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安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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JR福知山線脱線事故遺族・藤崎光子さんに関する報道

2024-04-26 20:39:53 | 鉄道・公共交通/安全問題
JR福知山線脱線事故から19年を迎える中、遺族のお一人で安全問題研究会とも長年にわたって交流のある藤崎光子さんに関する報道があったので、紹介する。

1人娘を失って19年 脳梗塞になり...今年は介護施設のベッドで『脱線事故発生時刻』を迎えた母「現場に行けず残念。娘はいつも一緒にいる気持ちではいる」【JR福知山線脱線事故】(2024年4月25日)

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レイバーネットTV : パワハラ横行!バス業界の闇

2024-03-01 22:28:47 | 鉄道・公共交通/安全問題
2月28日、レイバーネットTVで「パワハラ横行!バス業界の闇」が葬送された。現役のバス運転士が主演し、生々しいパワハラの実態を語った。

長時間労働とそれに見合わない低賃金、乗客らの理不尽なクレーム(カスタマーハラスメント)に加え、会社からのパワハラまで行われては、普通に勤務を続けられるほうがおかしいだろう。

レイバーネットTV : パワハラ横行!バス業界の闇


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<地方交通に未来を⑮>安全問題と物流問題~公共交通激動の2024年

2024-02-11 19:18:39 | 鉄道・公共交通/安全問題
(この記事は、当ブログ管理人が長野県大鹿村のリニア建設反対住民団体「大鹿の十年先を変える会」会報「越路」に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 2024年は大変な年明けになった。元日の能登地震と1月2日に起きた羽田での日航機・海上保安庁機の衝突事故だ。羽田空港の事故は、いわば公共交通をめぐって今まで覆い隠されてきた問題が噴出した形で、私はいずれこんな事態になるだろうともう10年くらい前からずっと思っていた。ここまで極端な形は予想していなかったが。

 事故直後、「レイバーネット日本」に分析記事を書いた。特に、2004~2019年の15年間で全国の航空機数が1.5倍に増えているのに、航空管制官が逆に15%も減らされていること、結果として航空管制官1人が扱う航空機数が1.8倍に増えていることを指摘したら大きな反響があった。多くの東京都民の反対を押し切る形で、東京五輪のために強行された羽田新ルート(2020年4月から実施)によって1割近く飛行機の発着回数が増えたことを指摘した回もそれに劣らぬ反響があった。アフターコロナで2019年以前に近いところまで航空機の便数が戻った上に羽田新ルートによる増便を加えた形での航空管制業務は過去に経験のないもので、事故は起こるべくして起きたというべきだろう。

 国交省職員で構成する「国土交通労働組合」(国交労)はずっと以前から職員の定員削減をやめ要員を増やすよう求める署名運動を行ってきたが、関係者やそれに近い人に呼びかける程度であまり知られていなかった。ところが、私がレイバーネットで紹介したこともあって事故直後からメディア取材が殺到。2月6日、国交労はとうとう航空管制官の増員を求める声明を発表し記者会見まで開いた。安全確保のために必要な人員まで機械的に減らし続ける国交行政のあり方を問い直すとともに、国交労の闘いに一般市民・公共交通利用者からの支持があると伝えることが今のこの局面では重要である。

 航空業界は今、問題山積の状態だ。新千歳空港では、機材もパイロットも客室乗務員も足りているにもかかわらず、乗客の手荷物の積み卸しなどを扱う地上職(グランドハンドリング職)の人手が足りないため増便ができないという事態になっている。コロナ禍による大減便で離職したグランドハンドリング職員が他職種に転職したままアフターコロナになっても戻らず、残された労働者に負担が集中。激務に耐えられず辞職者が相次いでいるが、その補充もできず、「このままでは過労で死者が出てしまう」としてとうとう昨年末にはグランドハンドリング職の労働組合が2023年末限りでの36協定(労働基準法36条による残業協定)の破棄を会社側に通告した。2024年の年明け以降は残業をしないという意味であり、航空業界はますます人手不足に追い詰められている。

 公共交通は基本的に労働集約型産業で、シーズンとオフシーズンとで需要に極端な繁閑があるため人員調整に苦労してきた。それでも非正規労働者を雇用の調整弁に使うことで何とか持ちこたえてきたが、若年人口の減少でそうした綱渡りも次第に難しくなってきている。シルバー労働人口は増え続けているが、公共交通の現場は体力勝負の要素が強く、シルバー労働人口がいくら増えても若年労働者の代わりにはならないからだ。

 2024年、航空業界以上に追い詰められそうなのはバス・トラック業界だ。2019年に「働き方改革関連法」が成立し、残業規制(年960時間まで)が導入されたが建設・物流業界に限り「5年後に施行」と猶予期間が置かれた。その猶予期間がいよいよ終わる今年、運転手も年960時間を超えて残業ができなくなるため人手不足に拍車がかかるというわけだ。

 「残業制限などされたら手取り賃金が減り、食べていけなくなる」という規制反対の声が運転手の間から上がっていると聞くが本末転倒だ。年960時間といっても1か月に80時間で、これさえ厚労省が過労死ラインに指定する水準に当たる。声を上げるなら「死ぬまで働いても食べていけないような低賃金を何とかしろ!」であるべきで、過労死するまで働かせろという要求を、労働者の側からは口が裂けても言うべきではない。

 「働き方改革」に対しては、最低賃金引き上げなど実質的な内容の伴うことは何も行われていないという労働側からの批判はある。だが、ともかくも「残業=悪」というムードを日本社会に作り出したことは評価してもいい。問題は「労働時間を半分にするなら、2倍効率的に働こう」というのが安倍流「働き方改革」だったにもかかわらず、効率よく働く議論が置き去りにされたことだ。結局は残業時間を減らした分だけ仕事が積み残しになり、その不利益の押しつけ先を「今までと違う誰か」に変えるだけに終わる気配が濃厚になっている。端的にいえば、今までは「低賃金で死ぬまで働く労働者」が全犠牲を負っていたのが、今後は「いつまで経っても荷物が届かず途方に暮れる利用者」が全犠牲を負う形に変わるだけという結果がここに来てはっきりと見え始めているのである。かつて近江商人の間では「三方良し」(取引先、顧客、自分たちのすべてにとって良い結果であること)が商売の秘訣といわれたが、今は「泣く人の順番を定期的に変える」だけ。21世紀も5分の1が過ぎた2020年代とは思えず、近江商人に笑われるだろう。

