Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

2014年 シーズン総括

2014-11-25 23:47:52 | トリニータ
タイムマシーンに乗って、開幕戦前日の自分に会いに行く。そして、「順位は言わないけど、今季はジュビロと勝ち点4差で終わるよ」と教えてあげたい。きっと9ヶ月前の自分は「うお、2位で自動昇格か!」と小踊りするに違いない。何と言うか、それくらいに微妙なシーズンだったと思うし、7位という結果はあまりにも妥当だったと思う。


目標が達成出来なかったわけで、思い返すと色んな「たら・れば」が出てくる。一番近くでいえば、当然水戸戦のアディショナルタイムになる。ただ今季はアウェイ札幌、アウェイ横浜FC、ホーム岡山と結構ギリギリのゴールで勝ち点を拾った試合も多かったから、やっちゃった時期が時期だから悔しいけど、全体的には相殺なのかなと思う。個人的に思う最大の「たら・れば」はダニエルをあと5試合早く獲得できて「れば」。ホーム福岡戦でデビューしたダニエル。特にその前の2試合の総力戦・熊本戦とアウェイ富山戦で落とした勝ち点5は本当に痛かったし、ダニエルがい「れば」絶対に勝てた試合だった。まあ、「たら・れば」は語り出したらキリがないけど、それくらいにダニエルの存在感は際立ってたということ。


まずはシーズン全体の流れについて。

・序盤は勝ったり負けたりの繰り返しで、波にも乗れないけど、連敗もしない。基本はホームで勝って、アウェイで負けるという流れだった。今季が終わってみて思うのは、実はこういう時期を我慢して最低限の勝ち点を拾っていくというのが意外と大事だということ。うちもそうだったし、山形も夏まではいい補強をしたのにパッとしないクラブの代表のような存在だった。それが最後の勝負どころでグッとアクセルを踏み始めて、最後までPO圏内を争える位置にいることが出来た。今季の湘南のような特別な存在を除けば、1年を通して調子のいいクラブなんてなかなか作れないし、良くない時に落ち過ぎないことが重要だと改めて思った。それはまさに理想と現実のバランスで、詳細は省くけど、夏までそれがうまく出来てたのは岡山だったと思う。終盤の失速の原因は林の放出という冗談はさておき、まさに岡山は最後で落ち過ぎたことが敗因。
・転機が訪れるのが6月頃。シーズン中にフィジカルコーチを変えるという大胆な人事を敢行した。それと時を同じくして全く勝てなくなり、6試合連続勝ちなしという泥沼に陥る。この時期は明らかにピッチ上の選手たちに異変が見られた。特にホームの千葉戦なんかはもうボールが足についていないイージーミスばかりでサッカーになっていなかった。練習メニューの変更で選手たちもフィジカルコンディションの管理が難しかったんだろうと推測する。結果として目標を達成することは出来なかったわけで、このシーズン途中での人事が良かったのかどうかは分からないけど、シーズン終盤に強度の高いサッカーを展開出来たのは土斐コーチによるフィジカル強化の賜物だと思ってる。ここは絶対に来季も継続してほしい点。
・ラドンチッチの加入等で8月以降は何とか持ち直すも、連勝して上昇気流に乗っていくことは遂に出来ず。今季はターニングポイントになりそうないい試合の後に結果が続かず、じれったい状態のまま進むということが多かった。例えばジャックしたアウェイで逆転勝利した福岡戦や、数的不利になりながら逆転勝利したホーム栃木戦と絶好のチャンスは何回かあったが、ことごとくそのチャンスを逃した。勝負弱かったのか、そういったポイントとなる勝ち方をした試合がフロックだったのかは判断が付かないけど、とにかくもったいなかったの印象はシーズンを通してつきまとった。
・個人的に最も大きな転機になったと思うのは、最初にも書いたけど、ホーム熊本戦とアウェイ富山戦の連敗(正確には違うけど、感覚的には連敗)。結局はラドンチッチのラストゲームになったホーム熊本戦は内容的には今季最悪と言ってもいいもので、さらに最下位富山相手にアウェイでも勝ち点を落とすこととなり、田坂さんはこの辺りでサッカーの方向性を少し変えた。そしてこの頃には林が豊富な運動量で代えの利かない選手になりつつあり、ラストピースと呼ぶにふさわしいダニエルが加入する。
・そして何度も書いてるけど、10月になった途端にチームは劇的な変貌を遂げる。ホーム福岡戦くらいから予兆はあったものの、完全に自分たちのものにし切れていない部分もあり、さらに戦前から勝負の月となると叫ばれ続けてた10月になったことでチーム全体の意識が統一されたことと相まって、いわゆる「いいチーム」になった。ただ結局、松本、千葉、湘南というシーズン上位3クラブには勝てなかったわけで、昇格にふさわしい実力を備えていたかと言えば、そうじゃなかったと言わざるを得なかった。



