクーデターとするべきだろう。ハマスによる軍事クーデターである。

中東情勢は日本人が一番苦手とする分野で、歴史的背景など説明するだけで一エントリを優に超えてしまうが、要約するとこうである。

1.中東戦争における、イスラエルによるガザ、ヨルダン川西岸地区の占領
  ↓
2.占領地でのイスラエルへの抵抗運動(インティファーダ)の激化
  ↓
3.パレスチナ和平協議と「オスロ合意」を経てパレスチナ自治政府発足(ファタハ単独政権、アラファト議長)
  ↓
4.アラファト議長死去(2004年)
  ↓
5.パレスチナ自治評議会(自治政府の議会)選挙でハマス圧勝、ファタハ、ハマスによる挙国一致内閣の成立

ちなみに、ハマス圧勝前までパレスチナ自治政府の中心となっていたファタハとは、PLO(パレスチナ解放機構)内のアラファト議長率いる主流派。かつてはPLO内に反アラファト派も存在したが、その後は活動が沈静化し、自治政府発足当時は事実上ファタハ=PLO=自治政府、と言っていい状況にあった。

そして、今回の事態である。
ハマスの行為は、話し合いによって成立した挙国一致内閣を暴力で一方的に壊したものであり、受け入れることはできない。確かにハマスは選挙に勝ち、単独過半数を握る自治政府与党となったが、例えば日本で自民党が自衛隊を動員し、公明党本部を武力制圧して内閣をすげ替えたらどうなるか、考えてみればわかるだろう。

ただ、日本と全く政治状況の違うパレスチナを同列に論ずることができないことはもちろんである。国家予算の4分の1以上を軍事費に消費し、自国が攻撃されなくても「予防先制攻撃」として周辺諸国を先にぶん殴ってしまうイスラエルという「ならず者国家」と対峙しなければならないからだ。

同時に、パレスチナではハマスはただ軍事力でのし上がってきたわけでは決してない。貧しい人たちに慈善事業を施しながら地道に貧困層の支持を得る努力をしてきた。
それに対しファタハは、良くも悪くもアラファト議長の個人的カリスマ性に負うところが大きく、その国際的地位とは裏腹に事実上「アラファト商店」状態だった。後継者を育成し、ファタハ組織が全体としてパレスチナ代表者としての正当性を得ようとする努力を怠ってきたと言えよう。その「個人商店状態」のツケが、アラファト議長の死去によって一挙に噴出したのである。
ハマスが自治政府の与党になってからも国際社会がファタハ支持を変えないのは、ファタハ以外に支持できる勢力がないという現実的問題の他に、「あのアラファトが率いていた組織だから」という理由も大きいように思うのだ。

しかし、先に述べたように事実上のアラファト個人商店状態だったファタハは、そのアラファト議長の死によって耐用年数が切れたように思われる。地道に貧困層の心をつかむ活動をしてきたハマスを「イスラエル壊滅を綱領に掲げるイスラム原理主義勢力だから」という理由だけで無視し続けることはこれまで以上に難しくなるのではないだろうか。

ローマ帝国の時代から続いているパレスチナ問題が、10年や20年で簡単に解決できるなどという脳天気なことは私も思っていない。が、これまでの歴史的経過を踏まえれば、問題解決のために見えてきたこともいろいろあると思うのだ。

1.イスラエルを承認させる代わりに大幅な軍事力縮小を行わせる
2.ファタハに代わってパレスチナ住民の代表となりうる勢力の育成
3.パレスチナについては、イスラエルとパレスチナ代表(2で掲げた新しい勢力)とによる共同統治

このあたりが現実的で、最大多数が納得できる解決策ではないだろうか。
1はすぐにでも初めてもらいたいと思う(もちろん入植地の段階的縮小を終えた後のイスラエルの承認が条件)が、2はすぐにできる話ではなく、10年スパンで見るべき話だと思う。それまでは、ハマスが住民の支持を得ている事実を踏まえ、彼らにイスラエル破壊の綱領放棄、原理主義による統治をしないこと、等々について保証するよう、粘り強く説得するしか道はないと思う。

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