『The Köln Concert』 Keith Jarrett ☆☆☆☆☆
『ザ・ケルン・コンサート』と読む。ジャズ・ファンの間ではあまりにも有名な、キース・ジャレットのピアノソロ・コンサートのライヴ録音である。
キース・ジャレットのピアノというのは、ブルースをベースにした黒人ジャズ独特の生々しさがあまりなく、むしろクラシックやアンビエントのような透明感が特徴で、そういう意味ではジャズの黒っぽさが苦手な人でも聴きやすいと思われる。とにかく美しいのである。いわゆる「どジャズ」がタバコの煙うずまく夜中のバー、というイメージだとしたら、キースのピアノは風に揺れるレースのカーテンと白いピアノの透明な午後、という印象である。
と書くと、キースのファンからは表面的だと言って怒られそうだが、まあ分かりやすくキースのイメージを伝えようとするとどうしてもそうなってしまう。もちろんキースはジャズ、クラシックだけでなくブルースやゴスペル、フォーク、アバンギャルドなど様々な音楽の素養を持つピアニストであり、色んな形でそれらの要素を出してみせる懐の広いピアニストなのだが、彼の本質はやはり静謐、繊細、透明、そして天上的、などの言葉とともにあると思う。
彼のソロピアノは沢山出ていて、作品によって肌触りは微妙に違う。その中でも本作、通称『ケルン』は、彼の甘美な旋律とロマンチズムがストレートに出た傑作として知られている。即興演奏でここまで「メロディアス」と感じさせる旋律を弾くプレイヤーも珍しい。『Part I』冒頭の数小節を聴いてアドリブだと思う人はいないだろう。緻密に作曲された甘美な旋律だと思うに違いないのである。まあ「メロディアス」だから必ず音楽的に素晴らしいとは限らないわけで、そういう意味ではキースの最高傑作は他のソロだと言う説もあるのだが、少なくともこの『ケルン』でキースの特色が分かりやすく発揮されていることは間違いない。この場合、分かりやすいというのは底が浅いという意味ではなく、高度ながらも普遍性を勝ち得ているという意味だ。
実際、はっとするほどに美しい冒頭のメロディから始まり、ひとりで延々と即興でメロディを紡いでいく作業のテンションの高さは、ほとんど息を呑むほどである。ひたすら自分で自分をインスパイアし、鼓舞し続ける精神の記録。その緊張感。特にこの『ケルン』では彼の中から湧き出る旋律の純度が高く、まるで頭上に霊感の嵐が吹き荒れているかのようだ。このコンサートの間中、キースの背中には音楽の天使が降りていたに違いない。
『ザ・ケルン・コンサート』と読む。ジャズ・ファンの間ではあまりにも有名な、キース・ジャレットのピアノソロ・コンサートのライヴ録音である。
キース・ジャレットのピアノというのは、ブルースをベースにした黒人ジャズ独特の生々しさがあまりなく、むしろクラシックやアンビエントのような透明感が特徴で、そういう意味ではジャズの黒っぽさが苦手な人でも聴きやすいと思われる。とにかく美しいのである。いわゆる「どジャズ」がタバコの煙うずまく夜中のバー、というイメージだとしたら、キースのピアノは風に揺れるレースのカーテンと白いピアノの透明な午後、という印象である。
と書くと、キースのファンからは表面的だと言って怒られそうだが、まあ分かりやすくキースのイメージを伝えようとするとどうしてもそうなってしまう。もちろんキースはジャズ、クラシックだけでなくブルースやゴスペル、フォーク、アバンギャルドなど様々な音楽の素養を持つピアニストであり、色んな形でそれらの要素を出してみせる懐の広いピアニストなのだが、彼の本質はやはり静謐、繊細、透明、そして天上的、などの言葉とともにあると思う。
彼のソロピアノは沢山出ていて、作品によって肌触りは微妙に違う。その中でも本作、通称『ケルン』は、彼の甘美な旋律とロマンチズムがストレートに出た傑作として知られている。即興演奏でここまで「メロディアス」と感じさせる旋律を弾くプレイヤーも珍しい。『Part I』冒頭の数小節を聴いてアドリブだと思う人はいないだろう。緻密に作曲された甘美な旋律だと思うに違いないのである。まあ「メロディアス」だから必ず音楽的に素晴らしいとは限らないわけで、そういう意味ではキースの最高傑作は他のソロだと言う説もあるのだが、少なくともこの『ケルン』でキースの特色が分かりやすく発揮されていることは間違いない。この場合、分かりやすいというのは底が浅いという意味ではなく、高度ながらも普遍性を勝ち得ているという意味だ。
実際、はっとするほどに美しい冒頭のメロディから始まり、ひとりで延々と即興でメロディを紡いでいく作業のテンションの高さは、ほとんど息を呑むほどである。ひたすら自分で自分をインスパイアし、鼓舞し続ける精神の記録。その緊張感。特にこの『ケルン』では彼の中から湧き出る旋律の純度が高く、まるで頭上に霊感の嵐が吹き荒れているかのようだ。このコンサートの間中、キースの背中には音楽の天使が降りていたに違いない。
聴いてみますね(^^)!