Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

開幕連勝スタート(2節東京V戦)

2023-02-27 23:10:48 | マッチレポート23'
開幕連勝スタート。何と甘美な響き。苦しい展開ながらもまたもしぶとく勝ち点3をモノにした。


まずは対戦相手のヴェルディから。開幕節はホームで金沢に勝利。1-0ながらも昨シーズン終盤の好調を裏付けるような内容だった。千葉や京都の陰に隠れがちだけど、ヴェルディもJ2歴が本当に長くなった。「首都東京に本拠地を置く」「同エリアにライバルがFC東京しかいない(モタモタしてるから町田に抜かれちゃったけど)」「日本屈指のアカデミー組織」もうこれ並べるだけでなぜ強くならないのかがいつも疑問に思うクラブ。個人的にはまあまあ好きなクラブで、例えばチャントとかすごく好き(特にカモンヴェルディの中毒性がたまんない)。だけどなぜ強くならないのか?これはもうクラブに「野心」が足りない。これに尽きるんじゃないかなと思う。あれだけの才能を泉が湧くかのごとく輩出し続けるところだけは本当に尊敬する。




コロナ初年度でサッカー観戦がほとんど出来なかった2020年。そのわずか数試合の大学サッカー観戦の中で印象に残ったのが昨日の試合は右サイドで存在感を放っていた河村慶人だ。開幕節も1トップで先発、後半から右サイドに動くと見事なクロスで決勝点を演出。速さやキレよりは重厚な推進力が魅力だったので意外な起用法だとも思ったけど、サイドでもけっこうハマっていた。ヴェルディの大卒戦略もけっこういいなと思っていて、特Aクラスは狙わずも佐藤凌我(→福岡)や加藤蓮のような当たりを引いてきている。河村慶人にいたってはずっと2部だったしね。ケガで出遅れているけど、関西学院大から加入したルーキーの山田剛綺はかなりやると思っている。昨シーズンの関西大学リーグで一番強烈な存在感を放っていた。あと谷口栄斗もステップアップ移籍する可能性が高いと見ている。こうやって書いてるとホントに何でヴェルディって強くならないんだろうね....


対戦相手について書き過ぎたので試合本体に話を戻す。90点の前半、60点の後半。こんな感じの採点かな。大分もヴェルディもどちらも開幕節ほどは前からの圧力を出さなかった印象。ただこれは出せなかったのかもとも思っている。開幕節の記事でも触れたけど、徳島戦ではデルラン→司への良い縦パスが数本あった。そしてヴェルディ戦でもペレイラ→ノムの良い縦パスが同じく2〜3本通っていた。相手のプレッシャーラインをスパッと切り裂くように前線へと送られる縦パスは有効だった。ただゴールへ直結していたかというとそうでもないんだけど、少なくとも前プレ回避に対しては大きな効果があったと思う。そしてそれゆえの前半の優勢だったんじゃないかと考えている。


開幕節よりもさらに良かった茂平。徳島戦ではちょっと怪しいかなと思っていたクロスの精度もこの試合では抜群だった。特に11分の自陣でボール奪取→ドリブルで長い距離を上がって→ファーへ可能性のあるクロスを供給。このプレーは最高だった。今シーズンは藤本のサイドがストロングになるだろうと思っていたけど、これだけ茂平のサイドがやってくれたら対戦相手も藤本対策ばかりに労力を割いていられなくなるのでチームへの波及効果を考えても茂平の存在は大きい。ただ躍動した前半から一変、バテたところにエネルギッシュな加藤蓮をぶつけられてかなり苦労していた様子だったのでゲーム体力の向上もしくは分業制による90分を通しての質の向上はもう少し求めたい。