 再配達の削減策やスマホアプリ活用による輸送効率化など、確かにやらないよりはマシだとは思う。だが物流危機は若年労働人口の減少という構造的要因が理由だ。物流そのもののあり方を変えるという抜本的な策なしには解決しないが、政府の動きは鈍く、打ち出される策も小手先のものばかりだ。

 一方、政府の対応を待っていられないと、自治体・民間レベルで「抜本的な動き」が出てきた。そのひとつがJR貨物による「レールゲート」構想だ。多くの物流企業が倉庫機能や荷役機能の拠点として使えるよう貨物ターミナルに併設されるもので「駅チカ倉庫」「駅ナカ倉庫」などと自称、東京・札幌では先行利用が始まっている。

 先進的な試み……と言いたいところだが私には「既視感」がある。これは結局、国鉄時代の「ヤード」の現代版なのではないか。かつて国鉄の貨物駅には広大なヤードがあり、トラックが直接乗り付け鉄道貨車に荷物を積み替えていた。ペリカン便事業も手がけていた日本通運は、もともとはこの目的のために旧鉄道省が設立した特殊会社で、終戦まで「日本通運株式会社法」という法律があった。日通が国鉄に委託されトラックで運んできた荷物を貨物駅の広大なヤードで貨車に積み替えていた。貨物の種類ごとに専用貨車を仕立てていた昔に対し、レールゲートはコンテナを使う点が違うだけだ。

 こうしてみると、国鉄のヤード系輸送を全廃し、コンテナと石油、セメント、石灰石の拠点間直行輸送だけに再編縮小した1984年の貨物ダイヤ改正を再検証しなければならない。日本の人口が若年中心でトラック運転手を集め放題だった当時と高齢化が進む今では社会状況が異なり単純比較はできないものの、「JR体制の見直しが始まるなら、それは貨物部門からになる」との、かねてからの私の予言通りに事態は動き始めたようだ。

(2024年2月10日)

<参考動画>運転士1人でドライバー65人分 トラック運転手不足で「鉄道貨物」復権へ 2024年問題で注目(2023/12/19 TNCテレビ西日本)

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【転載】羽田空港事故を受け、国土交通労働組合が航空管制官増員求める声明発表

2024-02-07 18:42:58 | 鉄道・公共交通/安全問題
羽田空港で1月2日に起きたJAL機と海上保安庁機の衝突事故を受け、国土交通省職員で作る「国土交通労働組合」が2月6日、航空管制官の増員を求める声明を発表しました。

以下、国土交通労働組合ホームページに掲載されている声明全文を転載します。同ホームページには、印刷用PDF版も掲載されています。

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2024年1月2日に発生した航空機同士の衝突事故を受けて (声明)

 2024年1月2日に東京国際空港で発生した日本航空516便と海上保安庁機の衝突事故で犠牲になられた海上保安庁職員5名の方々とそのご遺族の方々に対し、深い哀悼の意を表します。また、この事故で負傷された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 今回の事故を受けて、一部の報道各社やSNSにおいて、断片的な情報や憶測による事故原因を推測する記事が多々見受けられます。なかでも、責任の所在につながるような論調は、この事故に直接関わった航空管制官のみならず、全国で日々懸命に奮闘する航空管制官やパイロットなど、多くの航空従事者に心理的負担を強いるものであり、彼らの業務遂行に多大な影響を及ぼしかねないことを強く懸念しています。今回のような痛ましい事故を繰り返さないためには、すべての真実を明らかにすることで、真の原因究明につなげることが重要なことから、事実にもとづく情報のみの発信を望みます。

 国土交通省は、今回の事故を受けて、1月6日から羽田空港において、航空管制官による監視体制の強化として、滑走路への誤進入を常時レーダー監視する人員を配置しました。同様のレーダーが設置されているほかの6空港(成田、中部、関西、大阪、福岡、那覇)においても順次配置するとしています。しかしながら、この人員は新規増員によらず、内部の役割分担の調整により捻出するとされており、国土交通労働組合は、航空管制官の疲労管理の側面から問題視しています。

 政府は、2014年に「国家公務員の総人件費に関する基本方針」および「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」を定めており、これにより、新規増員が厳しく査定されていることにくわえて、一律機械的な定員削減を各府省に求めた結果、航空管制の現場では、管制取扱機数が急増する一方で、航空管制官の人数は2,000人前後から増加しておらず、その結果、一人当たりの業務負担が著しく増加しています。そのため、国土交通労働組合は、かねてから、「安全体制強化のための飛行監視席」の新規要員を要求してきました。しかし、2018年度からごく一部で新規定員が認められたものの、真の安全を構築するには全く足りていません。そのような要員事情において、今回の一時的措置は、当面の間とはいえ、現場が益々疲弊することは想像に難くなく、早急に航空管制官の大幅な増員の実現を強く求めます。

 くわえて、私たち国土交通労働組合は、2001年に発生した日本航空907便事故以降、「個人責任の追及を許さない」との立場で、強くとりくみをすすめてきました。航空事故は、その産業構造の複雑さから、明らかに犯罪性が認められるものを除き、様々な要因が重なった結果、発生に至る性質のものです。事故の再発防止のためには、すべての真実を明らかにすることで、真の原因究明につなげることが、悲劇を繰り返さないための必要条件です。しかし、我が国においては、多くの諸外国と違って、事故の当事者個人に業務上過失の疑いがかけられ、司法による捜査を受けており、これはICAO Annex13(国際民間航空条約第13章)に抵触するものです。司法の捜査が介入することで、当事者が黙秘権を行使し、真実が闇に埋もれてしまえば、悲惨な事故が繰り返されかねません。

 これらのことから、私たち、国土交通労働組合は、利用者のより高度な安全確保の体制を構築するためにも、共闘組織はもとより、国民のみなさまとともに、個人責任の追及を許さず、事故の真の原因究明と再発防止にむけたとりくみを今後よりいっそう、強化することを表明します。

