Blog~続・トイレの雑記帳

鉄道画像メインの「ゆる鉄写真ブログ」のつもりでしたが、
政治社会の事共について記したくなり、現在に至ります。

我国の「モノ造り技術」は傾いている?

2018-11-20 21:18:25 | 社会・経済

昨夜、速報で伝えられた日産自動車(株)のトップ C・ゴーン会長の逮捕劇は、多くの各位にとり 衝撃であったろう。直接の容疑は 金融商品取引法違反。過去数年に亘り、総額で数十億円規模の役員報酬過少申告が疑われるとか。有価証券報告書の記載も正確を欠き、主に海外に持つ高額不動産複数の記載も不明朗だった様だ。1999=平成11年の執行役員就任以来「コスト・カッター」と呼ばれる程の 二万人超規模の冷厳な人員削減など合理化策実行の一方で、一兆円超の有利子負債を数年で解消した「功」の所を認めつつも、やはり今回の違法な所業は糾されるべき。

容疑のきっかけは 日産社内の内部告発による由で、今後は 容疑者となったゴーン会長が罪状を認め、東京地方検察庁特捜部メインの捜査に進んで協力するなどで 刑罰の軽減が見込まれる「司法取引」の制度などを用いての展開が予想される様だが、少なくとも一面では 辣腕が目立った経営者だけに、容疑事実の全貌解明が強く望まれるし、日産と、関連企業でもある三菱自動車などの役職解任も 滞りなく進めて頂きたいものだ。

さて今年 2018=平成30年は、日産を含む 我国製造業の品質検査不正が相次いで露見した年だった。鉄鋼の神戸製鋼所、日産、スバルなど自動車メーカー複数、免震装置など油圧機器の KYBなどなど、聞き覚えのある主要メーカー相当数から 検査不正の報が上がった。調査報告書に共通してあるは、各社共 築半世紀に近い老朽設備で検査などを続けていた事実。十万台規模のリコールを生じた、スバルの群馬製作所検査建屋は昭和中期・高度成長期の竣工。日産・栃木工場の排ガス試験室空腸設備も 1977=昭和52年に導入されたものだったとか。

前述の二メーカーは、いずれも連結売上高の 60%超を海外で上げる。設備投資は海外メインで、国内設備は改修を重ねて「騙し騙し」使用してきた所がある様だ。新設からの経年「設備年齢」は 1990=平成2年度比でほぼ五割増しの由。後述の事共も絡むが、人への投資も疎かになっていた様だ。経営危機に見舞われた1999=同11年以降の日産は、ゴーン役員の指揮下でリストラを行い、結果「国内技術員の人手不足」に陥ったとされる。そうした状況下で、納期厳守の為 追い詰められる形で不正に手を染めて行った軌跡が こうした所に見える様だ。

こうした不正にしても、経営層と現場がその情報を共有しなければならないはずだが、上部の判断で不正が指示通達される事が多い欧米企業に比し、我国のそれでは 現場が上部に忖度(そんたく)する形で不正が生じる事が多いといわれる。ある専門家によれば、所謂「カイゼン」の名の下に、問題の解決が現場に丸投げされてきた所があると言われる。勿論その事で、経営層は言い逃れできない。コスト・カットを表した為に現場を歪ませた重責があるからだ。

こうした問題に、各メーカーが向き合っていない訳ではない。日産もスバルも 向こう数年で千億円超の設備更新を計画している様だし、検査部門への人員手当も予定されているやに聞く。ただ、直ぐに結果が出せる訳ではないのも事実だ。そこで 欧州の一部などで進められる、生産から検査までロボット技術を動員した FA化などを我国でも倣って導入すべきとの主張もある。折々話題になる人工知能 AIの関与を深めて行く工夫も必要ではないだろうか。

もう一つ懸念されるのが、我国の若手研究者各位の「海外離れ」。中長期に亘り、海外渡航を行い研究する人数が 過去 20年でほぼ 40%減少したとか。地球規模でグローバルに動ける研究者の減少は、深刻レベルに足を踏み入れた我国の科学技術力低下の大きな要因だ。政府も この事態への対応の為、科学研究費助成制度の補強に乗り出してはいるが、このまま行けば 将来のノーベル賞受賞が、これまでの様には行かなくなる可能性のみならず、前述の検査態勢の不良改善すらままならなくなるのではないか。

海外へ赴いた研究者各位が、帰国しても確かな地位(ポスト)を守れる様、行政も企業も 連携してそうした保全に当たるべき。地道な迂回の様だが、それらの積み重ねが我国独自の「モノ造り技術」を守る確かな技となるのではないか。将来の産業技術イノヴェーション創出に備える意味でも、この所を疎かにするのは拙い。放置すれば、それこそ欧米並びに特亜圏にも水を空けられ、我国の科学技術的地位低下と、高度なモノ造りに不可欠な 厳しい検査態勢維持が叶わなくなってしまう事だろう。その所産たる 膨大な情報を自動分析し得る技術は、検査や品質の向上にも資すだろう。生産年齢人口減少の折、現場の 旧来の感覚や頑張りに頼ったモノ造りは限界を迎えるだろう。海外と健全に対峙していく為にも、抜本的な生産の革新と向き合わざるを得ない事になりそうだ。今回画像は、当地 JR名古屋駅へのアプローチ態勢に入る 東海道・山陽新幹線試験列車「ドクター・イエロー」の様子を。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする