唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
Nikon 1 -V1とJ1の違い-
天と地ほども違うと云うのはオーバーだとしても、D3SとD3100くらいは違う。いや、価格差から云うと、D7000とD5100程の違いか。そうは云っても、V1とJ1基本的には同じ。同じと云ってまずければ二卵性双生児程の違いだ。一卵性双生児は実に良く似ているが、二卵性双生児は兄弟姉妹程の似かたである。V1とJ1は姉妹機なのである。
V1とJ1、同じもの
ニコン1マウントと呼ばれる、レンズマウントが同じ。10.1MP(1010万画素、13.2×8.8mmのCSMOS)のイメージセンサーが同じ。EXPEED3と呼ばれる画像処理エンジンが同じ。
V1とJ1、違うもの
同じものは3つだが、違うものはたくさんある。まずはコンセプトが違う。だからV1とJ1は双子なのではなく姉妹なのである。ニコンのカタログによれば、V1は「ファインダー搭載のプレミアムカメラ」だが、J1は「フッショナブルなプレミアムカメラ」だ。二つのコピーからは、違いはファインダーの有無や2色と5色と云うボディカラーの違いだけかと思い勝ちだが、それ以外にも、違いは実はたくさんある。
主としてファインダー(EVF)の有無によって、当然のことながらボディの大きさが違う。V1の113×76×43.5mmに対して、J1は106×61×29.8mmと、横・高さ・奥行(厚さ)共に確実に小さい。
V1には電子制御上下走行式フォーカルプレーシャッターと電子式シャッターの両方が装備されるが、J1は電子式シャッターのみとなる。
モニターはいずれも3インチのTFTだが、V1の約92万ドット(30万画素)に対してJ1は約46万ドット(15万画素)とスペック(コスト)ダウンされている。
J1には無い機能として、V1にはマルチアクセサリーポートが装備され、ここに専用のストロボとGPSユニットを装着することが出来る。また、外部ステレオマイクの為の実時ジャックが用意されている。
唯一、J1にあってV1にないものは内臓式のストロボである。
EVF搭載、機械式シャッター搭載、モニターの高画素化に伴う消費電力増大に対応して、V1にはDSLR(デジタル方式一眼レフ)D7000と同じ大容量のバッテリー、EN-EL15が使用されるが、J1にはEN-EL20と云う、J1と共に登場した新しい比較的小型のバッテリーが使用される。バッテリーが違うから、V1とJ1の二台持ちは苦しい。バッテリーの違いだけが要因ではないが、バッテリーとSDカードを含んだ重量は、V1の383gに対してJ1は277gと106g軽量である。
以上の装備の違いの結果、大きさ・重さだけではなく、その価格もかなり異なっている。予想される価格(ボディ)はV1の81,000円に対して、J1は54,000円で、価格差は27,000円である。ちなみに、今現在、yodobashi.comではV1、J1いずれもレンズキットの予約受付のみとなっている。
最初に「価格差から云うと、D7000とD5100程の違い」と書いたが、実は実売価格もそれぞれD7000とD5100(いずれもボディのみ)に極近いV1とJ1なのである。ボディの価格はD7000とD5100並みだが、専用のニコン1マウントのレンズは、10-30mmの標準ズームが19,000円程度、30-110mmの望遠レンズが24,000円と、DXフォーマット用のレンズと比較し、相当廉価である。イメージセンサーが小さい事のメリットはこういうとことにも現れる。
さて、ここまでV1とJ1の違いを概観したが、この二台がまったく別のユーザーを想定したカメラであると云うことがお分かり頂けたことだろう。V1はニコンDSLRユーザーのサブカメラ、特にバッテリーを共有できるD7000のユーザーを想定していることだろう。そしてJ1はオリンパスのE-PL3と同じユーザー層をターゲットにしていることは間違いない。
ちなみに、実は、E-PL3レンズキットよりもJ1レンズキットの方が1万円安い。イメージセンサーの大きさが違うとは云え、ほぼ同スペックのカメラなのに、オリンパスよりもニコンの方が安いって、これは随分とびっくり仰天なことであるぞ。
例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、採る人もないままに実る柿。