 2024年2月6日
 国土交通労働組合 中央執行委員長
 山﨑 正人

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【羽田空港衝突事故 第4弾】羽田新ルートを強行した「黒幕」と国交省、JAL、ANAの果てしない腐敗

2024-02-06 20:43:49 | 鉄道・公共交通/安全問題
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」に寄稿した内容をそのまま転載したものです。)

 「それでは、次の議案である取締役選任についての採決結果を報告いたします。候補者番号1番、乗田俊明君の取締役選任に賛成79,315票。反対249,434票。よって、乗田君の取締役選任案は、否決されました」

 会場内にいた株主の誰もが無風のまま終わると思っていた東証プライム上場企業の株主総会。予想外の事態に、会場を埋めた株主からどよめきが起きた--(以上、事実に一部想像を加えた再現)。

 ●「1・2羽田事故」から思わぬ展開へ

 元日を襲った能登半島地震とともに全国の正月気分を引き裂いた「1・2羽田事故」。安全問題研究会は、第1報記事「羽田衝突事故は羽田空港の強引な過密化による人災だ」(1月8日付け)、第2報記事「航空機数は右肩上がり、管制官数は右肩下がり~日本の空を危険にさらした国交省の責任を追及せよ!」(1月9日付け)、第3報記事「過密化の裏にある「羽田新ルート」問題を追う」(1月29日付け)と相次いで本欄で報じてきた。

 このシリーズは本来なら第3回までで終わる予定だった。だが、羽田新ルート問題の取材・情報収集を続けるにつれ、事態は思わぬ方向に展開する。昨年、大手メディアが報じながら、追及が尻すぼみのまま終わった「ある事件」と羽田新ルート、そして「1・2羽田事故」。ばらばらの点に過ぎないと思われていた3つの出来事が、1本の線で結ばれたのだ--。

<写真=羽田空港のJAL機 JALは空港施設株の21%を保有する(2023.7.7付け「東洋経済オンライン」より)>


 ●国交省OBの「圧力」

 時は2022年の年末に遡る。全国各地の空港に拠点を置き、施設運営などを手がける「空港施設(株)」の社長に国交省OBを就任させるよう、別の国交省OBが働きかけていたことが発覚した。働きかけたのは、航空行政を一手に取り仕切る航空局長も経験した本田勝・元国交省事務次官。2022年12月13日、本田氏は同社を訪問し、乗田俊明社長らと面会。同じく国交省OBで同社副社長の山口勝弘氏を、2023年6月人事で社長に昇格させるよう求めたのだ。本田氏は、みずから「別の有力OBの名代」を名乗り、「国交省出身者を社長にさせていただきたい。(山口氏が社長に就任すれば)国交省としてあらゆる形でサポートする」として、空港施設に対し多くの許認可権を持つ監督官庁・国交省の「威光」をちらつかせながら山口氏の社長昇格を迫った。

 実は、山口氏も国交省航空局長を務めたOBで、元々は空港施設の取締役だったが「国交省出身者が代表権のある副社長に就くべきだ」と主張しみずから副社長ポストを要求、狙い通りに就任していた。本田氏による山口氏の社長昇格要求はそれに次ぐ二度目の圧力だった。

 空港施設が管理する建物の多くは羽田など各空港の敷地内にある。空港敷地はほとんどが国交省管理の国有地であり、空港施設は国に賃料を払ってそれらを借りる立場だ。とりわけ民間企業への国有地の貸付・払い下げには、以前、森友学園問題でも明らかになったように厳しい審査基準がある。形の上ではお願いであっても、国交省事務次官経験者の直接訪問による依頼を空港施設側が圧力と受け取るのは当然だろう。

 空港施設は東証プライム上場企業であり、取締役人事は指名委員会で決める手順になっている。乗田社長ら空港施設側は「上場企業なので、しっかりした手続きを踏まないとお答えが難しい」と難色を示した。「しっかりした手続き」が指名委員会での指名を意味することは言うまでもない。

 国家公務員OBによるこのような人事上のあっせん行為は違法ではないのか。かつて官僚による天下り問題が表面化した際、現役公務員がOBからの就職あっせんを受けることや、所属省庁が現役公務員の再就職をあっせんすることは禁じられた。しかし、退職したOBが別のOBの就職や人事上のあっせんをすることは民間企業同士の人事交流として規制対象になっていない。大手メディアの取材に対し、国交省は「関与しておらず、退職した者の言動についてコメントする立場にない」と回答している。

 ●大手航空2社を使い「報復」に出た国交省と本田氏

 露骨な圧力を使っての「人事介入」は空港施設側に拒まれた。これに加え、2023年3月にはこの件が大手メディアに報じられる。2023年4月3日付けで、山口氏も副社長辞任に追い込まれる。国交省の不当な人事介入を跳ね返した空港施設の「完全勝利」と思われた。

 だが、国交省は2023年6月、思わぬ形で「報復」に出る。その場面が、事実に一部想像を交えて再現したこの記事の冒頭部分だ(取締役番号1番が乗田氏であることや、賛成、反対の票数は当研究会の情報収集に基づく事実であり、株主総会議長の台詞などを想像で補った)。2期目続投が盤石と思われていた乗田氏に反旗を翻し、大量の反対票で取締役再任「否決」に追い込んだ株主は誰なのか。

 乗田氏の取締役選任(再任)議案に関し、総投票数328,749票のうち、反対票は249,434票で75.8%を占める。空港施設の株式のうち、ANAHDとJALの大手航空2社がそれぞれ21%、日本政策投資銀行が13.8%を保有している(議決権ベース)。この3社以外にも反対の株主がいたことがわかるものの、合計で55.8%と過半数を占める前述の3社の意向が事実上、議案成否の鍵を握っていることになる。関係者の話を総合すると、ANAHDが反対、日本政策投資銀行は賛成したという。JALは議案への賛否を明らかにしていないが、この票数から考えると反対したことは間違いない。

 驚かされるのは、乗田氏がJAL出身であることだ。事実上、自身の「古巣」によって解任(再任拒否)されたことになる。航空行政を一手に取り仕切る国交省航空局は、国内各空港における発着枠の配分などを通じて航空会社にも大きな影響力を持つ。空港施設にメンツを潰された形の国交省に「恩を売る」ため、大手航空2社が国交省と本田氏の書いたシナリオに沿って乗田氏解任に動いたというのが「事情通」による見立てである。

 ●本田氏と羽田新ルート~国交省、大手航空2社の腐敗こそ「1・2羽田事故」の元凶

 2009年、国交省の外郭団体研究員らによって原案が作成されながら、長く「非現実的」として放置されてきた羽田新ルートが、2014年に「官邸案件」化して以降、一気に動き始めたことは第3回記事ですでに述べた。本田氏は2014年7月8日付けで国交省事務次官に就任しており、時期的にぴたりと符合している。官邸の意を汲み、羽田新ルート推進体制を持ち前の「剛腕」で省内に構築する本田氏の姿が目に浮かぶ。

 新ルートで発着回数が年3.9万回(羽田空港発着数全体の約9%)も増えれば、大半の発着枠を割り当てられる大手航空2社もまた大きな利益を上げられる。騒音・振動被害だけでなく、落下物の危険も招き寄せる新ルートに多くの都民が反対する中、それらの事実を知りながら、新ルートの恩恵にあずかろうとした大手航空2社の姿も透けて見える。国交省も大手航空2社も利益優先、安全軽視でまさに腐敗の極致というしかない。こうした極限の腐敗こそが「1・2羽田事故」を引き起こしたのだ。

   ◇   ◇   ◇

 過去3回、多数の「おすすめ」をいただき好評の羽田空港事故追跡シリーズ、今回で終わらせる予定だったが、さらに続ける。まだ私の手元には重要な事実が残っており、これを書かずして終わらせることはできないからだ。次回、第5回では、本田氏にまつわる「書き切れなかった重要な事実」をさらに掘り下げる。彼の官僚人生こそ、過去半世紀にわたって旧運輸省~国土交通省が続けてきた日本の「新自由主義的交通行政」を象徴するものだという私の自信は、今、確信に変わりつつある。(第5回に続く)

<参考記事>
国交省元次官、「OBを社長に」要求 空港関連会社の人事に介入か(2023.3.30「朝日新聞」)

国交省OBが副社長ポスト要求 国有地賃貸にふれ「協力の証し」(2023.4.2「朝日新聞」)

空港施設の「社長解任劇」、JALがつけた落とし前 国交省OB天下り介入で、古巣がまさかの「ノー」(2023.6.30「東洋経済オンライン」)

空港施設を「闇討ちしたJAL」、社長解任劇の舞台裏 事前通知なしに反対票、理由を語らない大株主(2023.7.7「東洋経済オンライン」)

<シリーズ過去記事>
第1回「羽田衝突事故は羽田空港の強引な過密化による人災だ」(1月8日付け)

第2回「航空機数は右肩上がり、管制官数は右肩下がり~日本の空を危険にさらした国交省の責任を追及せよ!」(1月9日付け)

第3回「過密化の裏にある「羽田新ルート」問題を追う」(1月29日付け)

(取材・文責:黒鉄好/安全問題研究会)

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【JHU(JAL被解雇者労働組合)Youtubeチャンネル】JAL青空チャンネル第21回「羽田衝突事故を考える」(2024.2.1放送)

2024-02-01 22:59:53 | 鉄道・公共交通/安全問題
2010年の年末にJALを解雇された165人の労働者のうち、会社との和解を拒否して原職復帰をめざす32名で作るJHU(JAL被解雇者労働組合)。そのJHUが開設したYoutubeチャンネル「JAL青空チャンネル」第21回は「羽田衝突事故を考える」(2024.2.1放送)。テレビでおなじみの元機長の航空評論家・杉江弘氏も緊急出演! 羽田事故の真相に迫ります。必見!


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【羽田空港衝突事故 追撃第3弾】過密化の裏にある「羽田新ルート」問題を追う

2024-01-30 20:08:51 | 鉄道・公共交通/安全問題
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」に寄稿した内容をそのまま転載したものです。)

 能登半島地震とともに全国の正月気分を打ち砕いた1月2日、羽田空港でのJAL516便と海上保安庁機の衝突事故。安全問題研究会はすでに、第1報記事「羽田衝突事故は羽田空港の強引な過密化による人災だ」(1月8日付け)、続報記事「航空機数は右肩上がり、管制官数は右肩下がり~日本の空を危険にさらした国交省の責任を追及せよ!」(1月9日付け)と相次いで本欄で報じてきた。

 ここ最近は大手メディアでも次第に報道量が減ってきているが、この事故の背景にはまだまだ触れなければならないいくつもの「闇」がある。両記事を見た人から私に寄せられた「羽田新ルート問題と今回の事故の間に関係があるのか」もそのひとつだ。


<写真=都心上空を低空飛行するJAL機(東京新聞から)>


 ●観光と五輪のため強行された新ルート

 羽田新ルートは、新型コロナ禍の2020年3月に実施が強行された都心上空を飛ぶ新ルートである。旧羽田空港の騒音・振動に苦しんできた地元では、1973年、東京都大田区議会が「安全と快適な生活を確保できない限り空港は撤去する」と決議。運輸省は羽田空港を現在の沖合に移転するとともに、危険な都心を飛ぶルートを避けるため、羽田空港に離発着する航空機はすべて南側の東京湾から入り、また東京湾に出るという運用ルールを維持してきた。1978年の成田開港以来、国内線は羽田、国際線は成田という棲み分けもできた。

 それが変わったのは、2010年代に入り羽田空港の再国際化の方針が打ち出されてからだ。ほぼ時を同じくして、インバウンド(海外からの日本旅行客)が大幅に増え始める。2011年に622万人だった訪日外国人旅行者数は右肩上がりに増えて2015年には1974万人となり、海外旅行する日本人数(1621万人)を上回る。2016年には2000万人を突破、コロナ禍直前の2019年には3188万人まで増えるに至った。

 羽田国際化が本格化した2014年、国交省は羽田空港機能強化のための増便計画を発表。ここで初めて新ルート案が公表される。羽田沖合移転時の約束を一方的に破り、北側から羽田空港に向かう新ルート案は、埼玉・東京両都県境で上空1000mの高度から、新宿区上空では500m、港区上空では300mまで高度を下げるというものだ。東京スカイツリーはもちろん、東京タワーよりも低い高度をジェット旅客機が飛行するという、それまでの常識を覆すものになっていた。新宿区・港区・渋谷区などの上空で著しい騒音・振動の発生は避けられず、多くの都民に犠牲を強いる理不尽な新ルート案だった。

 航空機の飛行ルートに設けられている制限を外せば発着回数を増やせることは航空専門家でなくてもわかる単純な論理だ。新ルートは国交省所管の財団法人「運輸政策研究機構」の研究者らが2009年に発表したものが「原案」とされる。だが、住民合意形成へのハードルの高さを理由に、多くの国交省関係者も当初、実現可能だとは考えていなかった。

 だが、2014年、事態は大きく変わる。羽田新ルート問題が「官邸案件」になったからだ。「本当にできないのか」と官邸官僚が国交省上層部に強く迫ったという。複数の国交省関係者は「安倍政権は成田よりも羽田重視。官邸に逆らえば、飛ばされるからノーとは言えない」と証言する。高級官僚人事を一元的に管理する内閣人事局の権限を背景に国交省をねじ伏せた安倍首相(当時)は2019年1月、通常国会での施政方針演説で「東京五輪が行われる2020年に外国人観光客4000万人を実現する」とぶち上げた。

 こうした危険な新ルート案が出てきた背景には、2013年に招致が決定した東京五輪の他に、激しくなる一方の国際競争もある。近年、アジアでは韓国・仁川(インチョン)空港やシンガポール空港が国際間のハブ(拠点)空港として存在感を増していた。日本の各空港はアジア各国の空港との競争に大きく出遅れており、このままではインバウンドを軸とした「観光立国」に支障を来してしまうという焦りも政府にはあった。東京五輪を口実に、予算などのリソース(資源)を羽田に集中的に配分することを通じて、先を走っているアジアのハブ空港に追いつき、追い越すとのかけ声の下、政府は、2020年にインバウンド数を4000万人に増やし、2030年には6000万人にするという「観光立国政策」を掲げるに至った。

 6000万人といえば、コロナ禍直前の2019年のほぼ倍であり、2800万人もの上積みが必要となる。目標まで11年の猶予があるとはいえ、コロナ前のペース(年200万人増)を維持したとしても11年で2200万人の増にしかならない。達成できるかどうか不透明な目標設定といえる。

 羽田新ルート実施によって、発着回数はどの程度増えるのか。国交省は国際線で年間6万回から9.9万回へ、3.9万回の増と見積もっている。羽田の年間発着枠数は約49万であり、約9%の増加に当たる。だが、ちょうど新ルート導入のタイミングをコロナ禍が襲った。緊急事態宣言が出され、航空機数はかつてないほど大幅に減少した。「3月29日から4月4日までの1週間で、前年同月と比べまして、国際旅客便は、羽田空港はマイナス81%でございます」--2020年4月6日の衆院決算委員会で、コロナ禍による航空機の減少率を問う松原仁衆院議員(無所属)に対し、和田浩一・国交省航空局長が答えた内容は驚くべきものだった。この状況が向こう1年続くなら、国際線発着回数は6万回の81%なので、年に約4.9万回も減る計算になる。羽田新ルートを実施する必要などみじんもない数字が示された。だが、結局は官邸と国交省のメンツのためだけに、新ルートは予定通り強行された。

 2023年5月の連休明けをもって、新型コロナの感染症法上の位置づけが2類から、通常のインフルエンザ等と同じ5類に変更された。感染力は依然として強いものの、社会生活を通常に戻すべきという世間のムードに押された面もある。こうした経過をたどり、迎えた2024年1月2日は、社会生活が通常に戻って以降初めて経験する年末年始Uターンのピーク日に当たっていた。コロナ禍で数年間、少ない回数で推移してきた離発着が急に通常ベースに戻り、そこにコロナ禍で強行された新ルートによる1割近い発着回数の増が加わる。この状況を右肩下がりの定員削減で迎えなければならなかった航空管制官の現場の苦労と混乱ぶりが見える。これでもなお、事故が羽田新ルートと無関係だったと考える人は、ほとんどいないのではないだろうか。

 ●JAL「初のCA出身女性社長」を手放しで喜んでいいのか?

 事故の傷も癒えないJALは、1月17日、鳥取三津子専務を4月1日付で社長に昇格させる人事を発表した。女性、CA(キャビンアテンダント=客室乗務員)出身、旧東亜国内航空(JAS=日本エアシステムに改名後、JALに統合)採用者の社長就任はいずれもJALとして初めてであり、驚きと若干の新鮮さをもって受け止められた。「女性活用」の象徴的人事として歓迎する向きもあるようだが、手放しで喜んでいいものなのか。

 鳥取氏に関しては、ドア数に合わせて配置されることになっていた客室乗務員の人数を「削減」したことがコスト節減として評価され、社長昇格につながったとする報道もすでに出ている。2010年年末、165人の労働者が解雇されたJAL争議に関しては、会社側との和解を選んだ労働組合(CCU=日本航空キャビンクルーユニオン)に対し、和解せず闘いを続行することを選んだJHU(JAL被解雇者労働組合)のようにさまざまな方針がある。だが、ドア数に応じた客室乗務員数を維持すべきとの考えでは双方が一致している。これに対する回答が鳥取氏の社長人事だとするなら、会社側の姿勢は「目先の刷新感を出したいだけ」だとのそしりを免れないだろう。

 今回、幸いにも死者ゼロに終わることができたのは安全のため厳しく会社を監視し、対峙してきた現場の努力があったからだということを改めて痛感させられる。来年(2025年)はいよいよ「御巣鷹事故」から40年の節目を迎える。当研究会は引き続き、会社の姿勢を厳しく監視していきたいと考えている。

 衝撃的な事故からまもなく1ヶ月。「羽田空港衝突事故 追撃」シリーズ、次回(第4回)では、羽田新ルートの裏に隠された「ある国交官僚の人生」にスポットを当て、この事故とその背景にある航空行政を読み解く。(続く)