とまあ、時系列で振り返ってみてもやっぱり微妙なシーズンだったなと。ここからはシーズンを通して気になった点をいくつか箇条書きで。

・補強を含めた人事について
オフ期間中に獲得した選手でシーズンを通して活躍したのは、伊藤、末吉、宏矢、武田の4人。新加入選手の数からしてもまあまあの成果だったと言える。昨季は天皇杯をベスト8まで勝ち進んだ関係でオフ期間が極めて短かった。そういう意味では降格したことも含め人事編成は大変だったと思う。上記のフィジカルコーチについても、完全に任せきれる人材をシーズン前に連れてこれなかったのはこのことが影響したんじゃないかと思ってる。また田坂さんがラドンチッチを補強した時に、「強化部には夏の補強まで予算を残しておいてほしい」と要望しておいたと言っていたが、これも裏を返せば、シーズン前に欲しかった選手が獲れなかったことの表れじゃないかと思う。ただ、林、ダニエルという大当たりの補強が出来たことが、シーズン終盤の巻き返しに繋がったわけで、シーズントータルとしては及第点だったと思う。

・右SBについて
今季右SBで先発した選手は以下の通り。
1.西    14試合
2.岩武   10試合
3.松本怜   8試合
4.若狭    5試合
5.土岐田   4試合
6.ジョンハン 1試合
岩武が2種登録、西の初先発が第14節、怜の初先発が第23節、土岐田がケガで序盤の出場は絶望的だったことを考えると、田坂さんおよび強化部は右SBは誰を主軸として考えていたのだろうか。松原健の放出が理解出来ないという声をよく聞くけど、個人的にはそれには納得感があって、昨季降格が決まって4バックにしてからもマツケンは出場機会がなく、ジョンハン、土岐田に次ぐ3番手評価だったわけで、田坂さん続投ならレンタルでの放出は確実だと思ってた。その行き先がJ1クラブだったことには驚かせられたけど(そこでレギュラーに定着したことや、代表に複数回選ばれたことにはもっと驚かせられたけど)。マツケンの実力云々ではなく、田坂さんとの相性としてマツケンのチャンスは限られてたと思ってたけど、第2節には早々に明らかに本職ではない若狭を起用していて、混迷を深めている感は否めなかった。十分にやれてると思ってた岩武を突然使わなくなったことも謎だし、当初からやりくりでやり過ごすポジションと割り切ってたんだろうか。しかしマツケンの成長はもう見過ごすことは出来ないだろうし、岩武を昇格させなかったことも含めて、マツケン奪還のメドはある程度立ってると思いたい。ダメだとしても最低でも高値でのお買い上げだ。

・ラドンチッチについて
今季最大の謎と言えば、これをおいて他にはない。最終的には公式の発表はケガということだったけど、ハッキリ言って「そんなわけない」。例え本当にそうだとしても、だったら何でもっと早くに発表しないんだと言いたい。別に監督と合わずに干すこともプロだから全然アリだと思うし、何かトラブル起こしたのならそれも人間だし十分にあり得ることだと思う。この件で何が納得出来ないって、事実が明らかにされようとしていないこと。いやもっと言うと、その部分を期待したいメディアの方々の腰が引けてる(ようにしか見えない)ことだ。箝口令を敷かれたのか何なのか知らないけど、このことに触れることがまるでタブーであるかのように、どのメディアもこのことに突っ込まなかった。サカダイのクラブダイジェストで「あの人はいま」的にネタ扱いされてるのを読んで、リアルにずっこけた。もちろんラドンチッチがいれば、もっと勝てたとかそういうことを言いたいんじゃない。試合に出なくなって2ヶ月も経ってから、「ケガをしてたんで退団します」なんて言われて信じるほどサポーターはバカじゃないということ。

・観客動員について
最終的に今季の観客動員数は平均で8422人。昨季J1とはいえ、愛想を尽かされるようなシーズンを送ったにもかかわらずこの数字は健闘した方じゃないかと思う。Jリーグ全体で動員が落ち込んできている中で、J2の中ではまだ上位にいられるわけで、このままズルズルいかずに何とか挽回したい。1万3千人近く入った最終節の雰囲気はやっぱり良かったし、ビッシリと埋まったスタンドは壮観だ。正直に言って、観客動員のために一番必要なことってここ数年の動向を見ててもよく分からない。ただ今季に限っては、これだけホームで結果を残してるんだから、もっと観に来てよと思うことが多かったことは事実。でももう自分は完全なる中毒者だから、フラットにトリニータを見てる人たちからすれば、ふ~ん程度にしか過ぎないんだろうなとも思う。観客動員はクラブの収入として重要なことはよく分かる。ただ昨今の割引チケットを乱発してるところを見ると、シーパス以外のチケット収入にはそんなに期待してなさそうだという気もする。だけど観客動員のもう一つの大事な側面として、新しく移籍してこようと考えてる選手の大きな判断材料になるんじゃないかということ。競合した2つのクラブが全く同じ条件を提示していたとして、一つのクラブが常時1万人、もう一つが3千人だとすれば、その選手の気持ちは前者のクラブに大きく傾くんじゃないかな。



書き出すととりとめなくなってくるので、強引だけどこの辺で。何度も言うけど、シーズンを通せば微妙なシーズンだったけど、終盤に団結したチームは見応えがあったし、来季への期待を抱かせてくれる内容だった。うがった見方をすれば、うまく丸め込まれちゃったような気がしないでもないけど、長い3ヶ月間のオフを楽しみに待てる気持ちで終われたというのは実はけっこう大事だったりするんじゃないだろうか。願わくば、選手たちも同じ気持ちであってほしいと思う。このサッカーの続きをまた来季大分で、田坂さんの下でやりたいと思っていてくれることを願う。



あー、でもやっぱまだ12月にもなってないこと考えると、オフ長ぇーなー。
コメント
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