そして藤本一輝。ゴールに関してはよく詰めてたね程度の評価だけど、一番良かったのはやはり31分の決定機に繋がった仕掛けだ。右SBの6宮原とCBの3谷口の2人を引き出して中を手薄にさせてからの精度の高いクロス。これが藤本のサイドがストロングになるという期待に対する100%回答だし、昨シーズンの健太越えも期待させてくれるものだ。ゴールにならなかったのはマテウスをほめるしかないけど、ああいうプレーを1試合に何回出せるかが藤本の評価バロメーターだと思う。もっともっとやってほしいし、やれるはず。ちなみにJ2のすごい外国人GKは徳島のスアレスという先入観だったんだけど、2週連続で対戦して思ったけどマテウスの方が遥かにすごいな。ビッグセーブもだけど9分の鋭いフィード、47分の遠くへ大きいフィードどちらも素晴らしかった。CKであんなにドフリーにさせちゃうDF陣にマテウスはぶち切れてもいいんじゃないかな。31分の2本のセーブは実質マテウスが1点決めたようなもの。


開幕節で上々の動きを見せた安藤だったけど、どうやら直前でのケガということでメンバー外。開幕節でベンチだった上夷がそのまま3バックの真ん中に入った。上夷はとても良かった。開幕節の安藤よりも良かったかもしれない。今シーズンはペレイラを真ん中から右に動かしている。これは昨シーズンからずっとやってほしかった配置。ペレイラの良くないところを隠し、良さを存分に活かすには真ん中のディフェンスリーダー的な役割から解放してあげて自由にプレーさせた方がいいと思っていたけど、その通りになっている。デルランとペレイラがしっかりとはね返せるので真ん中に求められるのはラインコントロールなどの読みのセンスや能力、そしてカバーリングあたりになるかな。この2人に坂、刀根を加えた4人が候補となると思うけど、ポジション争いはまだまだ分からない。今シーズンヴェルディの補強の目玉らしいマリオ・エンゲルスの抜け出しに完璧に対応した73分の上夷のプレーはしびれた。速い縦パスをまたいで抜け出そうとするエンゲルスに食い付きすぎず、初速でも振り切られず抑え込んだ一連のプレーには上夷の良さが凝縮されていた。ケガでチャンスが回ってきた選手がさらに上のパフォーマンスを見せることこそ好循環の切磋琢磨。


開幕連勝は喜びたいところだけど、楽観出来るほど良い内容ではないところから目をそらしてはいけないと思う。78分にペナルティエリア付近で野嶽が引っかけられてバスケス・バイロンにシュートを撃たれたシーンはJ1では絶対に許してくれない類いのプレー。悪いなりに守れていたとは思うけど、狙った完封とは言いづらい。徳島戦では先制とかPK取り消しとか同点とか流れが変わりそうな局面でも主導権を手放さなかったのが好印象だったわけだけど、この試合はなかなか主導権を再奪取することは出来なかった。5人交代が正式ルールとなってサッカーは変化した。今はそれにチームとしてうまくアジャスト出来ていると思う。加入以来ピークを思わせるキレを見せているノム。ノムがこれくらい出来ることは誰もが分かっていて、それよりも課題は通年稼働なわけで大事に使っていきたい。チームのエネルギーを落とさないという観点から考えてもノムの交代は10分遅い。まあ、改善点を認識しながら勝ち点全取りは理想のシーズンの進め方とも言えるけどね。


昨シーズンは初めてホームで1試合も観なかったのでもうかなり長いことホームスタジアムには足を踏み入れていないわけだけど、ホーム参戦のことを思い返すとやはり印象的なのはディアマンテスの勝利のうただ。もしかするとどんなチャントよりも印象的かもしれない。試合の余韻にひたりながらスタジアムから出る時、背中の方でかかっているのが勝利のうた。そんなシーンが浮かんでくる。もうそれこそ20年くらい使われているんじゃないだろうか。試合後の勝利のうた生演奏は本当に楽しそうだったし、ああいう誰もが分かる嬉しい歌、楽しい歌っていいよね。あの映像を見て久しぶりにホームスタジアムに行きたくなった。
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