『Oil on Canvas』 Japan ☆☆☆☆
最近の若い人は知らないかも知れないが、元祖ビジュアル系バンド、Japan後期のライブ盤。デヴィッド・シルヴィアン率いるこのバンドはあまりにルックスが良すぎたがゆえに最初はアイドル・バンドとしてしか見られず、「どーせ演奏なんてできねんだろ?」みたいな見方をされていたが、だんだん芸術至上主義的でアーティスティックなバンドだということが分かってきた。そして坂本龍一なんかとよく共演するようになり、傑作と呼ばれる『Tin Drum』を発表した。その東洋的情緒溢れる『Tin Drum』の後に発表されたライブが本作であり、その楽曲の完成度は異常に高い。
馬鹿テクを聴かせるバンドじゃなく、ソロの応酬をするようなバンドでもないが、練り上げた美意識を丁寧に、几帳面に表現することで独特の世界を作り上げている。イントロであるピアノとシンセサイザーの『Oil On Canvas』を聴くだけでそれが分かる。静謐でメランコリック、とてもライブ盤の冒頭とは思えない。ライブの演奏も熱いというより、端整、緻密でとてもクール。基本的にパーカッションの上にシンプルなシンセサイザーを乗せて東洋的かつ端整な情緒を醸し出し、そこにデヴィッド・シルヴィアンのねばりつくような低音のヴォイス、そしてミック・カーンの変態フレットレス・ベースが絡んでジャパンの世界が完成する。ちなみにここでギターを弾いているのは日本の土屋昌巳のはずだ。
やはり『Tin Drum』からの曲がこの演奏に一番マッチしているが、シーケンサーを使ったポップな『Quiet Life』や『Gentlemen Take Polaroids』なんて昔の曲もなかなかかっこいい。シルヴィアンのヴォーカルをはじめ危なげのない演奏である。個人的にはなんといってもミック・カーンのフレットレス・ベースがツボ。ブインブイン、グニュグニュいう音で楽曲を思う存分かき回している。これがなかったらかなりつまらない演奏になってしまうだろう。しかもこのミック・カーン、音だけ聴いていても分かるわけはないが、ベースをぶいぶい弾きながらカニ歩きをするのである。ちょこちょことすばやいカニ歩きでステージの上を縦横無尽に横切っていく。ヴィジュアル的にもすごいインパクトだ。しかしなぜカニ歩きをしなければならないのかはさっぱり分からない。変人さんだ。
欲を言えば、アレンジがあまりにかっちり計算されていて遊びがなく、ライヴらしい高揚感に欠けるきらいがある。それは『Tin Drum』もそうで、あまりにデカダンな作りに聴き通すと気分が滅入ってくるようなところがあるが、このライブ盤も『Tin Drum』ほどでないにしろ、そういう傾向はある。まあしかし、即興を排したオブジェのような音楽というのがジャパンの持ち味なのだろうし、彼らの美意識は痛いほどに伝わってくる。
でもやっぱり、デヴィッド・シルヴィアンはじめ美しい男達がずらり並んでスタイリッシュにこの演奏をしていると思うと(しかもカニ歩き付き)、やはり映像で見てみたいという気がしてくる。
最近の若い人は知らないかも知れないが、元祖ビジュアル系バンド、Japan後期のライブ盤。デヴィッド・シルヴィアン率いるこのバンドはあまりにルックスが良すぎたがゆえに最初はアイドル・バンドとしてしか見られず、「どーせ演奏なんてできねんだろ?」みたいな見方をされていたが、だんだん芸術至上主義的でアーティスティックなバンドだということが分かってきた。そして坂本龍一なんかとよく共演するようになり、傑作と呼ばれる『Tin Drum』を発表した。その東洋的情緒溢れる『Tin Drum』の後に発表されたライブが本作であり、その楽曲の完成度は異常に高い。
馬鹿テクを聴かせるバンドじゃなく、ソロの応酬をするようなバンドでもないが、練り上げた美意識を丁寧に、几帳面に表現することで独特の世界を作り上げている。イントロであるピアノとシンセサイザーの『Oil On Canvas』を聴くだけでそれが分かる。静謐でメランコリック、とてもライブ盤の冒頭とは思えない。ライブの演奏も熱いというより、端整、緻密でとてもクール。基本的にパーカッションの上にシンプルなシンセサイザーを乗せて東洋的かつ端整な情緒を醸し出し、そこにデヴィッド・シルヴィアンのねばりつくような低音のヴォイス、そしてミック・カーンの変態フレットレス・ベースが絡んでジャパンの世界が完成する。ちなみにここでギターを弾いているのは日本の土屋昌巳のはずだ。
やはり『Tin Drum』からの曲がこの演奏に一番マッチしているが、シーケンサーを使ったポップな『Quiet Life』や『Gentlemen Take Polaroids』なんて昔の曲もなかなかかっこいい。シルヴィアンのヴォーカルをはじめ危なげのない演奏である。個人的にはなんといってもミック・カーンのフレットレス・ベースがツボ。ブインブイン、グニュグニュいう音で楽曲を思う存分かき回している。これがなかったらかなりつまらない演奏になってしまうだろう。しかもこのミック・カーン、音だけ聴いていても分かるわけはないが、ベースをぶいぶい弾きながらカニ歩きをするのである。ちょこちょことすばやいカニ歩きでステージの上を縦横無尽に横切っていく。ヴィジュアル的にもすごいインパクトだ。しかしなぜカニ歩きをしなければならないのかはさっぱり分からない。変人さんだ。
欲を言えば、アレンジがあまりにかっちり計算されていて遊びがなく、ライヴらしい高揚感に欠けるきらいがある。それは『Tin Drum』もそうで、あまりにデカダンな作りに聴き通すと気分が滅入ってくるようなところがあるが、このライブ盤も『Tin Drum』ほどでないにしろ、そういう傾向はある。まあしかし、即興を排したオブジェのような音楽というのがジャパンの持ち味なのだろうし、彼らの美意識は痛いほどに伝わってくる。
でもやっぱり、デヴィッド・シルヴィアンはじめ美しい男達がずらり並んでスタイリッシュにこの演奏をしていると思うと(しかもカニ歩き付き)、やはり映像で見てみたいという気がしてくる。
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