Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

2017シーズン総括 もどかしいほどに一進一退

2017-11-23 21:24:16 | トリニータ
まだJ2の全ての日程は終わってないけど、残念ながら我がチームは一足先にシーズンが終了。記憶が曖昧にならないうちに今シーズンの総括を書いておこうと思う。


17勝13分12敗 勝ち点64 得失点差+8 第9位


まずはこの数字をどう捉えるかというところから始まると思う。当初の目標だった勝ち点45は早々に達成したものの、シーズン中に上方修正した目標のPO進出は叶わなかった。かと言ってその点だけを切り取って今シーズンが失敗だったと言うわけにもいかない。点数をつけるなら65点くらいでしょうか。


今シーズンは色々な媒体等での選手インタビューを読んだり、見たりすると、トレーニングが充実しているという声がよく聞かれたと思う。特に「チャレンジ」という言葉を使って、トレーニングの印象を語っている選手が多かったように思う。多くの選手がこれまでのサッカー人生の中で取り組んだことのないようなサッカーに取り組んでいたということだろうし、今季何度も使われた「積み上げ」という言葉もそんなトレーニングが繰り返されていたであろうことを象徴している。試合数や出場時間に不満の選手もいるとは思うけど、今シーズンの出場記録を見ると、フィールドプレーヤー全員(途中加入の常田除く)がリーグ戦に出場している。そんなにケガ人が続出したというシーズンでもなくこういう数字が出てきているのは全員がモチベーションを切らすことなく、メンバー入りを目指してトレーニングに取り組めていたということだと思う。この点からも片野坂さんの監督としての手腕の確かさが感じられるし、選手たちからの信頼感に繋がっていたと思う。やっぱりこの信頼感の部分があると、チームに一体感が出てくるし、それは自ずと成績へと繋がっていくんだよね。


「積み上げ」を大事にして着実にチーム力を上げていったプロセスは評価出来る一方で、目標達成に対する執着心のようなものについては不十分だったと感じるシーズンでもあった。象徴的な出来事は35節アウェイ岡山戦に勝利した後に、「監督が初めて公式の場で昇格について触れた!」と騒いでいたこと。当時から違和感を感じたし、一言で言えば「甘すぎる」ということ。我々が昇格した5年前と比較するまでもなく、今のJ1昇格戦線は遥かに激化してるし、本気で昇格を狙うチームの数も格段に増えた。手段を選ばず、なりふり構わずに昇格を掴み取ろうとするクラブもいくつもある中で、ある意味で品行方正な我がクラブは昇格するには「青すぎた」と思う。シーズン序盤ならまだしも、シーズンを通して「我々はJ3から上がってきたクラブだから」という声が聞かれた。POに行けるか行けないかの局面でもこういう声が聞こえたのはもはや「謙虚」というよりも「卑下」にしか聞こえないし、そんなスタンスでうっかりJ1昇格が転がり込んでくるほど今のJ2は甘くはない。徳島戦後の片野坂さんの涙に象徴されるようにもちろん監督にも選手にも「昇格したい」という熱い思いはあったと思うけど、内に秘めずにさらけ出せるだけさらけ出して、もっと周りを巻き込んでいけば良かったと思う。


サッカーの面に目を向けるとやはり楽しませてもらったという感想が一番にくる。個人的には現地参戦が9勝1分4敗と高い勝率だったこともあるけど、耐えて耐えて勝ち点をもぎ取るスタイルじゃなく、攻撃的にいくことがこんなにも楽しいんだということを教えてもらった。レベスタ、ニッパツ、維新、パロスと劇的なゴールも多かったし、楽しいシーズンだった。ごっちゃんと伊佐は本当によくゴールが取れるようになったし、ノリ&フクも着実に成長した。怜さんも三十路を前に遂に本格化を漂わすハジけっぷりだったし、直人を中心にGK陣のチャレンジングな姿勢がこのスタイルを支えていたことは間違いない。


