菅政権最後の闘いダー

不協和音ばかりの再生エネ法案…政局に翻弄、見えない着地点
 菅直人首相の退陣3条件の1つ、再生エネルギー特別措置法案が政局に翻弄されている。もともと「難しい3次方程式」(海江田万里経済産業相)だった法案に、あちこちで不協和音が出始め、着地点が見えなくなりつつある。

 法案は自然エネルギーの買い取りを電力会社に義務付けるのが柱。買い取り価格が高いと産業界に打撃があり、安いと自然エネルギー導入にならない。首相は、経産省を産業界寄りとみて強い不信感を抱いており、隔たりが大きい。

 根っこは「脱原発」を志向する首相の自然エネルギー重視発言だ。経産省幹部は「首相の目標達成のため、官邸から『買い取り価格を安くするな』という圧力が強い」と反発する。

 経産省トップの海江田氏は、省を代弁して買い取り価格を原案で維持しようと必至だ。29日の委員会では自らの去就をめぐり涙をみせるなど、首相との感情的しこりも大きい。混乱を突いて自民党は「価格に国会が関与すべきだ」(石破茂政調会長)と揺さぶる。

 修正協議を続ける衆院経済産業委員会の与野党理事への批判も深刻だ。

 与野党理事は7月16~20日に欧州を視察、ここでの協議進展が期待されていたが、出てきたのは論点整理案だけ。「協議は7月中。8月上旬に法案成立」としていた民主党執行部もげんなりする。斎藤勁(つよし)国対委員長代理は周辺に「1週間も一緒で修正案ができないなんて」とこぼす。

 自民党のお家事情もややこしい。首相の退陣条件の早期成立を目指し、修正協議を急ぐ大島理森(ただもり)副総裁や石原伸晃幹事長に対し、8月末の見せ場を探る参院側が抵抗する。脇雅史参院国対委員長は27日、民主党側に「拙速にできない」と突き放すなど態度は硬い。

 自民党が新たな修正案を示すのは8月上旬以降。その先はまだ見えない。(水内茂幸、桑原雄尚)
産経新聞 7月31日(日)7時55分配信



 八月だ。菅政権の最後のクライマックスがやってきた。菅首相の退陣の条件である三法案はまだ一法案しか成立していない。残りニ法案の成立であるが、特例公債法案は民主党が野党に妥協することによって成立しそうである。       
 残りは再生エネルギー特別措置法案である。経済界や電力会社と関係の深い自民党が経済界や電力会社の有利になるように再生エネルギー特別措置法案の内容の変更を強く迫るのは目に見えている。買い取り価格を安くするようにという自民党の圧力を菅政権の執行部ははねかえすことができるか。
 原子力発電会社や保安院の「やらせ問題」が次々と明らかになり、国民の原子力政策への反発は高まっているし、再生エネルギー開発に多くの知事が賛成している。ソフトバングの孫社長が全国規模でメガソーラー開発に動いているし、今が再生エネルギー特別措置法案を成立させるチャンスである。
 自民党政権時代には、電気の買取りには厳しい規制があり、ベンチャー企業が参加しにくかった。再生エネルギー特別措置法案が成立すれば発電ベンチャー会社がどんどん増えていく。管政権は絶対に再生エネルギー特別措置法案を成立させなければいけない。
 八月の菅政権のもうひとつの課題は民主党支持率のアップだ。鳩山政権、菅政権は民主党支持率を落とし、地方選挙は連戦連敗だ。今の状態だと自民党の長期政権に戻ってしまう。それはまずい。せっかく民主党が政権を取って二大政党時代を可能にさせたのに、鳩山政権、菅政権の不人気で自民党時代に逆戻りしそうになった。
菅政権は次の新しい政権が民主党支持率の回復を演出しなければならない。

 再生エネルギー特別措置法案の成立、現原子力安全・保安院の解体と信頼できる保安院組織つくり、東日本復興の加速などの政策を次々と打ち出し、菅政権は次の政権が国民の支持を回復させるようにしなければならない。
 三つの法案が成立し、菅首相が退陣すれば菅首相の悪い風評も一掃されるだろう。それは民主党の信頼回復にもつながる。
 八月は民主党が浮上するチャンスだ。
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