第1報記事「羽田衝突事故は羽田空港の強引な過密化による人災だ」(1月8日付け)

第2報記事「航空機数は右肩上がり、管制官数は右肩下がり~日本の空を危険にさらした国交省の責任を追及せよ!」(1月9日付け)

羽田空港でのJAL機と海保機の衝突事故について(JHU=JAL被解雇者労働組合の見解)

<参考資料・文献>
訪日外国人旅行者数・出国日本人数の推移(観光庁)

羽田新ルート 「逆らえば飛ばされる」国交省を押し切った官邸(2020.9.8付け「東京新聞」)

この他、当記事執筆にあたっては「羽田空港増便問題を考える会」のチラシ・資料を参考にしました。この資料がなければ記事執筆は不可能だったと思います。ここに記して感謝します。

(取材・文責:黒鉄好)

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【転載記事】羽田空港衝突事故に関するJHU(JAL被解雇者労働組合)の見解

2024-01-13 18:10:50 | 鉄道・公共交通/安全問題
今日は、JAL被解雇者労働組合(JHU)が1月11日付で発表した羽田空港衝突事故に関する「見解」をご紹介する。JHUは、JALの「倒産」にあたって、2010年12月31日に解雇されたパイロットや客室乗務員など165人の被解雇者のうち、会社と和解せず職場復帰を目指す労働者によって結成された労働組合である。

見解の全文は、JHUホームページからも見ることができるが、以下、全文をご紹介する。印刷に適したPDF版は、JHUホームページからダウンロード可能。

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羽田空港でのJAL機と海保機の衝突事故について(見解)

 本年1月2日の夕刻、JAL516便が羽田空港着陸時に、滑走路に進入していた海上保安庁(海保)機に衝突、両機が炎上し、海保機に搭乗していた5名が死亡、JAL機では379名全員の脱出に成功しましたが、15名の負傷者を出すという大きな事故が発生しました。

 現在、運輸安全委員会の事故調査と警察の捜査が進められていますが、警察の捜査は犯人を特定するための捜査であり、再発防止に向けて原因を究明する事故調査とは異質なものです。私たちは犯罪性が認められない中で、警察が関与することは真の事故原因究明の妨げになると考えます。

 今回の事故については、滑走路への誤進入の原因となった管制官と海保機とのコミュニケーション問題が主に取り上げられています。私たちはJALで30年以上の乗務経験から、乗務員の立場で事故を考察する必要があると考えます。

 今回の事故を回避する最後の砦はJAL機でした。なぜ3人のパイロットが滑走路上の海保機に衝突まで気づかなかったのか?との疑問が出されるのは当然のことで、事故機の特殊性も含めて検証することが重要です。

 JALは創業以来、主に米国製(ボーイング社など)の機材を使用してきました。欧州製のエアバス350の運航を開始したのは4年前の事です。当該機はボーイング社の機材に乗務していた副操縦士が機種移行の訓練で操縦をしていました。そこで機長を含めた3人の連携はどうだったのか?また、当該機種には操縦計器を正面の窓に映し出すシステム(ヘッドアップ・ディスプレイ)が装備されています。これが滑走路上の障害物を視認する上で支障を来すことにならなかったか?などの検証が必要です。

 衝突後の緊急脱出では、火災発生の中、客室乗務員の判断で全員の脱出に成功した点は、高く評価されるべきです。これは客室乗務員の日頃の研鑽の賜物と言えますが、事故機では全てのドアに客室乗務員が配置されていた事実を見逃してはなりません。一方、機種によってはドア数に満たない客室乗務員編成数で運航され、職場が改善を求めているにもかかわらず、経営が応えず、国土交通省も事態を放置している現実があります。この事故での脱出成功を教訓に、JALや国交省はドア数に満たない客室乗務員編成数を見直すべきです。

 また、今回の事故を契機にパイロットや整備士と同様に、客室乗務員を航空法上の航空従事者として位置付けることも必要です。

 不安全要素や事故の背景を指摘するのは現場の労働者です。そのためには労働者が安心して働ける職場が必要であり、自由にモノが言える職場が保証されなければなりません。労働組合の役割は益々重要です。

2024年1月11日 JAL被解雇者労働組合(JHU)

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【転載記事】危険なのは羽田だけではない~羽田空港事故と那覇空港自衛隊機事故

2024-01-12 18:01:48 | 鉄道・公共交通/安全問題
以下は「ノーモア沖縄戦・命(ぬち)どぅ宝の会」のメールマガジンの記事である。全国で急速に進む民間空港の軍事化、「軍民共同化」も事故の要因として見逃すことができないという。以下のリンク先から全文が読めるが、以下、全文を転載する。

「軍民共用」で事故起きやすく 空港・港湾の軍事化許されない~羽田空港事故と那覇空港自衛隊機事故(2024.1.8発行「ノーモア沖縄戦・命(ぬち)どぅ宝の会」メールマガジン第205号)

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 今回のメルマガは当会事務局長の新垣邦雄さんからです。1月2日の羽田空港事故は5人の海保機の乗員が犠牲となった痛ましい事故でした。日航機の焼けた残骸の状況を見ると乗員、乗客の犠牲がなかったことが奇跡のようで、誘導を迅速に行った客室乗務員への賛辞など、当時の様子が明らかになってきました。しかし、この事故は偶発的に起きた事故として見過ごすことができるのでしょうか。これまで実際に那覇空港でも民間機と自衛隊機が接触した事故が起きており、他人事ではありません。今回の事故から、現在すすめられようとしている民間空港の「軍民共用」がもたらす危険性について、小西誠さんの指摘などをふまえ、本稿で鋭く指摘しています。ぜひお読みください。