そんな中、なぜこんなにもホームで勝てなかったのか?ある意味では今季一番大きなポイントかもしれないと思ってる。ホームとアウェイではまるで別のチームになり、それは当然のことながら成績にも現れた。逆であれば、深く考えることもないんだろうけど、移動のこと、サポーターの後押し等を考えると、疑問は深まる。シーズン中もずっと考えてたけど、個人的にはまだ相手ありきのリアクションサッカーから脱し切れていないというのが一応の結論。アウェイだとホームチームが攻撃的な姿勢で臨んでくるので、攻撃的にいきたい我々のサッカーと噛み合わせがいい。一方で、アウェイチームが無理せずまずは構えてという姿勢で臨んでくるホームだと攻めあぐねる時間が長く、うっかりすると失点まで食らってしまう。こんなとこなんじゃないのかな。J1降格組から合計で勝ち点14を奪ったということもこの構図を証明する一つの現象だと思う。本当の意味での攻撃的なサッカーを展開するチームならここまでハッキリと差が現れることもないのかもしれないけど、所詮はまだこのサッカーに取り組み始めて2年にもならないひよっこチーム。軽く対策を取られるとまだまだ厳しいということでしょう。今シーズンで明確に課題として認識出来たわけだし、相手のスタンスに左右されない本当の意味での主導権を握るサッカーへの進化を来シーズンは見せてほしい。


タイトルに「一進一退」と書いたけど、ここには「安定感」と「爆発力不足」の2つの意味を込めた。一進一退ということはつまり大崩れもしなかったわけで、これは山岸や竹内のようなベテランが試合に絡むことで「安定感」をもたらしてくれていたからだと思う。この場合の「安定感」は主にメンタル面で。今シーズンは反則ポイントでぶっちぎりの1位(いい方で)だったらしい。確かにうまくいかない試合でもイエロー乱発して、コントロールが効かなくなるような試合が全くと言っていいほどなかった。負けても引きずらず次の試合に集中出来ていたことが連敗が少なかったことの要因だと思うし、ベテランの存在感は大きかったと思う。逆に「爆発力不足」は若手の台頭に不満が残るという部分。多くのメンバーが出場したものの、全体感としてはレギュラーは固定されてた印象が強く、特に若手から序列を荒らしそうな勢いを感じる選手はほとんどいなかった。ルーキーイヤーならまだしももう突き抜けても決して早いとは言われない年代に足を突っ込んでる選手も多く、チームの底上げという点からももっともっとを期待したい。伊佐のインスタの中でしか元気な姿が見られないのは寂しい。お前たちが暴れ回るべきは試合中のピッチの上だ。あ、でも伊佐はインスタ続けてね。


似ているなと思っていた2014シーズンと結局は同じような終わり方となった今シーズン。14シーズンから15シーズンのことを教訓とするためにまず忘れてはいけないのが、来シーズンが9位から始まるわけではないということ。昨シーズンあれだけやれたわけだから、9位以上は当然という考え方が悲劇を招く。自戒の念も込めて。これから本番を迎える来季の選手編成だけど、どうなるか全く分からないし、世界のサッカー界における我々の経済的立ち位置から考えてハッピーな年越しになることはまずないだろうと思う。そんな状況でシーズンをまたいでの「積み上げ」については厳しいと考えておいた方がいい。今シーズンの終盤に出来ていたことが、来シーズン開幕したらさっぱり出来ないなんてことは普通に想定しておかないといけない。良くも悪くもシーズンが終われば一度リセットだ。この点が一番強く思うこと。


ということで、本当にいいシーズンだったのに目標設定が中途半端だったばかりに何だかふんわりとした終わり方になってしまってとても残念だった。来季はもう昇格以外の目標はないとは思うけど、社長にはしっかりと自分のチームを自己分析して、お財布と相談して、きっちりと方向性を示してほしいと思う。
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