「軍民共用」で事故起きやすく 空港・港湾の軍事化許されない 羽田空港事故と那覇空港自衛隊機事故

 1月2日、羽田空港の日航機と海上保安庁航空機の衝突炎上事故が衝撃を与えました。空港は旅客機の安全な離発着が最優先されねばなりません。政府防衛省は全国の空港の軍事使用や整備に着手し、自衛隊が「軍民共用」する那覇空港も2つの滑走路をつなぐ連絡誘導路を現在の1本から2本に増やす計画です。昨年11月、奄美・徳之島空港、大分空港、岡山空港では市民の反対を押し切り、初の自衛隊戦闘機の離発着訓練が強行されました。沖縄でも昨年、久米島、石垣空港に米軍、自衛隊のオスプレイが初飛来しました。空港の軍事使用・訓練は平時でも民間機の安全な航行に危険を及ぼし、有事ともなれば米軍の使用も予想され、極めて危険な状況となることは火を見るより明らかです。

 実際、那覇空港では自衛隊機と民間機の接触事故が起きています。1月4日、琉球新報社説。「1985年5月、着陸後に滑走路を走行していた全日空機と自衛隊機が接触する事故。乗客204人にけがはなかった。管制官が離陸許可を出していないにもかかわらず指示を誤認し、周囲の安全確認をしないまま滑走路上に自衛隊機を進めたことが事故の原因」。自衛隊機と海上保安庁機の違いはありますが、状況は羽田空港の事故に酷似しています。

空港は過密、軍民共用で危険増す

 軍事ジャーナリストの小西誠さんは羽田空港の事故について、筆者の問いに答えて「ただでさえ羽田空港は過密化している上に、海保のパイロットの未熟さや、能登救援のあせりがあったのではないか」と見ます。「最大の問題は、民間空港がどこも超過密になっているところへ、自衛隊・自衛隊機が割り込んできていること」と指摘、「那覇空港の場合、過密な上に空自がスクランブルを頻繁に行なって、民間飛行に割り込んでいるので、全体的に事故が起きやすくなっていると思う」との見方を示しました。

 小西さんはさらに、「特定重要拠点空港による自衛隊機との軍民共用が始まれば、重大事故がますます起こりやすくなる」「この問題は、沖縄ー琉球列島ー九州に至る全ての地域の空港・港湾が軍事化され、市民が直接、軍事的危険にさらされる重大な問題。反対の声を上げるべきだ」と強く警鐘を鳴らしました。

誘導路を2本に増設

 那覇空港は「2つの滑走路を結ぶ連絡誘導路を2つに増やす」計画です。那覇空港は国管理空港だけに沖縄県は否応ないのかもしれません。普段でも那覇空港は自衛隊機のスクランブル発進が多く、沖縄県、地元紙も危険性を指摘し、「軍民共用廃止」を主張してきました。それなのに「防衛強化」を理由に誘導路を増設するというのです。誘導路の増設は、自衛隊機の離発着の利便を図る軍事目的が明らかです。85年の事故や今回の羽田空港事故のように、管制官の指示を誤り自衛隊機が滑走路に侵入し旅客機と接触する事故のリスクは確実に高まります。

 国際線も入るただでさえ過密な那覇空港で、「軍民共用」の危険性をさらに高める「誘導路増設」を受け入れるわけにはいきません。県経済を支えるのは国内外からの観光客です。危険な「軍民共用空港」のイメージは、台湾有事が現実味を帯びるに連れ、沖縄観光に深刻なダメージを与えかねません。沖縄県、玉城知事は防衛強化を目的とする「誘導路増設」に対し、県民や観光客の安全確保、観光産業に及ぼす悪影響の観点から反対を表明すべきです。何より県民は大きな反対の声を上げなければなりません。

 一昨年末に閣議決定した安保3文書、昨年1月の日米2プラス(防衛・外務閣僚協議)では、台湾有事を抑止・対処する日米軍事(防衛)強化のため「日米施設の共同使用の拡大」を確認しています。自衛隊による那覇空港の有事対処訓練、誘導路など施設整備が強化されていく中で、米軍の「共同使用」も目論まれてはいないか。

自衛隊戦闘機の離発着訓練

 「軍民共用」ではなかった徳之島、大分、岡山空港でも、県民による是非の議論もなく自衛隊戦闘機による離発着訓練が強行されたことは前記しました。自衛隊、米軍基地だけでなく、全国の民間空港で自衛隊機の訓練、その後には米軍機の共同使用も強行されていくのではないのか。懸念は深まります。民間港の軍事化も懸念されます。与那国では「与那国新港」が軍事「特定重要拠点整備」に急浮上しました。与那国町長は町議会にも諮らず、独断で政府に要請しました。予定地には国内、世界有数の優良な生物多様性に富む湿地帯があり、自然保全と与那国空港の滑走路延長も併せた「全島要塞化」の懸念の両面から反対の声が上がっています。

 与那国町長の国への要請、石垣市長は地域振興を名目に「石垣空港の滑走路延長」を防衛省に要請しました。本来、沖縄予算要請の要となる沖縄県を頭越しにする政府要請です。「地域振興」に名を借りた「防衛強化」にならないか。板挟みになる沖縄県幹部の苦悩を地元2紙は報道しています。

沖縄県、予算要請見送る

 昨年12月、地元2紙が注目すべき記事を載せました。「総合的な防衛体制の強化に向けた公共インフラ整備を巡り、予算や自衛隊の使用などで不明な点があるため、来年度予算での整備を要望できないと政府へ回答した」(12月16日沖縄タイムス)。その前段として「政府は、県内の空港や港湾を『特定重要拠点空港・港湾』として整備する方針を示している」。「政府は11月に2度、県に説明した」。政府は強く沖縄県に圧力をかけ、「県が来年度予算での整備を要請する場合、12月の早い時期に連絡するよう求められた」。しかし沖縄県は空港・港湾の予算要請を見合わせました。その結果、「政府は公共インフラ整備費の来年度予算計上を見送る見通し」ということです。

 重要な点が2点あります。沖縄県が水面下での「予算要請」圧力に抗し、「予算要請を見送った」こと。その結果、現時点で、政府が県内の空港・港湾の「防衛強化インフラ整備の新年度予算計上を見送った」ことです。

 その後の地元2紙報道によると、政府は諦めることなく「年度末までに」と固執し、沖縄県に対する「予算要請」の圧力を強め続けています。来年度予算に、是が非でも県内空港・港湾の「防衛強化インフラ」予算を組み込みたいという異常なまでの政府側の執念が伝わります。

空港・港湾の軍事化

 政府はそこまでして沖縄の空港・港湾の軍事化を早急に進めたいということでしょう。県内にも配備する地対艦ミサイルの長射程化の「1年前倒し」も報道されました。中国に届く敵基地攻撃用の米トマホーク購入は、防衛省が進めてきた「日本版トマホーク」の開発が、「間に合わないから」という理由でした。「戦争に間に合わない」ということでしょう。中国との「戦争準備」にのめり込む政府の姿勢が浮き彫りです。

 政府、防衛省の来年度予算編成のこの時期、沖縄と同様の交渉、攻めぎあいが全国各地で起きていると想像します。政府から台湾有事に向けた空港、港湾の防衛強化整備の予算要請圧力が都道府県、市町村自治体に強まっていることでしょう。地方振興に名を借りた「公共インフラの軍事化」、戦争をする国づくり、が急速に進みつつあります。

「県管理」の権限行使

 沖縄県が政府の「予算要請」圧力をはねのけたことは意義の大きい英断です。「県管理」の空港、港湾に関する県の権限を実践、証明しました。この間、ノーモア沖縄戦の会と県の知事公室長(基地担当)との交渉でも、公室長は「県管理の空港、港湾は、政府が思うがままの軍事使用を認めない」と強調していました。市町村管理の港湾、公共インフラも首長が同様の権限を持っていることが重要です。

 玉城デニー知事、県政には「空港、港湾を軍事利用させない」「軍事目的の整備は認めない」姿勢を貫いていただきたい。県内、全国の自治体首長も政府の圧力に屈せず、「軍事使用の公共インフラ整備は認められない」との姿勢を堅持してほしい。政府の軍事化圧力に地方首長が立ち向かうには、市民が反対の声を上げ、後押しすることが重要です。

新垣邦雄(当会事務局長)

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【羽田衝突事故 続報】航空機数は右肩上がり、管制官数は右肩下がり 日本の空を危険にさらした国交省の責任を追及せよ

2024-01-08 22:50:16 | 鉄道・公共交通/安全問題
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」に寄稿した内容をそのまま転載したものです。)

羽田空港でのJAL機と海上保安庁機の衝突事故発生から6日経過し、閉鎖されていたC滑走路が8日から再開となった。3連休も終わる明日からは混乱も次第に収まり、通常体制に復帰していくだろう。だが、犠牲者が出なかったからこれで終わりでよいわけがない。

海上保安庁機が管制官の指示を聞き間違えたのではないかとの疑いは依然として消えていない。その一方、管制塔で管制官が監視するレーダーには、滑走路への誤進入があった場合に警報を発信する機能が備わっているとの報道も先週末あたりから出てきている。滑走路への進入許可を受けていない航空機が誤進入した場合、滑走路を黄色に、誤進入機を赤色で表示する機能がついているというものだ。誤進入から40秒間、警報が出ていたのに管制官が気づかなかったとの報道もある。

巡航速度に達したジェット旅客機の場合、時速800km程度で飛行している。1分間に約13.3km、1秒間に約222m進む計算になる。40秒間なら約8.9kmも進む。それだけ長時間、管制室にいる管制官の誰ひとり、警報に気づかなかったとすれば日本の航空管制史上前例のない失態といえる。「いくらなんでもそれはあり得ないだろう」と私も思っていた。--「あるデータ」を見るまでは。

ここに驚愕のデータがある。国土交通省みずからホームページで公表している「管制取扱機数と定員の推移」だ。2020年からはコロナ禍で大きく航空機数が減っているため、コロナ直前の2019年までのデータで見る。日本の空を飛ぶ飛行機の数は「右肩上がり」で増え続け、H16(2004)年には年間463万1千機だったものが、H31(2019)年には695万3千機になった。1.5倍もの増加だ。



一方、航空管制官の人数は、同じ期間に定員ベースで4961人から4246人になっている。これだけ航空機数が増えているのに、国交省は航空管制官の数を増やすどころか、逆に15%も減らしているのだ。管制官1人当たりが受け持つ航空機数も爆発的に増えている。2004年には年間933機/人だったのが、2019年には年間1637機/人。なんと1.8倍になっているのである。念のため繰り返すが、この数字は定員ベースである。官公庁が定員を満たしていることは実際にはほとんどない。航空管制官には「専門行政職俸給表」が適用されていることからもわかるように、特殊な技能を要求される専門職であるため民間委託なども行われていない。当然、実員ベースでは管制官はもっと少なく、1人が受け持つ航空機数はもっと多いということになる。

これだけの過酷な実態に対して、もちろん現場は沈黙していたわけではない。国交省職員で構成する「国土交通労働組合」はこの間、「国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保を求める署名」に取り組んできた。署名運動の「解説」には「相次ぐ定員削減により、災害の対応が困難になったり、公共交通機関の事故トラブルの恐れが高まったりして国民の安全や生活が危ぶまれる状況になっています」との悲痛な訴えが掲載されている。国土交通労働組合の懸念は今回、現実になった。

2024年は新年早々から能登半島地震が起きた。震度7を記録した能登半島では、地震の揺れの目安となる最大加速度で2828ガルを観測したが、これは東日本大震災(2011年)の際の最大加速度(2933ガル)に匹敵する。国交省が直接の担当である災害対応のため、一刻も早く被災地に向かわなければと海上保安庁(国交省の外局)に焦りが生まれ、滑走路誤進入が引き起こされた。そこに、折からの定員削減で疲弊した航空管制官のミスが重なる。多くの職員が正月休みで出勤していなかった年末年始の巨大災害というタイミングも災いし、通常ならあり得ないはずの人為的ミスが、ドミノのように連鎖する--今回の事故の輪郭が、おぼろげながら見えてきた。

事故原因は今後、運輸安全委員会によって明らかにされるだろう。だが、これだけの過酷な実態を知ってしまった以上、「すべてが運輸安全委員会の事故調査報告書待ち」でいいのだろうか? もちろんそんなわけがない。定員削減を続け、疲弊する現場の破たんが今回の事故で示された。このような事態を招いた国交省の責任を追及すべきである。

(文責:黒鉄好)

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